骸亜の牢獄
昼なのに薄暗い、どことなく陰湿な印象を受ける長い廊下。そこに一人の身なりのいい制服の男が歩を進めている
その男の行く先にもう一人男がいた。制服の胸についた勲章の数から、かなり高い位置にいる男であることは明白だ
コッ コッ コッ カッ
「本日付で骸亜の牢獄・特別囚人課に配属になりました、看守と申します!」
「元気いいねェ。何かいいことでもあったのかい?」
看守「は?…い、いえ!」
「hahaha、そんなに硬くならなくてもいい…って初日じゃそれも無理か。私はここの係長をやってる看守長だ。以後よろしく。そういやあと一人誰か来るはずだが……」
看守「はい! あと一人は遅れて到着するそうです…」
看守長「そうか。あ、思い出した。そいつ面会に来る一般魂魄だったか。一応茶菓子用意しとかないと…」
割とどうでもいい会話がかなり混じっているが、二人は気にした様子がない。二人とも、というかこの世界のものは皆マイペースだから、仕方ないといえば仕方ないが
看守長「さって、早速いこっか。いつまでもお客様待ってるわけにもいかないし」
看守「というと…」
看守長「骸亜の牢獄最深部に幽閉されている囚人に会いに、さ」
二人は先ほどよりも鬱葱として、いるだけで気分が悪くなってくるような雰囲気漂う廊下を歩いていた。道なりに進むと、突き当たりに重厚な扉がある。
先ほど看守長と呼ばれた男が扉へと歩み寄り、手を触れる。どうやら手形認証システムのようだ。看守長が手を触れると扉全体が一瞬光り、次の瞬間ゆっくりと、天井からほこりを落しながら扉は開いた
コッ コッ コッ コッ ガコン プチ
「サイカソウヘ、マイリマス」
ヴィ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ちょっと気まずい
看守長「さて、看守君は特別囚人がどんなものかを知っているかね? 画面の前のお友達にもわかるように説明してみ」
看守「(?)は、はい。ものすごい悪いやつが入るところです」
看守長「……………」ジトーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
看守「し、失礼しました! え~っと、簡単に言うと神の世界の理を破ったりして世界の均衡を壊す恐れのあることをした人物たちが幽閉されるところです」
看守長「正解だ。大雑把に言えば前者の答えも正解だが。私たちが監視するのはその中でも群を抜いて危険な者たちが入っている豚箱だ。油断してると死神だろうが神だろうがあっという間にやつに喰われる」
看守「」
看守長「数万年前に反乱起こした死神明王弟は地下444444階に幽閉されている。だが私たちはそんな浅いところにいるものを監視はしない。この世界でもっとも深いところにある地の底、タルタロスの囚人を見張らなければならないのだ」
看守「」
看守長「そう緊張するな。大丈夫だ、ある程度の度胸とボケ・ツッコミスキル、そして瀬戸内の海より広い心があれば何とかなるさ。ちなみにそこにいるのはたった一人」
看守「たった一人のために……」
ガコン プシューーーーーー
「サイカソウ・タルタロスデゴザイマス。オテモトノオニモツヲカクニンシ、オワスレモノノナイヨウオオリクダサイ」
看守長「さぁ、ようこそ。この世の終わり、最も穢れた世界へ」
?「運の女神はまだ小生を見放してはいなかったようだ……S・トリガー、デーモンハンド! これでお前のボルシャック・スーパーヒーローを破壊! このターンでお前はトドメをさせない!」
看守2「なん……だと………?」
?「いくぞ! 呪文を10枚山札へ戻して覚醒! 邪神の覚醒者ロマノフ・Z・ウィザード! そして場にいるアヴァラルド公に進化! 黒騎士・ザールフェルドⅡ世!」
?「ロマノフZでアタック! 墓地からラストバイオレンスを発動! 呪文連鎖! さらに呪文使用時に氷河・レオポルディーネ公の効果でドロー! ドロー! 呪文カード!ry」
看守2「ぴぎゃぁぁぁぁ!!!」
看守「……………………はぁ?」
?「おう、戻ってきたかおっさん。珍しく働いてると思ったが……何だったんだ?」
看守長「ああ、新人が入ってきたんでな。ほれ、挨拶しとけ」
看守「き、今日からここに配属になりました、看守と申します!」
?「おおそうか。小生がここの囚人で死神だ。以後よろしく」
看守「……………えええぇぇぇぇぇぇーーーー!!!??」