「アレン・ブラッオ」「ジル・ニューブ」(4)
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一週間が経ち駐屯地での新人ゴーレム騎士達の模擬戦闘の日が再びやってきた。
「この日を待ちわびていたぜ」
新人ゴーレム騎士のヘンリーがノアに声をかける。
「必ず、やり返してやるよ」
その様子を見ていたエマが声をかける。
「そうよ、このままで終われるもんですか」
口々にそう言いながら白銀のミスリルゴーレムに乗り込む。そして、新人ゴーレム騎士達が全員揃うと、アレンとジルがそれぞれ、深い黄色と赤みがかった灰色のミスリルゴーレムで空から現れた。
「今日は飛行ユニットを使用しない状態で三次元的展開での戦闘を学んでもらう」
「ミスリルゴーレムに墜落はしないが、自ら激突する場合がある。地面との距離感を十分に意識して闘うように」
空中での模擬戦闘が始まった。
アキラは定期的な暗黒大陸の地下迷宮「アンマ」での作業を終えた後、王宮にて初めて見るだろう目の前にいるフェアリースライム達と新人のゴーレム騎士達のお見合いの光景に苦笑していた。
「決定権はフェアリースライムにあるんだね」
チャアはアキラの質問に苦笑しながら答える。
「普通はフェアリースライムの数が足りないから一人が数人の騎士の中から選ぶんだけど、今回は同数、揃っているからお見合いみたいになってるのよね」
「好き勝手に会話してるけど、あれで大丈夫なのかなぁ」
アキラの言葉にアルが口を挟む。
「相性って大事なのよ。私はアイにビビっときたんだ」
「そうなんだ」
「誰をマスターにするかは私達にとっての重大事項なんですから、自由に選べない子はとっても不幸だと思うわ」
フィルも真剣な口調で皆を眺めながら答えた。
「パーナはまだ会議中なのか?」
「ええ、例のラジオの件で色々もめているみたい」
アキラの問いにフィルが首をかしげながら答えた。
「またパーナ、苦労しているんだな」
気が付くと退屈だったのかアイは既に退席していた。
空中での模擬戦闘が終わると多くの白銀のミスリルゴーレムは地面に激突していた。そして激突せずに終わった三体のゴーレムも既に虫の息だった。
再び医務班に連れていかれる者の姿が居る中で三人はヨロヨロと今回はゴーレムを収納していた。
「前回はまだまだ可愛いもんだったんだな」
「やり返すにはまだまだ時間がかかりそうだな」
「このままで終わっちゃいそうよ・・」
遠くを見つめるこの三人はこの修練の過酷さと、実はフジワラ流の訓練への取り組みが始まったばかりである事に気づきその事実におのずと向き合い始めていた。
新章、四話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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