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災い迫る!?

 ふたたび、二人と一頭の素敵な旅が始まった。あれ以来、まだカイの実家の襲撃は受けていない。


 わたしは料理に居場所を見つけ、街々で調味料や調理器具を多少なりとも増やしながら(当初は岩塩と鍋一個だけだった!)旅をする。

 懸念だった生物の扱いも、カイの秘密道具的な鞄が簡単に解決してくれたので、念願のハンバーグも食べれたのは嬉しい限りだった。それにしても、生物収納すれば鮮度も保てるとか、どういう作りなのあの鞄!


「カ〜イ〜! できた〜!」


 トマトっぽい野菜ベースのソースで煮込んだハンバーグを、二人分の器に盛る。ソテーした野菜と、あたためたパンを添えれば完成だ。わたしは器を手に、カイを呼ぶ。

 野営時は貧しい食生活を送っていたらしいカイは、わたしが料理を作れることを知るや、一切調理に手を出さなくなった。焦げたパンもお湯味なスープも、もはや過去のものだ。


「お、うまそうだな!」


 先だって作ったハンバーグを特に気に入ったらしいカイは、器の中身を見て目を輝かせた。こういうところはなんだか子どもっぽい。


「中、入る、チーズ」

「え、中にチーズ入れてんのか?」


 そう、本日のハンバーグはチーズインなのですよ!


「めちゃくちゃうまいな、これ。ナギの国の料理は凝ってるな」


 一口頬張って、カイが嬉しそうに評する。それに倣うように、わたしもハンバーグを口にした。

 お肉が鹿もどきの肉なのでどんな感じかと思ったけど、そんなにクセも臭みもなくておいしい。煮込みよりニンニクで焼いた方がおいしかったかな? カイは気に入ってるみたいでよかったけど。


「焼く、今度ね」

「おう、よろしくな」


 パンでソースを拭って食べながら、カイが頷く。本当においしそうに食べてくれるので、作った甲斐もあったというものだ。よかった、料理は得意で。


「ナギ、図書館に行こう」

「図書館……」


 野菜を咀嚼していると、カイがなんでもないことのようにさらりと提案した。思わず口の中のものを丸呑みしてしまう。


 迷い人のことを調べて歩く旅なのだから、図書館に寄るのは当たり前で、それは自分のためなんだから率先して行けばいいんだけれど。……どうしてもあのもっさりがニヤニヤしながら待ち受けてそうで、なんとなく怖い。


「うん……」


 でも、避けてたらいつまで経っても帰れない。楽しい旅もいつかは終わりを迎えるものだ。ホースクルに行かなければあの陰険ニヤニヤ司書には会わないはずで、あんな奴が二人も図書館にいたらイヤだ。


「行こう、カイ。図書館」


 そして探さなきゃ。過去にいたかも知れない、帰れた迷い人を。わたしの可能性を。


 ※ ※ ※ ※ ※


 向かった街はドルフィーという港町だった。眼下には紺碧の海が広がっており、わたしは知らず感嘆の声を上げていた。


「あれ! カイ、あの水なんて言うの?」

「海だな。シファル海といって、ナザフィアとイセルルートと隔てる海だ」

「海!」


 潮の香りがクロムに乗っていてもわかる。海! 久しぶりだ!

 わたしはワクワクして街に向かった。


「待てぇっ!」


 街に入った途端、わたしたちに向けられたのはそんな声だった。追われている自覚のあるわたしは、思わずビクッとしてしまう。カイもわたしを背後に守るように、剣の柄に手をかけ、前に出る。


「たっ、助けてくださいぃ〜!」


 警戒態勢を取ったわたしたちに飛び込んできたのは、ピンクのドレスを着た、なんとも可愛らしい女性だった。

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