表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/122

迷い人ってなんですか⁇

「お嬢さんは“時空の迷い人”かもしれん」


 おじいちゃんがそう言うと、カイは心底信じられないというような複雑な顔をした。


「時空の、迷い人……」

「お主も聞いたこともあろう、迷い人のことを。数百年から千年ごとにこの世界に現れる、異世界の住人じゃ。過去に数人現れた記録がある」


 “時空の迷い人?” それってなんだろう⁇

 訊きたかったが、訊ける雰囲気でなかったので諦めた。あとで訊いてみよう。


「“炎の魔法使い”エディ・マクレガーか。今のヤークトのあたりにあったローゼルト王国を滅ぼしたという……」

「そう、あと記録に残っているのは“治癒師”エレアノーラかの。それ以外は特に目立つことはせず、国や神殿、魔導師団などに保護されたという記載があるだけじゃったか。押し並べて皆高い魔力を持っておったせいで、全員が魔法使いと姻戚関係を結んだとされておる」

「……結ばされた《・・・・・》の間違いだろ。彼女・・たちは強い魔法使いを産ませるために、強制的に婚姻関係を結ばされたんだ。彼らの血が入った家は、魔法使いないし特異能力に長けた人間が時折産まれるからな」


 カイは苦々しげな表情をしてそう言い捨てた。なんだろう? なんか難しい話なの? エディとかエレアノーラって聞こえたけど、その人たちのこと⁇

 一言一言が長すぎて、リスニングが追いつかない。たまに“魔法使い”って単語が出てくるけど、それってなんだろう? 言語の壁は厚い。今心底この言語の対訳が欲しい。英語を学んだときは、単語や熟語の意味を日本語で調べられたから覚えやすかったんだな〜と、今更ながらに感心する。


 隣で必死にリスニングに励むわたしの頭を、カイがぽんぽんと叩く。見ると、なんだか困ったような苦しいような顔をしている。えっ、なに⁇


「もし、ナギが“時空の迷い人”だとしたら……この魔力に納得もいくな。そして、たしかに生半可な人間に保護は頼めない。じっちゃん、このことは……」

「ああ、内密にしとくよ。お主もまわりに知られるでないぞ。お嬢さんが自分の魔力を操れても操れなくても、お嬢さんの身は危うい。……わしの家で預かれればいいんだがなぁ、女の子はな……我が息子ながら、あやつらには情けなくていかんわ」


 おじいちゃんも肩を落とす。え、なにそんな深刻な話なの?

 深刻な雰囲気なカイとおじいちゃんが顔を見合わせたとき、ばたーんと勢いよく扉が開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