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「藤原愛」「ローレンス・エクスペル」(8)

更新いたしました。

  「チャア、良く仲間を偵察以外に五体も勧誘してこれたよね」

アキラは「ゼラ・アナ」が水平線の先に消えてゆくまで見送った後、そのまま砂浜に座り込んでチャアの昨晩の詳しい報告に耳をかたむけていた。

「牧場の施設に帰られてしまっては困りますし・・、実は私の方があの子に見つかってしまったんです・・」

「慎重なチャアが先に見つかるなんて・・その子、才能が有るんじゃないか?」

「突然、後ろから「お姉さん、どこから来たの?」って声をかけられて」

「ああ、あの一番小さいフェアリースライムだね」

「ええ、全く気配が無かったから、しばらく固まってしまいましたよ。で、覚悟を決めて島での様子を聞いてみたんですが」

「最近、男のフェアリースライムは来てないって事なんだよね」

「はい、色々聞いていたら次々と友達を呼んで答えてくれるもんで」

「五体になってしまったと」

「はい、凄く仲の良いグループらしくて、いつ皆が離れ離れにされるか心配していたそうで」

「それで、五体まとめての勧誘になったんだね」

「はい、この後パーナとの連絡する時、あの子達の希望もお願いしてもらえませんか」

「わかったよ、必ず伝えるよ」

チャアは少しほっとした様な表情になると、最後にもう一度、アキラと今後の行動の確認を取る。

「この島への唯一の船での定期便は昼前に到着だそうです。貴重な男のフェアリースライムです、もしここに繁殖の為に送られているとしたら今日の便の可能性が最も高いと思います」

「で、シャトルーズで海に潜って近づき見張っておくって事だよね」

「はい、手早く連絡と休憩をお願いします」

「チャアもだよ、休憩無しでここ迄来たんだからゆっくりしておいてくれよ、俺はシャトルーズに乗り込んでから休ませてもらうよ」

「・・はい、ではパーナと連絡を取った後、暫く眠らせてもらいます」

「じゃあ、頼むよ」

パーナとの報告は随分と手早く終わった。連絡を伝え終えた後のあの冷静なパーナの最後の言葉が「お義母様がみえられる。準備を急がなくちゃ、急がなくちゃ・・」と、悲鳴にも似た言葉だった。



ゆっくりと小型の貨物船が北側の小さな埠頭に接岸しようとしていた。

「ここの岩陰からなら、荷物が確認できそうだね」

「はい、私はもう少し遠視できますので、細かい所は報告します」

しかしアキラの目からも、積み下ろされる複数のコンテナ、そして最後に降ろされたコンテナの周りに護衛の騎士達の姿が見えた。

「あのコンテナ、シャトルーズでもち上げられないかな」

「今のこの子の力だったら大丈夫だと思います」

「よし、積み下ろし用のワイヤーが外されたら、奪い取るぞ」



シャトルーズによるコンテナ強奪作戦が開始された。





次話もどうかよろしくお願いします。


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