「アレン・ブラッオ」「ジル・ニューブ」(3)
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「合格!」
いきなり放たれたアイのその言葉に、面接に訪れた冒険者は左右の試験管に不思議そうな顔をしながら反応を待つ。
「・・師匠、まだ何も答えてもらってないし、何も構えすらとってもらっていませんが?」
ゴーレム騎士への募集の面接会場で目前に現れた一番最初の応募者にアイは見るなり合格を与えていた。その行為に慌ててアイに突っ込みを入れるキラに対してアイは答える。
「歩いている、その所作を見るだけで十分だろう。ゴーレムに乗れる魔力量は事前に量っているのだろう?」
キラは少し頭を抱える仕草を見せると全てを諦め冒険者に合格者へと用意された席に座るよう促す。
「次」
次の冒険者が入ってくると再びアイが一言放つ。
「不合格」
冒険者がアイにに不思議そうな顔を向けるとアイはもう一言呟く。
「経験不足だ、何も感じない。次!」
アイによるゴーレム騎士の選別は想像以上にスムーズに進んでいった。
首都、WAの駐屯地に新人ゴーレム騎士達が赴任してきた。そこでまず最初にフジワラ長官流の模擬戦闘が行われていた。
「いいか、訓練用の剣を使っているが、まともに喰らえば意識を失う事もある。死ぬ気でかかってこい」
アレンの言葉を聞いてもなお新人達はその成績の高さゆえにおごりが有った。
「まずは一騎」
ジルがわずかに隙を見せていた新人のミスリルゴーレムに一気に迫り突きを放っていた。
「次、一騎」
今度は、アレンがジルの動きに気を取られていた一騎の剣を持つ手を痛打し剣を落とさせ、顔面を叩いた。
ここで、はっきり新人たちの能力の差が顕著になって表れ始める。死地からの脱出を試みる者。一か八かの剣技をふるう者。その味方を盾にして死角であろう場所から剣技をふるう者。中には苦しいながらも連携をとろうとするが不発に終わる者。様々な動きが有ったが半刻程で勝負は決してしまった。
ゴーレムから這い出て、用意していた救護班に面倒を見てもらう者達を尻目に、三人の新人騎士が敵意溢れる顔でアレンとジルの前に歩み寄ってくる。
「何か用か?」
ジルが話しかけると三人は答える。
「次は、いつですか?」
「必ず、やり返す」
「このままでは終われません」
次は、アレンが答える。
「一週間後だ。それぞれの課題を克服してこい。いいか、本番ではまずやり返す事なんてできないんだ。悔いのないように訓練に励んでくれ。本日は以上だ」
うなだれ宿舎に戻って行く者、医務班に連れていかれる者、そして再びゴーレムに乗って訓練を再開する者、それぞれの姿がそこにはあった。
新章、三話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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