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ヽ(゜ロ゜; )ギャアア!!ΞΞ\(  )/ΞΞギャアア!!( ;゜ロ゜)/

本日三本目。連続更新はこれでラストです。


 はーい本日は決戦当日でーす。

 日の光が全く差さないどころか横殴りの豪雨。

 いやー最高に良い天気ですねー。あとタイミング良く雷が落ちれば最高。

 私が雷背負ったらそれだけで百人くらい土下座させる自信あるね。

 オリビエ様には涙流しながら包丁持ってもらうと最高。


 いやそんなことはどうでもいい。

 とにかく決戦日和なのでオリビエ様に喧嘩売りに行きます。

 放っといてもやってくるだろうけど、やっぱこういうのは先手必勝です。


「ごきげんよう、オリビエ様」

「ごきげんようエレアノーラ様。朝からお顔を拝見できるとは、今日は良い一日になりそうです」


 私にとっては最高の日だな。


「お呼び止めしたのは他でもありません。本日、オリビエ様をお茶にご招待いたしたいと思いまして」

「まぁっ、それは本当ですか?」


 おおう、ものすごい嬉しそうだ……。

 ヤバいなこの満面の笑みは。


「はい。生憎の空模様ではありますが、殿下もご一緒いただける日は今日しかありませんでしたので」

「殿下もご一緒なんですの!? そのような席に招待いただけるなんて……」

「今まで何度もお断りしておりましたので、せめてもの償いをと、殿下も考えておられます」

「まぁ……私のような者にそこまで考えて下さるなんて、今日はなんて素晴らしい日なんでしょう」


 このまま天に昇りそうな具合だな……。


「お誘いありがとうございます、エレアノーラ様。必ずお伺いいたしますわ」

「お待ちしております、オリビエ様」


 ちょろいんげーっと。


 あとはぶちかますだけだ!




 というわけで放課後でーす。

 待ち構えてるときに限って発生する突発イベントなんて一切ありませんでした。

 さすが私。日頃の行いが良いからに違いない。

 強いて言えば、生きたまま解剖されてたキメラが暴走して他の実験用魔物も取り込んでグレーターキメラになって実験棟の風通しが良くなっただけ。

 殿下が真っ二つにして私が焼き尽くした程度で済んだからイベントでも何でもない。イベントにしたかったらせめてグロス単位でかかってこい。


 そんなわけなので準備は万端。

 部屋は私の部屋。私が誘ったんだから殿下の部屋でするわけにはいかない。

 当然護衛の皆さんには他の部屋で待機してもらってます。

 でも王族なのに思ったより少なかった。

 てっきり見えないのも含めて二桁居るかと思ったのに。


 あ、あと当然だけど全員男。

 爽やか系からワイルド系、ショタからミドルまで各種取りそろえておりました。

 どういう人選だよ。

 ていうかね、ショタには執事服でしょなんで鎧なの。それになんで執事がナイスミドルじゃなくてワイルド君なのおかしいでしょ。テンプレは重要なんですよ! ワイルド君は鬼畜眼鏡と言い合いしながら背中合わせて護衛してほしいんだよ! ショタ執事(女装メイドも可)は仲裁に失敗して泣いてほしいんだよ! 天井からクーヤンに見つめられててほしいんだよ! 期待させるだけさせられて裏切られたこのがっかり感がお前らにわかるかーーー!!


 あ、つい魂の叫びが。


 こほん。

 とにかく準備は完璧。

 私も殿下も既にスタンバってあとはオリビエ様待ち。

 あ、来た。誰かー、ダー○ベイ○ーのBGMおねがーい。誰がウ○デ○ーネとか流すか。


「ようこそお越し下さいました。オリビエ様」

「本日はお招きいただきありがとうございますエレアノーラ様。殿下もご機嫌麗しゅう」

「オリビエ嬢こそ、この空模様でも元気そうで何よりだ」

「それはもう、お二人とご一緒できるのであれば、例え如何なる場所であろうとも私にとっては楽園と等しくありますから」


 なごやかーに挨拶交わして着席。

 お茶をずずずっといただきます。

 今日は普通の抹茶。やっぱ領の名産出さないとね。これで本気で迎えてるって思い込んでくれるでしょ。

 いや今のオリビエ嬢だったら何だしても笑顔でいてくれそうだけど。

 それぐらい笑顔。花が咲いたとかこういうの言うんだろうね。本当に楽園気分みたい。


「これがあのサースヴェール家のお茶なのですね……品のある味に豊かな香り。初めていただきましたがとても素晴らしいですね」


 そっか、満足したか。

 それじゃ早速地獄に叩き落とすよ!

