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第五話 「海神の国の好都合な返答」



「シャナン、視察の為の迎えがアズルガートから来ることになったぞ」  


 父王に呼ばれて参上した王と王后の執務室に入ると直ぐに、シャナンは父からそう声を掛けられた。

「え!? 迎えが来るの!? ……視察の件、あっさり飲んだの? 条件とか何かあるの?」  

 予想していなかった父の台詞に、シャナンは驚きながら濃藍色の長椅子に腰掛けた。

 シャナンの後ろには彼女の筆頭護衛騎士、ターニャ・バカルディが、こちらも少し驚いた顔をしながら黙って控えている。


 ターニャは、背中までの長さの髪の色と瞳の色が同じ薄茶色がかった明るい橙色で目を引く。

 茶色がかった金髪に、琥珀色か淡褐色か柔らかな緑色の瞳の者が多いケルトレアでは、珍しい色合いである。

 シャナンの頭一つ分以上背が高い彼女は、王家唯一の分家である公爵家に次ぐ位の「聖騎士爵」というケルトレア独自の爵位を持つバカルディ家の長女で、ケルトレア王国が誇る騎士隊を現在束ねている騎士隊長チャーリー・バカルディの長女である。


 母は魔術師部隊の魔術師長の次位である副官を勤め、彼女の2歳年下の弟も22歳にして騎士長の次位である五人の一人「聖五騎士」を務める逸材で、シャナンの幼馴染でもあるターニャも大変優秀な騎士である。

 ケルトレア王国では騎士隊を一つに纏める騎士長の下には「赤・黒・白・紫・緑」の五つの部隊があり、それぞれの部隊長を「聖五騎士」と呼び、大抵の場合においてこの五色をそれぞれ担当している「聖騎士爵家」出身者がそれぞれ勤めている。

 ケルトレア王国建国以前は聖職者の名家であったバカルディ家を表す色は「白」。

 この五色とは別に王家の色は「青」であり、この王家を表す真っ青な色合いの青は「禁色」であり特別な場合にのみ仕様される。


 騎士の国であるケルトレア王国において、王家同様に象徴の色を持つことを許された騎士の中の騎士である「聖騎士爵家」は全国民の憧れの的なのだ。



 アズルガート王国第一王子、次期アズルガート国王に縁談を持ち掛けられたシャナン王女だが、ある戦略を胸に、婚約する前にアズルガートに視察に行きたいと父王に申し出た。

 現在の情勢からアズルガート王国と手を組むことが有益であるケルトレア王国にとって、この縁談は大変良い条件の縁談だ。直ぐにでも承諾出来る内容なのだが、嫁ぎ先を見て相手に会ってみたいと言う可愛い一人娘の気持ちも理解出来るので、娘に甘い国王はアズルガートに伺いを立ててみたのだ。

 

 アズルガートの使者は直ぐに返答を持ち帰って来た。

 正直なところ、アズルガートがこちらの要望を受け入れる可能性は半々だと王は予測していたのだが、使者が持ち帰って来た親書には「シャナン王女がアズルガート王国に視察に来る事を歓迎する」との内容が書かれていた。

 更には、丁寧に迎えまで寄越すというのだ。

 迎えを寄越す事によって、話を世間に知れ渡らせて縁談を断り難くする手筈だろう、とディアンは思う。しかし、娘さえ納得すれば、この縁談に問題は全く無いのだからそれでも問題はない。


 娘も馬鹿ではないのだから、この縁談が祖国にもたらす利益の大きさを理解しているだろう。余程のことがない限り、破談にはなることはない。

 自我の強い娘は、相手も知らずに足を踏み入れた事もない国に嫁ぐのが嫌なだけで、一度アズルガート王国を訪れて縁談相手の王子に会えば自分を納得させるだろう、とディアンは考えている。

