「藤原愛」「ローレンス・エクスペル」(11)
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「ムサッシも奪われただと・・」
大統領執務室に申し訳なさそうに入室した補佐官の報告を聞くなりエクスペルは思わずを仰いだ。
「はっ、例のゴーレムが現れたとみて間違いないそうです」
更に続く政務官の報告にその怒りを抑えながらエクスペルは退室を命じた。
「あのゴーレムを止められるものはこの国には誰もいないという事か、ショワンウー(玄武)様、バイフー(白虎)様は、当面は当初の予定通り貿易や新たな娯楽環境を流行させることで人心を掴み武力以外の方法で東の大陸を征服せよとの言葉だった」
執務室の窓から修理が進む神殿を眺めながら考え込む。
「それにプラスして内乱を画策してみるのも良い手ではあるかもしれんな。もう一度、ラーバンを使ってみるか・・」
エクスペルは別の政務官を呼び新たな「なぁの国」分析チームを選出することを命じた。
シャトルーズが「なぁの国」の王都ウロポロに戻ってくると上空を紅色した光り輝く鳳凰の姿をしたゴーレムが旋回していた。
「ビル、ビルが単体で・・何をしているんだ」
アキラが叫ぶと、チャアがアルに問いただす。
「どうしたの?アル?返事をして」
アキラにもアルの上機嫌な笑いが聞こえてきた。
「ハハハハハ~♪、アキュラ、チャア、私にも本当のマスターが出来たの、ビルに乗れるマスターなの」
その言葉にアキラは直ぐに答えを見いだせていた。
「母さん、病み上がりでもゴーレムに乗っている時はその状態を感じにくいんだ。衰弱しているんだから早く降りないと」
「あらそうなの、随分調子が良いから元に戻ったのかと思っていたわ」
「ゴーレムは俺の方が先輩なんだからいう事を聞いてよ」
「あら、残念ね。いったん降りるわよアル」
「は~い」
ビルは王宮の中庭に降りて行き、シャトルーズもそれを追っていった。
ビルから出てきたアイはヨタヨタと数歩歩くと座り込んでしまった。
「本当ね、これはきついわ・・」
アキラは駆け寄るとアイにビルを収納するように促し収納させると躊躇なく抱きかかえて慌てて中庭に飛び出してきたパーナ達の方に歩んでいった。
「アキラ、ごめんなさい二人がどうしても試したいって聞かなくて・・、試すだけよって言ってたんだけど」
パーナが謝っている途中でアキラは首を振りながら答える。
「こういう人なんだ母は、こちらこそ済まない・・」
アキラが謝っている様子に口を尖らせながらアイは反論する。
「腕が無くて翼が有ったら飛ぶしかないでしょ」
「母さん、根本的に間違ってるよ」
「あ、足技なら使えたわね」
母のその様子にアキラは天を仰ぐしかなかった。
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