~強い思いは力に代わり、硬い意志を貫くていると勝手に仲間は増えていく~
あの男達が憎い。許せない。
憎しみは持ったまま死ぬわけにはいかないなんて考えていたが、
まさか死んでからもまだ憎み続けているとは。
受付の鬼は俺をこん棒でぶってからこういう
「なんだその目は」
俺の瞳は憎しみにより燃えているのだ。
左目は真っ赤に染まっている。
列は長くいつになったら裁判が始まるのか。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
『座れ。』
ひげ面のしわしわの角の生えた赤ら顔の男がこちらをみている。
優に3m程度はある。俺の顔を覗き込んでいる。
『憎しみに囚われちまってるね。まず転生しようにも憎しみをなんとかしないとできないねぇ。
無間地獄1周で。』
バンッ印鑑が押された。
こちらが話す隙もなく判例が決まっていく。
無間地獄・・・聞いたことがある。最低の地獄だってな。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
この崖から飛び降りてもらいます。
小さい小鬼が高い声で叫ぶ。
俺は何も答えない。
俺の右目に見えるのは殺し損ねたあいつの死にざまだから。
「地獄終了まで生き抜けた人はいませんので、初めて目指して頑張りましょう」
そしてこん棒でお尻を押し出された。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
どれほど憎み続けていただろうか。
『言霊』という言葉示しているように、言葉には強い力を持つことがある。
落ち続けてからの何年・何十年と憎み続けてきただろうか。
1日という概念があるのかはわからないが、憎しみを抱いているか、
殺しの方法を考えている。
堕ちているといっても動くことはできるので、いないはずのカタキを想像して
1日中妄想のそういつを殺し続けた。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
永遠にただ堕ちていく。
一体俺はどのような罪と罰だったのだろうか。
はるか遠くの過去のことで、現在はすでに忘れてしまった。
とにかく憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
幾百年が過ぎただろうか、たまに我に返り憎しみ以外の感情を探そうと思うが
それ以外には見つからない。
ここで堕ちている人間は皆そうなのだろうか。
ぼーっと何もない真っ暗闇を見ていると、
渦のようなものが形成された。
その中から顔が覗く。
ひげ面で皺が目立つ。目はぎょろりと大きくこちらを睨んでいる。
如何にも強大で不遜な表情。
『少しは罪を償う気持ちにもなったか?』
名前は憶えていない。
こいつが誰だったのか憶えていないが、俺の憎しみはこいつを憶えている。
といってもいつもの憎しみの1/100にも満たない量だが。
「誰だてめぇ。」
『あまりの時の長さに憎しみ以外を忘れてしまったのか。』
憐れんでいるような笑いを嚙み殺すような表情だ。
俺にこいつが誰であろうが許さねえ。
『今のお前に何ができる。無間地獄を彷徨う虫けらだろう。そしてその無間地獄にさえたどり着いていないご。』
「お前を殺すことだってできるさ。」
憎しみが渦のように具現化し、身体を巻き込んでいく。
『ほう。強い憎しみをコントロールしつつあるのか。地獄に落ちなければ先行き楽しみになる逸材だったかもしれんな。』
「地獄からいますぐでてやるよ。」
巻き込まれた渦は男の衣服のような形になり、空中での推進力を与えた。
ギャウッ
中空を蹴り、閻魔の元へ飛ぶ。
『憐れなり。』
閻魔が手を重ね祈ると、男の周りに赤い風船のようなバチバチした円が作られた。
「あああああああああああああああああ」
憎しみの渦は消え失せ、男はまた堕ちていく。気を失いながらも堕ちていく。
いつまで続くのだ、この落下は。
二話に続く