 娘が、嫁ぎ先であるアズルガート王国と結婚相手の第一王子をそこそこ気に入れば良いのだが。



「双方に問題が無ければ結婚することが前提で、話は進めてある。問題が無ければ、視察を終えてこちらに帰ってくる前に、アズルガートで正式な婚約を済ませて来る手筈になっている」

「婚約……」

 父の言葉に、どきりとして少し目を見開いてから、シャナンは俯いた。


「通常ならば、視察など無くそのまま結婚するところだ。随分と融通を利かせて貰っているだろう?」

「まぁ、そうよね……」

 シャナンは顔を上げて、宥めるように言う父に笑って見せた。

 その笑顔を見てディアンは、ほっとした顔をしてシャナンに詳しい日程の説明をし、それが終わると彼の隣にいたミズノト王后が愉快そうに笑った。


「迎えまで寄越すとは、やりおるのう。アズルガートの巨船を間近で目に出来るとは、楽しみじゃ」

「末王子が大使として来てくれるそうだ。視察なぞ混乱を招き、最悪破談になるかもしれないと思ったが、中々面白い事になったな」

「えっ!? 態々、第三王子が迎えに来るの?」  

 アズルガートの末王子が迎えに来ると知って、シャナンは驚きの声をあげた後、神妙な顔をして黙った。


 これは、思ってもみなかった素晴らしい好機かもしれない、と思考を巡らす。

 他国に嫁ぎたくないシャナンは、他国の王子を婿に取りたいのだ。アズルガートの第一王子と即座に婚約を承諾せずに視察を希望したのも、アズルガートに後二人いる王子のどちらかを婿に取れないかとの企みあっての事である。

 第三王子がケルトレアに迎えに来るのならば、これほど好都合な事はない。


「第二王子の様に美麗とは称されてはおらぬが、『青き軍神』の異名に恥じぬ雄雄しい見目の男前の王子と耳にするぞえ。父であるアズルガート王『青い悪魔』と見た目はそっくりとのことじゃ。楽しみじゃのう」

 神妙な面持ちのまま黙っているシャナンを、ミズノトが笑いながら見やった。

 妻の台詞に、ディアンは青ざめて彼女の手を両手で取る。 

「ミズノト……浮気はいけない」

「何を言うのじゃ、ディアン。わらわは常にそなたに『ぞっこんらぶ』ぞ。じゃが、嫉妬は恋の『すぱいす』なのじゃ」

 握られているのと反対の手の指で夫の顎をついっと持ち上げて、ミズノトは妖艶に微笑む。

 ディアンはミズノトの手を放し、腰を抱き寄せ、濡れた唇を指でなぞった。

「では、嫉妬に狂う愚かな私を慰めておくれ」

「そなたは、ほんに愛しい男よのう」



 今日も飽きもせず完全に二人の世界を創っている王と王后の横の机では、彼らの護衛責任者ナサニエル・オルデスが全くそれを気にする様子もなく、黙々と書類を読んでいた。


 彼の本来の仕事は王と王后の護衛なのだが、何をやらせてもそつなくこなすので、王と王后の仕事の手伝いまでさせられている。

 23歳の若さで王と王后の筆頭護衛騎士をしている彼は、数多くいる優秀な騎士達の中でも次期騎士長に一番相応しいと言われている特に有能な人材だ。常に冷静沈着、落ち着き払っていて、慌てたところを見た者はいない。


 肩に掛かるか掛からないか程の長さに保たれた落ち着いた色合いの金髪は、ケルトレア王国で目立たぬ色合いで、長身で整った顔立ちも美形が当たり前で長身が多い王侯貴族の中では特に目立つ容姿ではないが、逆を言えば誰にでも好意を持たれるような容姿である。

 ナサニエルのオルデス家は、シャナンの筆頭護衛騎士ターニャのバカルディ家と並ぶ五つの聖騎士爵家の内の一つ、「紫」の聖騎士爵家だ。

 その上、父はターニャの弟同様「聖五騎士」で、母も「四季魔術師」という魔術師部隊で魔術師長と副官二人の次位である四人いる部隊長の一人と、ナサニエルもケルトレア国臣民中最高の身分を持つ者の一人である。


