「藤原愛」「ローレンス・エクスペル」(5)
更新いたしました。
「このままでは海はちょっと渡れないし、どこか身を隠せそうな所はないかな?」
アキラが位置管制を望むと暫くしてチャアが答える。
「この先海上に出る前に大きな細長い島が有りますが、位置的には捜索されそうな場所でもありますが・・」
「島か・・、集落はなさそうなのか?」
「多分スライムの繁殖地だと思うんで、管理棟のある場所の反対側の海岸だったら身を隠せると思うんですが」
「スライムってフェアリースライムの?」
「そうです」
「夕暮れ時を狙って海を渡って上陸しよう」
「わかりました、上手く時間調整してみます」
シャトルーズは指に捕まったまま眠りについているアイを起こさない様に気遣いながらゆっくりと島に向かって行った。
「着いたよ、シャトルーズを収納したいから降りてよ」
アキラがアイを起こすと手を伸ばしながら開口一番に叫ぶ。
「晃、水、水を頂戴!」
アキラは背中に背負う鞄から素早く水筒を出すとシャトルーズの掌から降りて来た母に手渡す。
「ぷわー、生き返るわ!」
その間にアキラがシャトルーズの収納を終わらせているとアイは目を見開いて質問する。
「何、今の魔法?、・・なにその肩の上で飛んでる妖精は?」
その言葉にチャアが丁寧にお辞儀をしながら答える。
「あ、初めましてお母様「チャア」といいます」
「え、茶さん?」
「いや、チャアだよ母さん。今、魔法で収納したゴーレムを二人でコントロールしているんだよ」
「本当にここは異世界なのね」
「今から食事にするから、その間、俺の話をゆっくり聞いてくれよ・・多分長くなるよ」
チャアに見張りを頼みアキラはこの世界での出来事を順を追って話し出した。
「なによ、私の身代わりって・・」
父の今の状態を話の最後にするとアイはうつむき大粒の涙を流しながら肩を震わせていた。今まで見せた事のない母の姿をアキラはただ黙って見つめているほかなかった・・。
暫くしていると、チャアから念話が入る。
(アキラ、パーナから連絡が入っているわ、この状態でも会話できるけど)
(頼む、声をださずに会話したい)
(じゃあ、繋ぐね)
(アキラ大丈夫、お母様は?)
(大丈夫だよ、何とか救出した)
(良かった、今はどういった状態?)
(救出したけどシャトルーズで外洋までは流石に飛行できないから細長い大きな島で休憩している)
(そこ、もしかしてスライム牧場のある島じゃない)
(そうだけど、良く知ってるな)
(その位、当り前じゃない。「ゼラ・アナ」をすでに準備させているから、そこで半日位待っててね)
(え、「ゼラ・アナ」を)
(皆、賛成してくれてるわよ、後は上手く合流してね)
パーナとの通信を終えアイに目線を移すとまさに何かを決意したであろう武人の眼でアキラをじっと見つめていた。
次話もどうかよろしくお願いします。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




