優しいはずの母違いのお姉さまに馬鹿にされていたことを知った私が絶望した日、婚約者もとられ婚約破棄をされました。絶対に許しません。
私は庶民として10歳まで下町で暮らしていました。
母が死んで、父という人が私を引き取りに来ました。
父は、侯爵で、母は使用人であったらしいです。
正妻である義理の母はとても怒りました。でも母違いの姉がとりなしてくれて、私は館においてもらえることになったのです。
5歳年上の姉は母にはよくしてもらったから、ととてもやさしくしてくれました。
お古だけどごめんねとドレスなどもくれました。
私はお姉さまが大好きでした。
しかし、私が14歳、お姉さまが19歳で、王太子殿下の婚約者の選定があり、私が選ばれたとき、姉がとても怖い顔をしてこちらをにらんでいました。
私は絶対お姉さまの間違いだといいましたが、魔法力の高さは私のほうが上で、血統はお姉さまが上、魔法力の高さをとったと父に説明されました。姉はそれから全く口を聞いてくれなくなりました。
私は……王宮に送られ、でも5歳年上の王太子殿下になじめず、半年がたち……。
「イリア・フォレス。お前は侯爵の本当の子ではない。使用人であったというお前の母が同じ使用人の男と通じて生まれた子であるということがわかった。婚約破棄をして、お前を追放する!」
私は王太子殿下にこう宣言され、王宮を放り出されました。
私は泣きながら実家に帰ると、冷たい目をしたお姉さまが門越しにこちらを見ていました。
「あら、妹のふりをした卑しい女が何の用です?」
「お姉さま……」
「妹でもなんでもありませんわ、卑しい女の血をひいた、嘘つき! 自分の住処に帰りなさい!」
私はお姉さまににらまれ怒鳴られ、門越しにちゃりんと金貨を投げつけられました。
私は昔住んでいた下町まで泣きながら帰り、大家さんに話をして、なんとか元の家においてもらえることになったのです。
でも……そのあとお姉さまが新たな婚約者になったと聞きました。
「おかしいねえ、あんたの父って人は確かにあの侯爵さんだよ。あんたの母親もいっていたよ。お情けをいただいてあんたができたけど、迷惑をかけるから身を引いたってさ」
母はうそをつく人じゃありませんでした。父から託された紋章のはいった首飾りも大事に持っていました。私はお姉さまの憎しみに満ちた瞳を見て、裏切られたことを確信したのです。新しい婚約者となった姉が私の母が男と通じて私を生んだ、父を騙して娘と認めさせたと噂を言いふらしてるのも聞きました。
「……ひどいです」
私は優しいと思っていたお姉さまに裏切られたことを知り泣きました。
そして真実を明らかにするためにある方法を考えたのです。
それは審判の門のことでした。真実を明らかにする神の門、庶民でも神殿に願い出れば使えるのです。
「もうこれしかない」
母の名誉を傷つけられ、私は怒りました。
私は神殿に申し出て、審判の門の使用許可を得たのです。
「……審判の門に願うことは何か?」
「真実を明らかに、母は嘘をついてはいません。私は父のフォレス侯爵の娘です! それを明らかにすれば私をまたもとの身分に戻すと約束をさせてください!」
私は門の前に立ち、神官様に宣言しました。
すると神官様はうなずきます。目の前にいるのはお姉さまと父、王太子殿下。
「……」
私は黙って審判の門をくぐりました。何も起きません。
真実ではなく虚偽だった場合、私は門に吸い込まれ消えるのです。でもそのまま出てきたのを見て皆が真実だと驚きます。
「その存在すらかけた審判にこの娘の申し出は真実とされました。彼女の申し出を拒否は許しません」
神官長様が出てきて宣言すると、ちっと舌打ちするお姉さま、お父様と殿下は茫然としています。
お姉様が殿下とお父様に嘘をついたことがそのあとわかりました。
お姉様は虚偽の罪で審判の門をくぐらされ、そのあと行方知れず、私は殿下とこちらから婚約破棄をして、下町で今も暮らしています。
殿下は神官長様から申し出を陛下が受けて、廃嫡されたそうです。
……審判の門に消えたお姉さまの行方はわかりません。
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