 騎士として剣の腕も良く魔力も強く、品行方正で物腰も柔らかく頭脳明晰で、「婚約者のいない独身男性で最良物件、言う事無し!」との呼び声が高い。

 完璧でないのは、柔らかい色合いの緑の目が遠目から見てもわかる程に大変タレ目である事くらいだろうか。



「ちょっと、そこ! こんな場所で、勝手に二人の世界創らないでよ!! ナサニエル、あなたも止めに入りなさいよ!」

 ナサニエルは、静かにシャナンに目を向けると、手にしていた書類を机に置いて、にっこりと微笑んだ。 

「シャナン様、私にそのような権限があるとお思いですか? 例えそのような権限があったとしても、両陛下が仲むつまじきことは我ら臣下一同、喜ぶべきことですので、無粋な真似をする気はありません。寧ろ、あと二、三人、御子を望む声もあります」

 さらりと言われた台詞に、シャナンは言葉を詰まらせた。


「い、今さら子供……? 別に兄弟が増えるのは歓迎だけど、こんな所で人目も気にせずに作られちゃ堪らないわよ! ……兎に角、ナサニエル、他人の『らぶしーん』を見て顔色一つ変えないのも、どうかと思うわよ? そんなんだから、彼女も出来ないのよ。ねぇ、ターニャ?」

 援軍を得ようと後ろに控えているターニャを振り返ると、ターニャは頬を真っ赤に染めてちらちらと王と王后を見ている。

 うら若き乙女として正しい反応ではあるが、「彼氏いない歴=年齢」の恋愛偏差値の低い彼女は只今いっぱいいっぱいでシャナンの声は届いていないようだ。


 シャナンはターニャに同意を求めることを諦め、ナサニエルの冷静っぷりを面白くなさそうに見た。

 顎に手をやって、ナサニエルは真剣な顔で頷く。

「なるほど、的確な助言をありがとうございます。肝に銘じておきます」

「……だから、そんな反応だから……まぁ、うん、その内いつか春が来るわよ。未来の騎士長さん」


「シャナン様。そのようなことを口にすべきではありません」

「贔屓があるって、陰口を叩かれる?」

「いえ、私の評判など、どうでも良いのです。シャナン様が無用心だと誹られかねませんので、お止め下さい」

 ナサニエルが少し眉を寄せて言うと、シャナンは呆れたように彼の顔を見た。

 

「気の回し過ぎでハゲるわよ?」

「髪の毛の有無と、騎士としての出来不出来に、関連性はあるのでしょうか?」

 微笑を湛えたまま言われて、シャナンは口ごもった。

「……無いけど」

「ああ、良かったです。実は祖父、オルデス家の前当主なのですけど、その祖父の髪が老化に伴い少々減ってきているような気がするものですから。私の髪が薄くなるというシャナン様の予言も、あながち外れではないかもしれません」

 そう言ってナサニエルは、父親似で祖父とも同じ色合いのくすんだ金髪の頭を触って見せた。緑の瞳の奥が密かに笑っている。

「予言なんかしてないわよ! もう! からかわないでよね、ナサニエル!」


 ナサニエルが落ち着き払った態度のままシャナンの反応を見て楽しむというのは、いつものことだ。

 「聖騎士爵家」の子供達は皆シャナンの幼馴染なので、ターニャ同様にナサニエルの事もシャナンは幼い頃から知っているので、彼の性格は良く心得ている。

 ケルトレア王国に五家ある「聖騎士爵家」は「建国の聖五騎士」の子孫の家であり、王家を建国から400年に亘り代々支えてきた最も頼りになる騎士の家なので、王族は幼い頃から関わりを持つ。

 特に、シャナンの父ディアンは、彼の父や祖父とは違い、全ての「聖騎士爵家」と大変友好的な関係を築いているので、シャナンとテウタテスにとっては「聖騎士爵家」の子供達は皆が幼馴染なのだ。