 前置きなんてかったるいもんはすっ飛ばす!

 腹の探り合いとか知るかー!


「オリビエ様は初めてだったのですね。先日セイブラム家にお届けしたと商家の者が申しておりましたので、既に召し上がったものと思っておりました」

「そうなのですか? 私、領のほうとはあまり連絡を取っておりませんので知りませんでした」


 知らないんかーい。

 まぁそれは予想通り。


「それに恥ずかしながら、領ではアンデッドが蔓延っていてあまり良い状況ではありませんから。お父様は隠したがっているようですが」


 あっさり家が隠したいこと暴露しやがった。何考えてんの。

 まいっか。それじゃ次はこっちのターンだ!


「そのことなら存じております。我が領からの購入品も、その対応のためだとか」

「あら、どうしてエレアノーラ様がそんなことまでご存知なんでしょう?」


 驚いてるよー笑顔が取れたよーまだ行くよー。


「オリビエ様のことを調べましたので。私と殿下で」

「まぁ……」


 口元隠すように驚いてますねーいいよいいよー。

 んじゃもっと――


「まぁまぁまぁっ! なんて素敵なことでしょう!」


 …………あれ?

 どったの? なんで喜んでんの?

 私ら貴方のこと勝手に調べたんだよ?

 ふつーそんなことされて怒らない? なんで喜んでんの?


「まさかそのようなことをして下さっていたなんて……そのようなことを聞かされては私、もう我慢できませんわっ」


 なんでそんな感極まったような表情で席を立つの?

 なんでそんな顔を赤くしてこっち寄ってくんの?

 なんで私の前で膝ついてんのーーーー??


「どうか、どうか私めも、エレアノーラ様の魂の従僕に加えて下さい!!」


 ……………………………………は?


 いやいやいや。意味がわからん。

 何をどうしたらそんな言葉が出てくんの。

 え、今ここそういうシーンだった?

 断罪イベント兼腹黒聖女をボコるシーンじゃなかったの?

 なのになんで魂の奴隷化希望されてんの?

 ちょ、どういうこと?


「………どうして?」


 ふつーに聞いちゃったけど、私悪くないよね。

 殿下も何これって顔してるし。

 いいよね? よし、殿下もいいって。

 というわけで吐け。


「私、初めて見たときから……エレアノーラ様のことをお慕いしておりましたの……」


 【慕う】

  恋しく思う。心がひかれなつかしく思う。思慕する。恋慕する。


  類語:好きです♪


 いきなり何言ってんだこいつわ!!!!


「オリビエ様には婚約者がいらっしゃったはずですが」


 男が居ただろついこないだまで!!

 いくらなんでも速すぎるだろ!!

 ……ていうか『初めて見たときから』、だと?


「ローガス家の方とは聞いておりましたがお目にかかったことはありません。私、自らの伴侶は自分で決めたいと思っておりましたので」


 ……会ったことがない?


「その方も先日の騒ぎで廃嫡となり婚約も解消。しかもそれをして下さったのがエレアノーラ様。それを聞いた私は、もう我慢などする必要はないと思いましたの」


 …………え、ちょっと待って。


「……それでは最近になって何度もお誘いいただいていたのは」

「もちろん、この気持ちをお伝えしたかったからです!」


 ここでやっと顔を上げたんだけどさ。

 頬は赤らんで目も輝いてさ、もう本気で恋する乙女モードなんですけど。

 ついでに背中に花が咲いてるね。私には見える。いや見たくない。


「……ですが殿下もお誘いになっていたようですが」

「それは仕方のないことなのです」


 殿下、仕方ない扱い。


「エレアノーラ様はゆくゆくはアークレイル殿下の正妃となられるお方。であれば、私はエレアノーラ様と結ばれるわけにはいきません」


 え、なんかいろいろぶっ飛んでない?

 なんで正妃? いや結ばれるとか、え、ちょっと?


