第一村人発見⁉︎
どうしよう! これはどうするべき⁉︎ 死んだフリ⁉︎ いやそれは熊か。違う、熊は死んだフリじゃダメだ、目を合わせて背中見せずに撤退!……って、虎にも効くのソレ⁉︎
虎を見据えてわたしは息をとめた。掌に冷たい汗がにじむ。
大丈夫、これは夢だ。夢だからどうにかなる。都合よく助けが来るはず!
じり、とうしろに下がる。大丈夫、大丈夫。言い聞かせるように心の中で呟く。
しかし、わたしが見ていたのは悪夢のようだった。おきまりのようにパキッと枝を踏んだ瞬間、木陰からこちらを窺っていた虎が動いたのだ!
「……‼︎」
それは虎のようで虎ではなかった。背中に一対の羽が生えていたのだ。おおうファンタジー! いや、ファンタジックな悪夢ってなによ⁉︎ たしかに本は好きでなんでも読むけどーー
「ちょ、ま……! いや……っ‼︎」
こっちくんな‼︎
わたしは思わずしゃがんで顔を背けた。
「○☆\%○☆?」
そのとき、虎もどきのさらに影から、のっそりと大きな人影が出てきた。
「☆%*#$?」
……第一村人は、背の高い、おっさんでした。しかも殺気立った。
血のついた右手の抜き身の剣を見て、わたしは腰を抜かした。
夢でも腰が抜けるのね。