「失礼致しました。シャナン様がお可愛らしいもので、つい」

「む……」  

 表情を変えないで言ったナサニエルの言葉にシャナンが眉を寄せると、それまで夫と二人の世界に浸っていたミズノトがナサニエルに顔を向けた。

「こりゃ、ナサニエル。そなた、シャナンを口説いておるのかえ? ディアンとわらわの前で、良い度胸じゃのう」

 目を細めてにやりと笑う王后に、ナサニエルは微笑を湛えたままの顔できっぱりと言った。  

「いえ、社交辞令です」

「むむ……ナサニエル、そういうことは思っても口に出さないものよ。『社交辞令』ってねぇ、解かっていてもなんか癪に障るわ」

 むっとした顔のシャナンを見て、ナサニエルは微笑を湛えたまま目を伏せて頭を下げた。

「これは、大変失礼致しました」

「……もういいわよ、疲れたから帰る。じゃあ又、夕食時にね。お父様、お母様」

 溜息を吐いてそう言い残すと、シャナンは両親の執務室を後にした。




「ほんと、ナサニエルって掴み所がないわよね。良い騎士なのは認めるけど」

 シャナンは自分の執務室へ向かって歩きながら、溜息を吐く。

「はい。ナサニエル殿は、例え毛が無くなっても素晴らしい騎士です」

 ターニャは真面目くさった顔でそう言って、力強く頷いた。 

「……そこ、真に受けなくて良いからね」

「え? 毛が無いと駄目なのですか? しかし、先々代聖五騎士の……」  

 女性にしては長身のターニャは、小柄なシャナンを覗き込むように見ながらに真剣な顔をした。

 彼女の手は、きょとんとした瞳と同じ色の明るい茶色がかった薄い朱色の髪の毛を確かめるように引っ張ってみている。

「もう! 髪の毛の話じゃないの!!」

「では、何のお話なのですか? 私はてっきり、ナサニエル殿の毛のお話かと……」  

「……ナサニエルの毛ってねぇ! せめて髪の毛って言いなさいよ。……もう、この話は忘れましょう。そんなことより、アズルガートよ、アズルガート」  

 真面目なくせに大変天然で鈍感な騎士を相手に、シャナンは再び溜息を吐いた。



「視察の件が受け入れられて、宜しかったですね! 視察団の提案をなさるとは、流石、シャナン様です」

 ターニャが真面目な顔で(いつも真面目な顔ばかりしているのだが)、誇らしげに頷いた。

「うん。ターニャにも付いて来てもらう事になるわ。宜しくね」

「はい! 我が命に代えてもシャナン様をお守り致しますので、ご安心を!!」

 ターニャは力を込めて拳を握る。


「……戦に行くわけじゃないから、そこまで気合入れなくても良いんだけど。まぁ、ターニャがいてくれれば、どこに行くにも安心ね。頼りにしているわ」

 シャナンがターニャを見上げて笑うと、忠実な騎士は頬を染めて目をキラキラさせた。

「シャナン様!! ありがたき、お言葉! このターニャ・バカルディ、女神ダヌダクアの御名に誓い、命尽きるまで、シャナン様を一生お守り致します!」


「う、うん。いつも気合の入った意気込みをありがとう……って、え!? ……一生!?」

「はい! もちろんです!! ディアン陛下にお任せ頂いたシャナン様護衛の任、生涯の任務と心得ております! シャナン様の護衛に相応しい実力を維持できるよう、日々の鍛錬も欠かしておりません!」

 ターニャは、これでもかというくらい気合を入れて、シャナンに頷いて見せた。

 シャナンは戸惑いの表情を見せる。  

「……ええと、私が他国に嫁ぐかもしれないって、解かってるのよね?」  

「はい、無論です。どこへなりとでも、お供致します! アズルガート王国次期国王からの求婚、我等のシャナン様に見合った縁組で、私もときめいております! 気合十分です! どこからでも掛かって来いです!」  

