「リョーウ・キラ 」「ルー・トロフ」(3)
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「さて、どうしたものか」
アイが、ビルを見上げる。
「動かないね・・」
アルが答える。
「嫌がってるんじゃ・・」
アキラが答えると。
「水が怖いんじゃないかな?」
ムサッシが推測する。
「いつもは、単独でも動かせていたんだろう?」
トロフが尋ねる。
「あ、動いた」
今度はチャアの驚く声が後ろから発せられた。
「え、動いてないだろう」
そう言いながらアキラが後ろを振り返るとチャアがシャトルーズを指差していた。
「え!」
アキラが驚きの声を上げると。起き上がったシャトルーズが歩き出し地底湖に向かっていた。
「この子、また湖に潜ろうとしてるの?」
驚くチャアの言葉と共に皆はシャトルーズの行動に言葉を無くしていた。そしてシャトルーズが湖に入ると振り返りビルを見つめると、ビルは観念したかのようにゆっくりと湖に歩んでいった。
「私、何もしてないよ」
アルが驚いたようにビルを指差す。
「私も何もしてないんだよ」
チャアも続けて頷きながら答える。
「こんなゴーレムの行動初めて見るぞ」
ニィーの言葉にキラとトロフは共に頷く。
「ゴーレムが生み出される湖、その湖に戻って行くゴーレム・・、こんな光景を目にするとビルが伝説のゴーレムなのだと再認識させられるな」
そう言うと、キラは湖に沈む二体のゴーレムに祈りをささげていた。
「今後の流れなんですが・・、魔獣に対して威圧する存在のシャトルーズまでもが湖に潜ってしまいましたので覚悟を決めて下さい。今後しばらく、何日かするとうっすらと白く輝く湖の水の色が、緑がかった光に変わり更に深い緑色の輝きへと変わります。そうなるとゴーレムは湖から生み出されなくなり数日もすればゴーレムの魔石を糧としていた飢えた魔獣達がこの湖に殺到することになります。ビルとシャトルーズが再び現れるまで三体のゴーレムで足止めして頂かなくてはならなくなりました」
アキラが皆に頭を下げると、ニィーが当惑しながらアキラに確認する。
「どの位の間、足止めしたら良いのか?正直、一時間もあの魔獣達を退けられるとは思えないんだが・・」
「先程、上空から少し魔獣を眺めただけだが、私も数時間も持たせられる気がしないぞ」
トロフが暗い顔をしながら答える。
「もっと、大部隊で来ればよかったな」
キラも絶望的な顔をして首を振った。
「アキラ、すぐにではなく数日はまだ在るんでしょう。策を練って対処するしかないわね」
アイのこの状況でも前向きな言葉にアキラも答える。
「そうだよ、あの時の様な事はもうごめんだ」
アキラは頷きながら振りむき、静かに輝き波打つ地底湖の水面を見続けていた。
新章、三話目となります、そして2万PV達成いたしました。どうか今後ももよろしくお願い致します。
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