The・end・of・wars
死神「アパァァァ――ッチヒャッホォォオーーーー!!」
魔王「」
マゲ「死神様! 戻ってきてくれたのですか!」
死神「途中魔王がインビンシブルアビス発動しかけたけど、何とかなった」
魔王「おぇっぷ……」
ツインテ「魔王殿、これを」つエチケット袋
魔王「すまな…rrrrrrrrr」
ムシ「で? どうすんのこれ。キリねぇぞ」
棟梁「さっきはすまなかったね、あの術式一人用なんだ」
死神「話がある、一旦ポーズ画面に移行する。端的に作戦を説明するぞ。ムリ」
一同「はぁぁぁぁぁぁぁ?!」
死神「おっと、語彙が足りなかったな。殺すことはもはや不可能だ。魔力結晶と下級死神どもの器が完全に同化して、新たなる脅威となってしまっている」
死神「下級死神たちの魂は元の世界へ帰ったんだろうが、物騒な抜け殻をこのまま放置するわけにも行くまい? というわけで今最善の方法がひとつある」
死神「その作戦はいたってシンプル。お前らがあの化け物どもを一箇所に集め、そして小生が封印する。永劫時空凍結呪だ。時空間を隔絶、切り取ってそこに閉じ込めてしまう古の禁呪。ただすさまじく発動が長い。それまでの時間稼ぎをお願いしたい」
棟梁「…………それが君の覚悟か」
死神「そういうことだ」
ムシ「そこまで……なら、止めるわけにはいかないな。俺も全力を尽くそう」
ポニテ「そんな……」
魔王「おい死神」
死神「なんだ?」
魔王「自分を犠牲にしようというのか?」
死神「確かにこの術式は強大すぎるが故に何らかの対価的なものを用意しなければならない。だが小生は死神だ。
この身体も仮の入れ物、供物にしたくらいで小生自身が死ぬことはない。死神の世界へ強制送還されるくらいだ」
棟梁「だがそんなことをすれb……おぁまっ?!」ベゴス!!
ムシ「死神さんのせっかくの決意が揺らぐようなことをいうんじゃねぇよ、あのことがばれたらめんどくさいだろうが」
魔王「どういうことだ?!」
ムシ「ほらなんか感づかれた」
一同「お前らのせいだよ?!」
魔王「もう一度聞く。どういうことだ?」
棟梁「………やれやれ、これは言わないといけないっぽいな、そこは私から説明しようか」
棟梁「死神も神だ。死神の世界では実体のない魂のようなもので存在している。そうなるとこの世界で活動する以上器が必要になる。私のこの身体もまた然り。
それを許可もなく壊すというのは死神世界の法律にて堅く禁じられている。自身の器を壊すなど論外だ。死神殿は永劫幽閉されてしまうだろう」
魔王「それはあんたらもそうだろう? 中年にムシ。裏切り者を全員手に搔けていたではないか」
ムシ「まぁね。でも死神世界の法律では自分の器を自らの手で壊すことのほうが重罪だ。何故かね。
自分用の器は死神でいる以上ひとつしか持っていてはいけない、それを壊すのは死神であることをやめるようなものだからな」
棟梁「死神になった以上普通の魂より重い重責を負う。それを放棄するということは、死神明王に弓引くのと同等の罪を負う、ということだ。
まぁこの私も永劫とはいかないまでも幽閉されるだろうが……まぁ数万年は硬いな」
魔王「行ってしまうのか」
死神「ああ。そろそろ一時停止術も切れる。……やつらの陽動は頼んだぞ」
魔王「行くな!!」
魔王の悲痛な叫びが俺の耳を貫く。殴られてもいないのに脳が揺れる……いや、これは感情が揺れているのか?
重心がブレて、立ちくらみのような症状が俺を襲う。でも、不思議と悪い気はしない。なぜ?答えは出ているような気がする。
今は、答えを出さないでおこう
死神「……大丈夫だ。お前は、この世界は、俺が守るから」
魔王「格好いいこと言ってごまかすつもりか?! そんなもの私が許さない!」
死神「なぜだ?」
魔王「私は、お前がっ……!!」
魔王「 」
一瞬静寂が訪れた。一時停止術式が解け、眩い光が辺りを包む。
死神「 」
魔王「死神ーーーーー!!!!!」
ムシ「地を這う土蜘蛛、地を駆ける大蟻、やつらの足元を救え!!」
雷骨「屍の呻きが聞こえてきたか!? これでもう、聞こえまい!!」
棟梁「こいつでトドメだ!建築! 引きこもりの絶対拒絶壁・シャカイデタクナイヨ!!」
地を覆いつくすほどの蟻と土蜘蛛が敵を一箇所に集めていく。ジャンプで逃げようとしたものは雷骨が地面に叩き落していく。その周りに棟梁が巨大な壁を建築、そのまま敵を閉じ込める
死神「切り取れ、閉じ込めろ、我と共に、永劫出られぬ牢獄へ、我が誘う。己が罪に喘ぎ、苦しみ、悔いて生きろ。死ぬことすら許さぬ、常闇の世界へ、いざ、導かん!
永劫時空凍結呪!!」
死神を中心に禍々しい空間が広がり、棟梁が建築した壁を包んでいく。死神と共に。
ふと、最後に死神がこっちを振り返ったような気がした。ニコリと笑ったような気もする。私は、ただその光景を眺めるしかなかった。