「……なんか、ときめくって言葉の使い方おかしいかも……」  

 どこからでも掛かって来いなんて、そんな乱暴なときめきなんかいらない。そう思いながら、シャナンは顔を引き攣らせた。


「24歳になられるまで、選びに選んで来られただけはありますね! 一体何時になったらご結婚なさるのか、まさかご結婚なさらないのか、将来を誓い合った相手でもいらっしゃるのではないか、そうこうしている内に嫁けず後家になるぞ、などと巷の噂でしたが、流石シャナン様!!」 

「……巷の噂の情報提供、ありがとう。あなたも同い年だけどね……?」

「このターニャ・バカルディ、地の底まででも、お供致します!」

 ターニャは両手に握り拳を作って、心底嬉しそうである。


 シャナンと同い年の自分がこの年になるまで縁談をことごとく蹴っていることが、名門バカルディ家にとってはそろそろ由々しき問題になりつつあることには全く気付いていないらしいターニャを見て、シャナンは複雑な顔をする。

 ターニャは常日頃から、心から崇拝する王の娘であり敬愛するシャナンに仕える事が人生の全てでこの上ない喜びで誇りなのだと全身で表していて、シャナンもそれは大変ありがたいことだと思っている。

「……そう言ってくれて、嬉しいのよ、ターニャ……。でも……。……うん、やっぱり、頑張るしかないわ! ターニャの為にも……」


 ケルトレアの財産である「聖騎士爵家」の有能な騎士を他国に流出するのは、到底良策とは思えない。

 そうでなくとも、祖国や家族から離れて他国で一生を終えることをターニャに強いたくはない。自分がこんなにも嫌なことを、大切な友にさせたくなどない。

 主従関係にあっても、幼馴染でもあるターニャのことをシャナンは大切な友人だと思っているのだ。

 いつも真摯に自分を一番に思ってくれている忠実なターニャを、不幸にすることなど絶対にしたくないと思う。


「?? ……何を頑張られるのですか?」

「……ううん、気にしないで!」

 不思議そうな顔で首を傾げるターニャに、シャナンは誤魔化すように首を横に振って笑って見せた。

 ターニャはそれを見て、何か思い当たったように、ぽんっと手を打った。

 

「あ!! 子作りですね! シャナン様、恥ずかしがられることではありません。シャナン様がお産みになられる御子様は、アズルガート王国とケルトレア王国双方の宝である尊い御子様です。早くお守りさせていただきたいです!! 是非、直ぐにお産み下さい!」 

「……気が早過ぎるから……っていうかそもそも間違っているし。……とにかく、あなたの気持ちはとても嬉しいわ、ターニャ。ありがとう」

 相変わらず勘違いをしているターニャに、シャナンは引きつった笑みを向けた。  

「シャナン様、当然のことです! 子作り、頑張って下さい! ターニャは全身全霊をかけて応援しております!」

「……う、うん」


 何をどうやって応援するのだろうか、と思いながら、ふとシャナンは思い付く。

 「子作り」か。

 いざとなったら体を張って、第二王子か第三王子をたぶらかして、既成事実を作るという手もあるかもしれない。子を身籠ってしまえば、こちらのものだ。

 折角、第三王子が迎えに来るのだ。アズルガートで行動を起こすより、自分の庭であるケルトレアにいる内に行動を起こすべきかもしれない。


 アズルガートの第三王子ヴィーダルが、勝手に「清楚可憐な姫」と思い込んでいるシャナン王女は、清楚可憐な姫からは程遠い思案を巡らす。  

 自分がそんな計画の標的になっているとは夢にも思っていないヴィーダル王子の運命やいかに!

 非・清楚可憐王女シャナンは、ターニャと同様に両手に力を込めて拳を作り、気合を入れて叫んだ。



「よーし! 頑張るわよ!」

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