滅びゆく国(13)
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「チャア、こちらの方が上昇速度は上だ!」
「アキュラたしかに、このロックゴーレムはミスリルコーレムとは違い私達が飛んでる状態によく似てます」
「前はどんな感じで飛んでいたのかい?」
「そうですね、以前は飛ぶというより浮いている感じでした?」
「なるほどね、降下するときは?」
「落下している感じに近いですね」
「やっぱりそうか!以前、闘いを見た時にそんな動きだったと思っていたんだ、可能な限り奴らに合わせて上昇してくれ」
シャトルーズは距離を取りつつ上昇し続ける。
「そろそろ、バラけて来たな、チャア降下して一騎ずつ闘う、戦闘後すぐに再び上昇する」
「先頭のグループは三連装砲を装備しています、撃ってきますよ」
「この世界の弾頭は追尾したり曲がったりしないよな」
「え、最初は真っ直ぐで最後はすっとんと落ちます、異邦人の世界では弾にも意思があるのですか?」
「ああ、意思はないが追いかけてくるものもある、そんな魔法が有るのかと思って」
「エルフ族が乗っていればそのような使い方をする可能性はありますが・・まだ見た事は有りません」
「わかった、装備している腕の向きを気にしながら、一気に降下してみるよ」
「はい、では必ず動きを必ずイメージしてください」
一挙に降下するシャトルーズ、先頭で迫るミスリルゴーレムが左腕の三連装砲をこちらに向ける・・発射と同時に巧みに降下角を変えさらにスピードを増す。
ミスリルゴーレムが右腕の長剣を振りかざすがシャトルーズの左の小剣で受け右の小剣で左上胸に突きさす、更にミスリルゴーレムの左肩を踏み台にし剣を抜き一挙に上昇する。
「いまので、落とせたかな?」
「はい、降下していきます、さすがですね初陣とは思えません」
「いや、多分あれが人の形をしてないから出来たんじゃないかと思うよ、・・それにうちの流派は二刀も扱うしね」
(こんな形で役立つとは大じいちゃんも思ってなかったろうな・・)
「敵がばらけてる内に一気に落とすぞ」
「ほう、あの初めて見るゴーレム面白い動きをする」
青銀のゴーレムと闘いながらもラーバンは戦況を観察する余裕があった。
「しかしこのままではいかんなもう三騎か・・隊列がズタズタにされている、応援に行かなければ全滅も考えられそうだが」
再び青銀のゴーレムに剣をふるう。
(なかなかの強者でしかも時間を稼ごうと三騎共立ち回っている・・一旦引くか、国は手に入った、・・さして大したものは残ってはいまい)
「撤退する」
魔力で念話を部隊に送りラーバンは最後の太刀を振るい青銀のゴーレム「ブルーズ」の左腕を切断する。
「次はこうはいかんぞ」
怒りの念話をブルーズのケイトに放つと黒いゴーレムは去っていった。
「ありがとう、アキュラ」
片腕を失ったブルーズに乗るケイトが声を掛ける。
「いえ、今になって震えが止まりません」
「初陣ですものね、さあドル達と合流しましょう、もうすぐ夜も明けるわ・・」
薄明るくなった滅びゆく国の無人の王都を見おろしながらアキラは自分たち異邦人の行っている現実に様々な思いをはせていた。
「滅びゆく国」の章はここまでです、どうか次章もよろしくお願いします。
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