「リョーウ・キラ 」「ルー・トロフ」(10)
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「アキュラ殿・・」
「・・聖戦士殿」
「・・こんな穏やかな地底湖で大波を被って溺れかけなければならんのですか?」
皆、口々に突然起こった人災を嘆いた。
「本当にすみません、シャトルーズの調整中にやらかしてしまいまして・・」
ひたすら頭を下げ続けるアキラの横でアイも頭を下げる。
「息子がやらかすのを止めなければならないのを思わず見とれてしまいすまなかった。しかし溺れる前に素早く救出できたのだから許してあげてくれないか?」
「こんなに魔力を含んだ水なんて飲みたくないですよ。・・師匠が見とれる程に凄かったんですね」
キラの言葉にアイは頷きながら答える。
「進化したシャトルーズは私達の想像以上の力を得ているよ、ビルで手合わせするのが怖いくらいだよ」
「師匠、もちろんここでは駄目ですよ、できれば国に帰って安全な場所を選んでお願いします」
「わかってる。早く帰ろう、私も色々試したくてうずうずしてきたよ」
「母さん・・、とにかく帰り支度に入りましょう」
アキラがそう言いながらニィーに話を振ると。
「とにかく俺達の服が乾くまでは待っててくれよ」
服をつまんで上下させるユーモラスな仕草でニィーは皆を笑わせた。
無事「ゼラ・アナ」が世界樹の傍に設営されたコンテナを回収に来る。そして出迎え行っていたシャトルーズがそのまま空中で警護しているとコンテナ内に戻るはずの警護のビルがそのままの状態で作業を見守っていた。
「母さん、まさかこのままビルで帰るつもりかい」
「そうだよ、進化したこの子なら最後まで飛び続けられるよ」
「アキュラ、大丈夫だよ」
アルの自信に満ちた声がアキラに伝わる。
「チャア、大丈夫だと思うかい?」
「コンテナで魔石の粉を補給しているのなら港まで位なら大丈夫だと思いますが」
「でも、ビルって燃費が悪そうなんだけどな」
「燃費?無駄に魔力を消費しているって事ですか?」
「そう感じるんだけどな・・」
「まあ仕方が有りませんよ、このまま帰りましょう」
「ゼラ・アナ」が浮かび上がるとビルも浮かび上がりシャトルーズと同じ高さまで上昇すると、更にその上空に羽ばたく二体のグリフォンが旋回してきた。そして不思議そうな表情で幼いグリフォンがビルの傍に近づいて来てビルを見つめる、そして納得したかのような表情を見せ可愛い声で鳴くと再び親鳥の元に戻って行く。
「お礼を言ってるみたいね」
「多少変わっても、分かってもらえた様だね」
再び世界樹の方に戻って行く親子のグリフォンを見つめながら帰路につくこととなった。
そののち暗黒大陸を抜け海を渡る際にやはりガス欠となり孤島に緊急着陸したのはまあ・・お約束的な出来事だった。
「リョーウ・キラ 」「ルー・トロフ」の章はここまでとなります。次回から新章に入ります、どうか次章もよろしくお願いします。
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