「ドル・ターラー 」「レディ・フォー」(2)
更新いたしました。
アキラは約束の時間に「ぜら・あな」商会内の工房を訪れていた。
「ドルは居るかい?」
工房に入ると軽快な音楽が流れていた。
「おお、お待ちしておりました。では早速そちらの台の前でシャトルーズを召喚して台に防具を置いていただきますかな」
「わかりました」
アキラは腕を地面につき魔法紋を開くとシャトルーズを召喚する。すると次にチャアが胸を開くこともなくシャトルーズに装備している二つの盾を外し台の上に置くように念話で伝える。
「おお」
シャトルーズの動作に驚くドルにアキラは説明をする。
「シャトルーズは自我が有るんですよ。ですからフェアリースライム単独でもある程度の事は出来るんです」
「国宝のビルはアルというフェアリースライムが単独で操作できると聞いておりましたが・・。シャトルーズも同じなのですな」
アキラは盾を置き終わったシャトルーズを再び収納するとビルに答える。
「今の姿になってから出来るようになったんですよ、昔から時々勝手に動く事が有りましたけど・・」
「こういった規格外のゴーレムが存在するのですか」
「もっと存在するみたいですけどね。話は変わりますがこの工房、音楽が流れているんですね」
「それは、わしが持ってきた魔道具です。今、「なかつ国」の工房で流行っていてみんなで一緒に聞いております。この王都でも最近、聞けるようになったと聞いて運んできました」
「もうそこまで普及してきたんですね」
少し残念そううな表情を見せたアキラにドルは不思議そうに答える。
「歌や音楽は楽しいと思いますが、それに色々な耳寄り情報のコーナーもあってそちらも楽しんでおります」
ドルの言葉にアキラはその情報がもたらすその次のステップが怖いんだけどな、と思いながら工房を後にした。
ブリーテンの駐屯地、そこに一人の黒マントを羽織った人物が護衛の騎士と共に降り立っていた。
「国務魔導長官、お待ちしておりました。早速、魔導工房へご案内いたします。しかし素晴らしいですな新型の航空機は、元の世界の事をを思い出します」
彼女達を運んできた銀色のミスリルで出来たやや大型のプライベートジェットとよく似た姿をした飛翔体を眺めながら出迎えの挨拶をする駐屯地の司令にフォーは。
「皆の力のおかげでやっとここまで文明を取り戻せたのですよ、次のステップに進むためにここに本国より先に本格的な放送局とスタジオを造らなければなりません。建物は完成したみたいですので魔道具の最終調整を私、自らが行わなければならないと判断いたしました。よろしく頼みます」
フォーはそう答えると足早に工房に向かって行った。
新章、二話目となります。どうか本章もよろしくお願い致します。
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