「藤原 武尊」「ヴェルビー・ナァ・ラーバン」(11)
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「随分と迷惑をかけてしまったな・・」
カウンターに座るカーメルが、渡されたグラスを少し持ち上げながらアンジェラに詫びた。
「私は凄く楽しかったよ、無事に帰れたのかね?」
「多分、今この世界で最上級の守護神を伴っての帰路だ。無事帰り付いているよ」
そう言いながら再びグラスを見つめながら持ち上げ口に運んでいった。
夜もかなり更けた後、店の扉が開き一人の軍服をまとった男が入ってきた。
「タケル!、・・いらっしゃい」
アンジェラがまず最初に反応した。
「おいおい、まさか造船所の視察に来たんじゃないよな?」
カーメルの言葉にフジワラは首を振りながら答える。
「昨日、旧知のドワーフの技師が「バリキシメト」に到着して立ち話をしていると、私に入れ違いにならなくて良かったって話になって、私の知らない造船所の視察の話になったんだ」
「大統領自らの勅命だったらしいぞ」
「ああ、ラーバンに直接、いきさつを報告させた。・・どうやら私は更迭されるらしい」
そう言いながらフジワラは椅子に座るとアンジェラ少し微笑みながら話しかける。
「昨日までそこに貴方の息子が座っていたのよ」
「迷惑をかけたみたいだな」
「私は凄く楽しかったのよ」
先程と同じ様に答えながらグラスをフジワラに渡す。
「頼まれた伝言が幾つもある、まずそれを聞いてくれないか?」
フジワラがカーメルの言葉に頷くとアンジェラは入り口にむかい店をクローズさせた。
「これがその首飾りだ」
一通り説明を終えるとフジワラに魔道具の首飾りを渡す。
「愛もこの世界に召喚されていたとはな、事故は召喚が原因だろうな・・。あいつ等は他の生命を軽く見ている」
フジワラから放たれる殺気にカーメルは体温が少し下がったような感覚を覚えながらも話を続ける。
「人質に取られている様なものだが、奥さんの剣技の知識を学習するまでは安全が保障されていると言えるが・・どうする?お前と息子の二体のゴーレムの守護神、いや、パーナ女王の三体目の守護神を使えば何とかなりそうな気がするが」
「高い知能がある長命種の生物だ決して侮れはしない相手だよ・・」
「あの、シャトルーズの力をもってしても駄目か?」
「あれもまるで底なしだがな・・、ラーバンにもきつく言いつけておいた。アレが排除のみの行動だったからこの程度の被害で済んでいるのだ。全滅していてもおかしくなかった事案だった」
「何が有ったんだ?」
「全騎、飛行ユニットを破壊され、強大な魔法陣の発生により空に浮かび上がる魔力を断ち切られ海に浮かばされていたそうだ」
「ラーバンもか?」
「全騎だ!、帰還命令を出しておいたよ・・まだ更迭されてないからな」
今後のお互いの行動を肴に「わの国」の最重要人物達の新たな運命を左右する夜が更けていった・・。
次話もどうかよろしくお願いします。
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