「ドル・ターラー 」「レディ・フォー」(9)
更新いたしました。
アキラ、アイ、カーメル、そしてドルの四人は要塞の様な巨大な魔導工房のすぐ近くまで侵入していた。
「陽動の為に此処からシャトルーズで侵入します。皆は予定通り居住ブロックの方へ回り込んで下さい」
アキラはそう言い。皆が反対側に移動したのを確認するとシャトルーズを召喚し乗り込む。
「さて、ひと暴れしようか 」
「数騎のミスリルゴーレムを確認しました。地上四騎、上空二騎です」
「ありがとうチャア、上空の二騎をまず仕留める」
シャトルーズは大空へと舞い上がって行った。
「お、始まった様じゃな」
ドルが小声で声を上げると、アイが不敵な笑顔で居住区近くの搬入口を指差す。
「私がゲートに突入し無力化しますので。アルが合図をだしたら入って来て下さい」
空を舞っているアルが大きく丸を示すような身振りを示す。
「一人で本当に大丈夫なのか?」
カーメルが少し不安そうに尋ねる。
「武尊ならやれると思うでしょ」
「ああ、あいつなら可能と思うが」
「だったら、私でも可能なのよ」
再びその童顔の容姿には似合わない笑みを浮かべゲートに向かって走り出す。
そして数分のしないうちにアルが合図を出す。
「行きましょうや」
ドルの言葉にカーメルは頭をかきながら歩み始めた。
(まったく、夫婦して化け物なんだな)
開かれたゲートをくぐると両親指を後ろ手で縛られ気絶している兵士達
アイが周りを見渡しているとカーメルが一つの洋館のような建物を指差す。
「あそこね、先に入って待ってるわよ」
そう言うとアイは再び駆け出して行った。
「おいおい、わしらは守ってくれんのか?」
ドルが言うと、アルが答える。
「わたしが付いているから大丈夫よ」
「へっ」
そこには自信満々のアルの姿があった。
洋館のような建物の入り口の前には同じ様に両親指を後ろ手で縛られ気絶している兵士達が転がっていた。
カーメルとドルが二階へと上がって行くと、そこにも同じ様な兵士の姿があった。
さらに奥の部屋からアイの声が聞こえてきた。
「無駄よ、ビルの力であらゆる魔術は無効化されるわ」
「貴女何者なの」
「・・私は、フジワラの妻だけど?」
その言葉に一瞬フォーが驚くと、次に溜息を吐く。
「貴女が・・、私に何か用が?フジワラに関しては私では何も力になれないと思うけど」
「あ、そうなんだ。やはり政府の要人ね武尊がどうなったか知っているのね」
「知っているだけよ。残念だけど本当に私の力では何もできないわ」
「やあ、お久しぶりだねフォー国務魔導長官」
カーメルがいつも通りのにこやかな表情でフォーの寝室に入ってきた。
「カーメル、貴方もいたの?」
「いや商談が有ってな、この様な状況で申し訳ない」
いつものカーメルの物言いに少しだけフォーの緊張は解かれていた。
新章、九話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