「ですから殿下の側妃、いえ愛妾にでもしていただければ、ずっとエレアノーラ様の側に居ることができると考えたのですっ」


 ………………いや、いろいろわからなくなってきた。

 ちょっとまとめさせてくれ。

 えーっと。


 オリビエ様は婚約者のことは通行人A程度にしか考えていなかった。

 なのでオリビエ様は自分で結婚相手を探していた。

 そして何をとち狂ったのか私に一目惚れ。

 だけど婚約者が居るのでどうしようかと考えていたところ、この間の騒ぎで退学、廃嫡、婚約解消のスリーアウトチェンジ。

 オリビエ様、フリーになった反動でヒャッハー。

 私との交友を深めようと猛烈アタック開始。

 同時に殿下にもアタック開始。ただし滑り止め受験。本命ではない。

 そんなときに私がお茶に誘った。

 しかもその場で『お前のことならなんでも知ってるんだからな?』宣言を聞いてしまう。

 オリビエ様、超嬉しい。

 暴走して『結婚できないなら愛人でも良いから! むしろ奴隷にして!』とカミングアウト。

 今ここ。


 はー、そうっすか。ふーん…………。




 なんじゃそらああああああああああああああああああああああああああ!!!!




 何がどうしてこうなった!!

 あんた頭大丈夫か!!

 よりによってこの私とか、頭沸いてるだろ!!


 それ以前に性別が問題だろって?

 違うんだよ。

 言ってなかったけどこの世界。


 同性婚は 『 合 法 』 です。


 大事なことなのでもう一度。


 薔薇も百合も合法なんだよーーーーーーーー!!!!


 この世界ね、血筋が軽視されてるってほどでもないけど、それより『家』のほうが重視されてんの。生まれよりもどう成長したかに意味があるっていうか。

 だから同性婚で子供が生まれなくても、適当な養子引っ張ってきて手続きすればは跡継ぎにすることだってオッケ-。

 大体は親戚とかから引っ張ってくるけど法律上は身元不明でもオッケー。もちろん調査はされるけどね。犯罪者とかだったらダメだし。


 あと当然のように一夫多妻制。いや一夫多夫妻制? どうでもいいや。

 とにかく当主(ここでは男と仮定するけど、女でも当主になれる)一人に対して、複数の嫁と夫が居ても何ら問題ないわけです。

 むしろ同性婚の場合はそういう家が多い。養子オッケーっていっても、やっぱ自分の子供のほうがいいって考えるし。

 そしてそういう輩は実際居る。私の親戚筋にもな!


 だから私とオリビエ様の結婚だって可能。

 そういうことはこの世界じゃ普通の考え方。


 だからって私はないだろ!!


 なんでこんな残虐非道な悪役令嬢(最近下僕も増えました)に、学園の聖母様が惚れるわけ!!

 ヤンキーに惚れるお嬢様とはわけが違うんだよ!

 魔王に連れ去られて次第にほだされる姫かっての。あれはただのストックホルム症候群だっつーの!


 オリビエ様に会ったのは去年の入学式が最初。

 いくら一目惚れだからってそれから一年以上引っ張るとかありえないでしょ!

 現実見ようよ! いつまで恋愛フィルターかかってんの!


「私、エレアノーラ様のことをずっと見ていました」


 にこにこ聖母かと思いきや、にこにこストーキングヤンデレ聖母でしたか。


「ですから学園に入学して依頼一度も笑顔を見せなかったエレアノーラ様が、あの騒ぎから殿下にだけ笑顔を向けるようになったことも知っています」


 それ笑顔っつーかただのニヤリ顔……。

 だいたい愛想笑いくらいしたことあるっての。




「人を苦手としていたエレアノーラ様と、女性を苦手としていた殿下がお互いにだけ本当の笑顔を向けていた。それを見たときは私、本当に嬉しかったんです」




 …………は? ちょっ……え?


「あら、エレアノーラ様にしては珍しく意外そうなお顔。そういった表情も素敵ですわ」


 いやそういうこと聞きたいんじゃなくてだな!


「エレアノーラ様と殿下がいつもお互いを見ていたように、私もエレアノーラ様を見ていたのです。それくらいはわかりますわ」


 私が人を苦手だってことに気付いていたのは、殿下だけじゃなかった?


 いや殿下にしたってあのときまで気付いてたわけじゃなかったのにさ……。

 割と隠せていたと思ったのに、これじゃ他にもバレてんの……?


「ああご安心下さい。私の知る限り、そこまで気付いていらっしゃる方は他には居ないようですので」


 見ただけで考えてることわかるとか本物だ! 今の私と殿下みたいなもんだよ!

 この場合一方的だけど!

