「藤原 武尊」「ヴェルビー・ナァ・ラーバン」(4)
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カーメルはアキラの話を真剣な表情で黙って聞き続け、その話が終わると暫く思索し矢継ぎ早に質問をしかも順序だてて行なう。
「この世界の獣人族、ドワーフ族、エルフ族が彼等に創られたものだとすると、その合成相手は我々、別世界の人類であるとは推論できないだろうか?いやホモサピエンス以外の人類種も含めてとの事となるのか・・」
アキラはカーメルの問いかけに少し思案すると。
「そうですね、少なくともエルフ族とは子供を作る事は可能であると聞いています」
「私も、稀にドワーフ族と異邦人の子供とされる者が存在しているとゆう話を聞いた事が有るが、獣人との子供は聞いたことが無い。つまり獣人、ドワーフ、エルフの順に創られたという事か・・」
「いつ頃から転移が行われていたんでしょうか?」
今度はアキラが尋ねると。
「おそらく、幻の大陸が沈み黒い大洋が生まれた二千万年前以降の話だと思う。元々ゴーレムに寄生して知的生命体として進化したスライムタイプの魔物だったんだろう。WAの獣人の神殿でも彼等らしき像があったよ・・長命種で繁殖力の低い彼等が数多くの同胞を失った為に労働力の確保を必要とし、まず獣人とフェアリースライムを創り出し西の大陸へ・・、その後には東の大陸にドワーフ、エルフを送り出したって感じではないかな?」
「凄い、多分当たっていますよ。きっとそんな感じですよ」
更にカーメルは続ける。
「近年に入ると、彼等は異世界の生物を必要に応じて召喚し続けていた彼等にとって、未知の科学技術という知識を得る為に我々を無作為に召喚し始め、やがて能力に秀でて者を召喚できるようになったって事か」
「それで異邦人が増えたんですね」
「ああ、最初は獣人達にやらせていたんだろう。だから西の大陸に異邦人が多かったんだろう」
「それと、この世界の地形は俺達の世界に非常に似てますよね」
「物理法則はだいぶ違うようだけどな、しかし奴らとフジワラとの出会いが原因で武術の知識にも興味を持ってしまい君の母、つまりフジワラの妻が召喚され囚われ続けているとはな」
「もしかしたらカーメルさんも優秀だから囚われていたんじゃ」
カーメルは暫く考え込んでいたがやがて口を開いた。
「いや、多分大丈夫だろう。召喚されたら歳をとってた訳でもないし会社経営の能力の高い者として呼ばれた訳だからな」
「なぜ、反発とかしなかったんですか?」
「君と同様だよ、只々獣人の異邦人達への扱いがひどすぎてね、何とか独立運動の力にならないとと思ったんだよ」
「親父もですか?」
「そうだ、彼に救われた同胞達の命はきっと既に万単位以上になってるだろうね」
カーメルの言葉に父親に対して少し安堵する思いがあったが、ではなぜ東の大陸では侵略戦争を行ったのかとその理由を聞くとアキラは再び頭を抱える事となった。
次話もどうかよろしくお願いします。
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