「ドル・ターラー 」「レディ・フォー」(6)
更新いたしました。
アキラ達は、暗黒大陸の地下迷宮アンマでの仕事を終えハサンの港町フェルのぜら・あな商会の出張所の駐機場に戻ってきていた。
「ゼラ・アナ」号がコンテナを降ろしアキラがシャトルーズ収納を終えた時、駐機場のフェンスの向こうから大きな声が聞こえる。
「おーい!」
三人組の中央には何度も大声を出し手を振るカーメルの姿があった。
「お久しぶりです」
アキラは見知った三人に挨拶をすると、商会の出張所の応接室へと案内した。
「・・、たしかブリーテンの高級宿泊所でお会いした方ですよね」
カーメルとアンジェラに随伴していた見覚えがあるエルフ族の男にアキラが尋ねる。
「マラジジと申します。あの時は、本当に助かりました」
以前とは違い、執事の様な服装をしたマラジジは丁寧に一礼をした。
「アキュラ、あれから三人でこの街にたどり着くまで本当に大変だっんだよ。「なぁの国」の王都ウロポロまで行かなくてもこの街で会えそうだってわかって、ここの近くに宿を取って毎日様子をうかがっていたんだ」
アンジェラの説明の後でカーメルが本題となる頼みごとを口にする。
「わの国から逃亡中の私達を「なぁの国」で匿ってはもらえないか。マラジジも元々はエィミ国での捕虜・難民施設の出だそうだ。どうにかならないだろうか」
(あら、エィミ国の)
チャアが思わずアキラに念話を飛ばす。
(その話は、後で聞いてみるね)
少し間を開けてアキラが質問する。
「カーメルさん、ラジオの事はよく知ってますか?」
カーメルは少し驚きながらも答える。
「ああ、よく知っているよ。あれは戦略兵器といえるものだからな」
「ですよね。戦争を仕掛けずに他国を乗っ取ろうとしてますよね」
「その通りだ、君にっとっては過去の歴史の知識だろうが。この世界では多分初めての仕掛けだろうからな」
「その知識をお借りする条件で交渉してみますよ」
「たのむよ。わの国の勢力圏内では私は最重要のお尋ね者だからな・・」
「すみません。父のせいなんですよね」
「行方不明のフジワラだけのせいじゃない、エクスペルがそもそも道を外れてしまったせいだ」
「エクスペル?」
「あの大統領のことだよ」
隣でアンジェラが口を挟む。
「独立運動の英雄だったんだけどね」
「英雄ですか・・、ですがもっと恐ろしいものが、多分その背後に居るんですけどね」
「ああ、そうだな。その様な裏でうごめいていそうな奴らの思うような世界には決してしたくないと思っているよ」
「同感です。親父の事の詳細もパーナ女王との謁見の際にお話しします」
「やはり、知っていたんだな。フジワラは生きているのか」
「生きてはいます」
アキラの苦しそうな答えにカーメルとアンジェラは何かを察し黙り込んでしまった。
新章、六話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




