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「藤原 武尊」「ヴェルビー・ナァ・ラーバン」(9)

一日早く更新いたしました。


明日は私用でほぼ一日位かかりそうなので・・。

   光り輝いてゆくシャトルーズがラーバンの黒いゴーレムの間合いに突っ込んでいくと、ラーバンはゴーレムの大剣を居合の様に抜刀する。

「チィ!」

シャトルーズは獣の様な機敏さで右腕一本を犠牲にしてひねる様に回転しながら懐に入り込み逆手持ちの左手の小剣で硬いアダマンタイトの後脇腹に剣を突き立てる。

「こいつ、この動きでさらに剣術をも使おこなして見せるのか?」

ラーバンが悲痛な叫びをあげる。

シャトルーズが横側から下半身に抱き着く形を取りながら翅を広げ黒いゴーレムと共に舞い上がり、振解こうとするラーバンは右腕が元に戻ってしっかりと固められている事に愕然とする。

「腕が戻ってきているだと」

はるか上空に運ばれていく己に歯ぎしりをしながらもラーバンは理解する。

「なるほど・・あの大統領が次期国防長官を餌に最優先で捕獲命令を出すはずだ・・」

二騎のゴーレムは街を離れ海上上空へと闘いの場を移していった。



ゴーレム騎士達が次々とミスリルゴーレムでラーバンの後を追っていくと、カーメルが高級宿泊所の使用人に指示を出す。

「大きなタオルの様な物と鎖を切る道具を持って来てくれ」

地面に倒れ意識を失っているアキラのフェアリースライムに近づきながらアキラにチャアの翻訳魔法が止まっている状況を理解し英語で話しかける。

「少しは英語は判るか?」

「ハイ、少シハ」

アキラの答えに頷くと、簡単な英語を使い質問する。

「あまり驚いていないが、前にも同じ事があったのか?」

「ハイ、「アンマ」デモ」

アキラの答えに溜息をつきながら考え込む。

その時、魔導士の男がアキラに近づき魔法で手錠を解錠する。

「先程は助かった、ありがとう」

礼を言うと、アキラは黙って頭を下げた。

「彼は今、この世界の言葉が翻訳されてないんだ」

そう言いながらカーメルは地面に横たわっているフェアリースライムをタオルの上に乗せ中庭のベンチの上に運んでいった。

「あの、ゴーレムは何なのですか?生きたまま使っているのですか?私には今まで見たどの魔獣よりも恐ろしいものに感じました」

「守護神、ゴーレムのいや、この世界の守護神らしい」

そう言いながらカーメルは唇に手をあてて喋るなよとまだ顔の青い魔導士に合図した。

その言葉を聞いた魔導士は天を見上げるとその場に座り込んでしまった。



チャアの横たわるベンチの横にアキラは座り込み話しかける。

「チャア、シャトルーズは必ず帰ってくるよな・・お前の本当の身体と共に・・」




次話もどうかよろしくお願いします。


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