「ドル・ターラー 」「レディ・フォー」(3)
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アキラはドルと別れた後、その足で王宮のパーナの執務室を訪ねていた。
「入ります」
確認をとると。
中に一人だけで居た、パーナが何故かうろたえていた。
「どうかしたのか?」
アキラが尋ねると、すこしほほを赤らめていたパーナが答える。
「今日は、貴方が師匠と稽古が出来ないから代わりにキラとトロフが連れて行かれてたので、少しくつろいでたのよ」
パーナの答えにアキラは、少し転寝をしていたのかなと考えながら話を切り出した。
「パーナ、ラジオっていう魔道具がこの国でも聞けるようになったって知っているのかい」
「もう・・、少しは私に会いたくなったとかとか言ってくれても・・。最近、城内でもかなり話題になっているわ」
少しすねたような眼でアキラを見つめながらパーナは答える。
「すまない・・そういえば、フィルも居ないんだね」
パーナの様子に対応を間違えたと感じたアキラは話を変えてみると、パーナは再び恥ずかしそうに話を続ける。
「フィルは貴方が連れてきたフェアリースライム達に色々教えているのよ」
「だから、珍しく一人っきりだったんだね」
「そうよ、だからこのあと少しは私との時間をとって頂戴・・」
「わかった。そうさせてもらうよ」
アキラはこの後の時間はパーナと共に過ごす時間へと変更することとなった。
ブリーテンの駐屯地の魔導工房ではアキラ達が持っていたネックレスタイプの魔道具を応用した大規模な送信装置となる組み上がった魔道具を活性化させるためにフォーは様々な魔法紋を立体的に組み合わせ編み上げていた。
「☬Φ∂£Ω∀✇・・・」
最後の詠唱の後、魔道具より閃光が光ると再び工房内は静寂が戻り、フォーは一息つく。
「無事、終わりました。運び出してください。私は放送局で待っています」
護衛の兵を従えてフォーは放送局の建物に入ると先回していたのだろう駐屯地の司令が誇らしげにフォーを案内する。
「こちらがセンタールームになります。ゆくゆくはこの施設から映像も送れるようになると嬉しいですな」
昔の思い出を懐かしむ様に司令は説明した。
「それは暫く先になりそうですが、必ず実現してみせますよ」
その言葉にテレビを知る時代からの転移者達の中には涙ぐむ者もいた。
「もともと、そういった仕事に携わっていたり、興味を持った者達がここで働いているのですから。大統領閣下も最優先事業の一つだと言われています。どうか皆様もこの事業に誇りを持って頑張って下さい」
フォーの言葉に異邦人と呼ばれ、世界中の様々な地方から転移させられた人々は胸を熱くしていた。
新章、三話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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