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プロローグ
その姿はまるで白鳥だった。
十年前のあの日。俺はそれまでやったこともない野球というものに初めて触れた。
そこでアイツと初めて出会った。
帽子を深く被っていたから、顔はよく覚えていない。
それでも、そこで目にしたアイツの野球をする姿は今日まで忘れたことがない。
小さな体からは想像もつかないほど大きく、特徴的な溜めのあるフォームから放たれたその球で、上級生達からバンバンと三振を取る姿に俺は一瞬にして心奪われてしまった。
そう―――これが俺と野球の―――――俺とアイツの出会いだった――――――――――。