「リョーウ・キラ 」「ルー・トロフ」(5)
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ついに、白く輝く湖の水が緑がかった光に変わり瞬く間に深い緑色の輝きへと変わっていった。
「もう、ゴーレムは誕生しません、通路を塞いでください」
アキラの言葉に、ニィー、キラ、トロフはゴーレムを使い用意した岩や土を使って各通路を塞ぐ土木作業を始めた。
「アイ、少し早いがもう本体に戻らせてくれ」
ムサッシの願いにアイは答える。
「もう一日位は大丈夫らしいって」
「予想通りに事が進むとは限らないし、音と念話は伝わるから気にしないでくれ」
「そうね、わかったわ」
そう言うとアイは左腕を地面につけ魔法紋を開きムサッシの本体を呼び出す。
「すまない、見張りは二人にだけになるがよろしく頼む」
チャアとアルに念話を飛ばすとムサッシは魔法紋の中へと本体と共に消えていった。
「全てが、前回通りとは限らないし、ここからが魔獣達との勝負となると思う。最悪、母さんと二人で生身の身体で魔獣と闘う事になるかもしれない」
アキラの言葉にアイは答える。
「この世界での初めての実戦って事ね」
アイはミスリル製の薙刀上に反った柄の長い長剣と柄の長い短剣を連結して両端に刃が有るタイプの薙刀を王都の工房で作成してもらっていた。それを高速で振るい実戦向けの修練を開始していた。
「師匠、恐ろしい剣で修練を始めてたな」
トロフが念話でキラに話しかけると、キラも答える。
「先程、岩を取りに戻った時に見たよ、・・背筋に寒いものを感じたよ」
「師匠、敵でなくて良かったよな」
「全く、師匠と闘うなどまっぴらだな・・」
王宮の守りのかなめともいえる二人をもってしてもアイの剣技の異常さは恐怖以外の何物でもなかった。
一日の作業が終わり、アキラが再び皆の晩飯をよそっているとアイが無言で立ち上がり通路の方へと歩んでいった。
思わずアキラが呼び止めそうになると、アイはこちらを向くと殺気を含んだ視線を向ける。
思わず皆は声をだすのを止め通路の方にに視線を集めた。
アキラはそこでやっと足音を立てず静かに下ってくる数体の生き物の存在に気づく。
アイは薙刀を繋ぐと通路の出口まで一足飛びに間合いを詰め剣技を放つ。
「グオー、・・グ」
血まみれのハイエナに似た魔獣が出口から転がり落ちてくる。
また一頭、また一頭と血まみれの魔獣が転がり落ちてくる。
アキラが感じとっていた魔獣全てが一瞬のうちに首をはねられ転がり落ちてきた。
そして、全く血のりの付いていないアイが静かに戻ってくる。
「この生き物は食えるのか?」
アイが皆にたずねるとトロフが答える。
「いえ、臭みが強いらしく美味しくないそうですが」
その答えにアイががっくり肩を落としぼやく。
「折角食べやすいように、全て首をはねたのに・・」
アイのその言葉にアキラを含め皆、ドン引きしてしまっていた。
新章、五話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
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