 やばい、本気で相手のことを見てたってのはどうしても理解してしまう。

 こないだ殿下と二人で思い知ったばっかだし、こんな状況でわからないわけがない。


 ということはさっきの話は全て真実で、私たちが疑ってたようなことは一切無かったってことになる。

 平和的な結果だったのは良いことだけどさ、でもこんな結果は求めてなかったよ!


「私はお二人の邪魔をしようなどとは思いません。ですからエレアノーラ様の寵愛を受けることも諦めます。ですがどうか、エレアノーラ様との絆だけでもいただきたいのです」


 それで魂の奴隷にしてほしいって、健気じゃなくてヤンデレだから。

 いやそれよりも問題があるんだけど!


「何故、私と殿下の邪魔になるのでしょうか?」


 さっきから正妃だのなんだの、私と殿下が結婚するのが当たり前みたいなこと言ってるのは何故だ!

 確かに最近殿下と一緒に居ることが多いけど、それはオリビエ様のせいであって……。


「私だけではなく、他の方も申しておりますよ? 殿下の正妃に相応しいのは、エレアノーラ様をおいて他にないと」


 はぁ?

 そりゃ取り巻きーズはそんな寝ぼけたこと言ってるけどさ、他は……。


「昼食をとる光景を見た者たちは、最初こそ反発した者がいたのは事実です。ですが今では、その仲睦まじくお互いを思いやる光景に心を打たれ、立ち入る隙がないと多くの者が認めています。だから今では割って入ろうなどとせず、ただその美しいお二人を見守る方ばかりですのよ」


 無言でご飯食べてただけなんだけど……。

 確かに殿下は口数多いほうじゃないし、私とテーブルにつくことに慣れてからは食事も楽しんでそうだったけどさ。無言だけど。

 ていうか最近酷い視線が減ってきたなーって思ってたけど、それでだったのか……。


「加えて放課後の戦闘訓練。敢えて厳しい対応をするエレアノーラ様と、それに必死で追いつこうとする殿下。お互いのことを強く想うからこそ出来る、素晴らしい関係だと誰もが認めることになりました。お二人がそれほど頑張っているのに、自分たちが見ているだけでは王家に仕える者として恥ずかしいと、他の方々も訓練に精を出してらっしゃいます」


 いやいやただボコってただけですが。確かに殿下の欠点を潰すような訓練メニューだったけど。

 ていうか誰も見に来なくなったのはそれでだったのか。

 最近他の訓練場からも魔力反応あるのはなんでだろーと思ったけど……。


「しかもその後はいつもエレアノーラ様のお部屋でお茶を楽しんでらっしゃるとか。よほどのことがなければお茶の席に出ない殿下と、庭で茶会を開くことはあっても決して自らの部屋に人を招こうとしなかったエレアノーラ様。その前提が崩れたということは、お互いを特別な人として扱っていることであると、誰もが思い知らされたのでございます」


 こっちは純粋にお菓子で餌付けしてただけだったのに……。


「ですから、今学園ではほぼ全ての人間が殿下とエレアノーラ様の仲を認めているのです。もちろん私も」


 いやいやいやなんでオリビエ様まで!

 私のこと見てたんなら殿下が怖いってわかるでしょーが!


「エレアノーラ様が殿下に恐怖を感じていたのは知っています。ですから最初はその仲を引き裂こうと、エレアノーラ様をお誘いしていたのです」


 アレで助けてるつもりだったのか……。


「ですが次第に、お二人がお互いを見る目が変わっていくことに気付いたのです」


 ん? 見る目が変わった?


「昼食の際はお互いが恐怖していることを察し、ぎこちなくも思いやりのある視線を交わしてらっしゃいました」


 いやまぁ、お互い大変だねーとは思ってたけど……。


「戦闘訓練を繰り返すたびにお互いのことをわかり合い、恐怖が薄れると同時に視線を交わすことも平気になっていくその様子。私、しっかりと見ておりました」


 ……そういや殿下の視線見ても怖くなくなったなぁ。

 何で怖かったかといえば、それはお互いのことを知らないから。

 知らなきゃ何をされるかわからない、次はどう出てくるかわからない。だから怖い。


 母の教育のおかげで、自分が知ってる人には普通に対応できるようになったしね。

 だからよく知る相手なら怖くないんだけど……私が殿下のことをよく知ってる?


