「藤原 武尊」「ヴェルビー・ナァ・ラーバン」(8)
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(チャア、すまない・・)
アキラはチャアに詫びを入れながら声をだす。
「カーメルさんは無事なんだな?」
腕輪を外すとゆっくりラーバンに近づいて行った。
「当たり前だ、「アン商会」の総支配人には軍が最上級の部屋を用意してある・・今はな」
腕輪をラーバンに手渡すと更にアキラに告げる。
「このまま魔導士のもとについて来てもらう、あいにくに私は腕輪からゴーレムを解き放つ魔法が使えないのでな」
「親父はまだ着いていないのか?」
「ふっ、フジワラはまだ「バリキシメト」の要塞都市で指揮をとってるはずなんだがな」
「・・視察の話自体が罠だったというのか」
「そうだ、お前を誘き寄せる為のな。カーメルも魔導士と共にいるから大人しく付いて来るのだな」
ラーバンがそう言うと、部下らしき男達がアキラに近寄って周りを固め更に後ろ手に手錠をかけてきた。
「素直で助かるな、腕の一本も切り落とさなければならないかと思っていたのでな」
再びラーバンは目の前を連行されていくアキラに冷たい目を向けながら微笑んでいた。
迎賓館の様な高級な建物の中庭にアキラは連れてこられていた。
暫くするとカーメルと魔導士らしきエルフの男が姿を見せた。
「アキラ、すまないしくじったよ。まさかあいつが・・大統領が裏で糸を引いていたとは思いつかなかった」
カーメルがすまなそうに詫びる。
「大丈夫なんですか?」
アキラの問いかけを遮る様にラーバンが声をだす。
「お前が最後まで協力的であれば何事も起きはしない、貴様のゴーレムを本国に送る事が最重要指令だからな」
「シャトルーズをなぜ?」
「答えられんな。用意も出来たようだ、腕輪を渡すのでゴーレムを召喚してもらおう。そしてすぐ腕輪を返してもらう・・下手に動くと首が飛ぶと思え」
アキラは無言で腕輪を受け取り後ろ手のまま地面に手をつきシャトルーズを呼び出す。
アキラが魔導士に再び腕輪を渡し、シャトルーズが魔法紋より出てくると前部が開きチャアが飛び出してくる。
「アキラこの子、激怒してるの・・止められない」
皆がその言葉に気を取られていると目の前の魔導士が空に浮き上がり悲鳴を上げながら、そして落下してくる。
アキラは落ちてくる魔導士に軽くタックルをしながら受け身を取らせる。
「大丈夫ですか?」
「化け物、化け物・・」
目を見開き魔導士は譫言のように叫ぶ。
そして、腕輪はシャトルーズの体内に引き寄せられ開いていた前部が閉じる。
「貴様何をした」
アキラに近寄ろうとしたラーバンとの間にシャトルーズが剣を突き立てる。
「チィ!」
ラーバンは一声あげると素早く後方に飛び地面に手をつき黒いアダマンタイトゴーレムを呼び出し乗り込みながら叫んでいた。
「誰がこのゴーレムを動かしているというのだ!」
シャトルーズの目が光り輝くとその目の前に現れた黒いゴーレムに獣のような動きで対峙していた。
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