「ドル・ターラー 」「レディ・フォー」(8)
更新いたしました。
「何か良い対策は無いのですか?」
パーナがカーメルに尋ねる。
「不特定多数に広く浸透していく戦略だ。対策らしい対策は思いつかないが・・一つだけ案がある、かなり難しいとは思うが・・」
「教えて下さい。可能かどうかはこちらで判断します」
「それはこちらでも放送局を創る事です。情報がねじ曲がっていたり真実でないことを伝える必要が有ります。しかし、放送に必要な魔道具は最高機密でフォー国務魔導長官しか作成できない状態になっている」
その言葉にアイが口を開く。
「簡単じゃない、その長官をわの国からさらって来れば良いんでしょう」
「え、母さんを連れ帰ったときのような事は、そうそう何度も成功しないと思うんだけど」
アキラは驚きアイの話を否定したがアイは話を続ける。
「でもカーメルさんは普段その長官が何処にいるか知っているんでしょう」
「それは知っているが、首都WAの魔導工房だぞゴーレムを使って侵入って訳にもいかない場所だし警戒も厳重だ!」
カーメルはまさかアイが本気で誘拐しようと考えているのかと驚きを隠せなかった。
「私は早く色々な問題を解決して、あのスライム達から武尊を取り戻すことに集中したいのよ」
「師匠、流石にそれは早急すぎるかと」
キラが横から口を挟む。
「その魔導工房とかに潜り込めば完成品も有るかもしれないじゃない。悪くない案だと思うけど」
アイの話を聞きながらパーナ決心する。
「放送局は少しでも早く立ち上げないと取り返しのつかないことになると思うわ。師匠のプランを基に計画を練りましょう。では議題を変え「わの国潜入計画」を立てる事としましょう」
パーナの素早い決断にカーメルは頭をかきながらも同意した。
ブリーテンより帰国したフォーは自室で横になっていた。
「皆、楽しそうに夢を語り合ってたわね・・」
放送局を立ち上げる事に喜びを感じあっていた人々の笑顔を思い出しながらフォーは再び呟く。
「ただ人々を先導し洗脳していく魔道具でしかないと思ってたのに・・」
人々に娯楽を与える魔道具、純粋にそれだけの道具として使われたらどんなに良い事だと思いをはせながらフォーは眠りについていた。
新月の深夜、首都WAその東側にある湾内に超低空で船舶の様なゆっくりとした速度で侵入する飛行体があった。アキラ達が居た世界ではブラウンイーズ・ビーチと呼ばれていたその海岸に飛行体は静かに停止した。そして内蔵するコンテナを降ろすと中から数人の人影がでてくる。そして、飛行体は何事もなかったかのようにコンテナを再び回収し湾を抜け戻って行った。
新章、八話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