 一緒に食事するようになったから好き嫌いは知ってる。

 男の子らしく肉が好きらしい。結構がっつりいく。

 でもトマトが嫌い。ちゃんと食べてるけど他と違って全然味わってない。すぐに飲み込もうとする。そのとき小さく顔をしかめるのが可愛い。


 訓練するようになったから戦いの癖も知ってる。

 正面突破大好き。見た目と違って結構脳筋。

 搦め手に弱いけど学習はしっかりする。いきなりなんでも出来るタイプじゃなくて、経験を積ませると力を発揮するタイプ。前回引っかかった手を突破できるとものすごく嬉しそう。その後飛び込んでくるときは結構格好いい。


 お茶するようになって趣味も知った。

 ただ無言でお茶飲んでお菓子食べてるだけじゃなくってさ、話もしてたんだよね。少しだけ。

 で知ったんだけど、殿下、料理がメチャうまらしい。

 リーエ(究極)=ルーエ(至高) >>> 殿下(プロ並) >>> 私(主婦並)、の順。

 リーエとルーエとものすごく料理の話してた。殿下、なんとお料理男子だったのだ。

 しかもトマト嫌いをなんとかするために始めたらしい。トマトソースとかに加工したら大丈夫なんだって。なにその可愛い理由。

 あと遠乗りにしょっちゅう行く理由は遠くにあるお花畑を見て癒やされたいからだとか、今使ってるハンカチの刺繍は自分で入れただとか……。


 うん。私殿下のこと相当知ってるわ。

 つまり私と殿下は、食べ物の好みや趣味のことをお互いよく知ってて、双方何考えてるか視線でわかるくらいに理解が深い間柄。というわけか。

 そりゃ怖くなくなるはずだよね-あはははははははは。


 なんだその熟年夫婦わ!!


 いや待て、殿下の視線にはもう一つ怖い理由があったはずだ。

 考えたくないけどアレだ、気を抜くと爆発しそうになるアレだ。

 でもあれって正確には恐怖じゃないよね。

 なら恐怖の原因が抜けたらどーなるよ。


 答え:恥ずかしさしか残らない。


 うわああああああああああああああ!!!!!

 そんなこと考えるんじゃなかった! 恥ずかしいだけなのに視線合わせられるか!!


「あら、二人とも素敵なお顔」


 うっさい!!

 って殿下も? あー……チラッとしか見なかったけど、アレ照れてるね。同じ考えに至ったか……。


「やはりお二人の仲を裂くことは出来ないようですね」


「仲など無い」

「仲なんて無い」


 恥ずかしいからつい否定しちゃったけど、セリフも被ったーーーーー!!

 でも事実だから! 仲なんて良くないから! ただ利害関係の一致した同士だから!


「では……まだ私にもチャンスが残されているということでしょうか?」


 …………ん?


「そうだ。オリビエ嬢には、まだエレアノーラ嬢と結ばれる可能性がある」


 おい殿下何言ってんだ!


「まぁ。私、都合が良いとわかっていても、その言葉本気にしますよ?」


「私の口の挟めることではないからな。さてオリビエ嬢の考えもわかったことだ。私がここに居る理由はもう無くなったな。この場は失礼させてもらおう」


 こいつ私を売って逃げるつもりだ!

 そんなすまなそうに視線逸らしながら逃げるんじゃなーーーーい!!

 そうはさせ、


「殿下のお許しも出たことですし、これで誰はばかることなく愛を育めますねっ♪」


 まわりこまれてしまった!!

 なんでお前ら息ピッタリなんだよ!!

 あーっ、殿下逃げた! 本当に置いて逃げたーーー!!


 戦闘訓練でボコボコにされたお返しのつもりかっ。十倍返しするぞコラ!

 ってもう戦闘訓練する理由も無くなったーーー!!


「エレアノーラ様ぁ……」


 そんなうっとりした声出しながら寄ってくるな!

 リーエっ、ルーエっ、良いなぁって見てないで助けろ! 主のピンチだぞ!


「「見てるだけでも、これはこれでアリです」」


 意味がわからんこと言うなーーーーー!!


 やめろっ、抱きつくな! 頬を寄せるなーーーーー!!




 結局抱きつかれそうなところを本気で投げ飛ばして(オリビエ様、鈍くさそうに見えるのに華麗に着地)、それからひたすら逃げ回った。

 ……なんとか逃げ切ったけど……本気で疲れた……。

 明日からどうしたらいいんだ……殿下ガードは使えないし、つーかあいつ裏切り者だし……。


 ……部屋から出るの、怖いよぅ……。



次回更新はまた当分先となります……。

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