「リョーウ・キラ 」「ルー・トロフ」(4)
更新いたしました。
皆で話し合い、ゴーレムが湖から生み出されなくなり魔獣が降りてこない数日の間に一か所以外の通路を塞ぎ三体のゴーレムで対応する事が容易な様にする事とし、まずは通路の一番狭い場所に印と必要な岩や土の量を入り口に用意する作業に入った。
「・・そろそろ良いな」
本日の食事の手配と料理を担当しているアキラはアイとゴーレムの中で休息をとっているニィーに声をかけた。
「食事の時間ですよ」
そしてチャアは作業中のキラとトロフのフェアリースライム「ルプ」と「サン」に食事が出来たと念話を飛ばした。
「火を起こして、暖かい食べ物が食べられるのは有難いな」
トロフが上機嫌で魚の身の入った雑炊もどきのスープを頬張る。
「アキュラが当番の時はいつもこのスープなんですよ」
ニィーが笑いながら話しかけてくる。
「パーナにも食べてもらったら喜ぶだろうに」
トロフが真顔でアキラに話を振った。
「え、こんな料理、きっと口に会いませんよ」
アキラが慌てて否定すると、キラがわざとアキラに丁度聞こえるくらいの小声で喋る。
「お前が作ればパーナは必ず喜ぶよ」
アイはその話を聞きながら微笑みながらアキラをじっと見つめていた。
食事を終えアキラは火種になる物を捜しに湖の周りをうろついていると、一人たたずんでいるムサッシを見つけ声をかける。
「よく、一人でいるよね」
「なるべく、面倒ごとが起きない様にと思って」
ムサッシの返事にチャアが答える。
「男性のフェアリースライムが居るからと言ってゴーレムに本体が乗ってる時は発情したりしませんよ」
「いや、自分が発情しそうで怖いんだよ、アオウに乗ってる時は大丈夫だったんだけど」
「だから、なるべくアルから離れているのか?」
「そうだよ、フジワラの元でもう一度、あの剣技を共に振るいたい。その気持ちを決して忘れたくないんだ」
「発情して交尾してしまうと全てが白紙に戻ってしまうものね」
「え、そうなのか」
アキラが驚き口を挟む。
「そうなんですよ、再び一からやり直しです」
ムサッシの言葉にアキラは納得する。
「これまで築いてきた修練が白紙に戻るなんて、考えただけでもぞっとするよ」
「それに、あのアルって子はあの海底のスライム達に近い能力を持っていると思うんだ」
ムサッシの言葉にアキラは類推してみる。
「先祖返り・・、ゴーレムを一人である程度動かせていたからな」
チャアも答える。
「そうですね、優秀なフェアリースライムは大まかな動きだったらある程度は一人でも動かせますが、アルは飛びぬけていましたからね」
「その能力を白紙にしてしまっては、思いを託されたアイ殿にも申し訳がたたないからな」
アキラはムサッシのその言葉に、彼が親父と長い年月をかけて築いてきた思いに畏敬の念を感じていた。
新章、四話目となります、どうか本章もよろしくお願い致します。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




