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さぁついに始まっちゃいました

玉座の間、ふかふかのゆったりとした椅子に座る魔王。その隣で静かに目を閉じ、ずっと口をつぐんできた死神の口が動いた。



死神「……来たようだ。西のほうから力のゆがみを感じる。ポニテ!」



ポニテ「御前に」



死神「あれは使えるのか?」



ポニテ「ええ、ちょっとばっかり時間が足りなくてほんのちょっとだけ手荒な施術になっちゃいましたけど、昨日魔王ちゃんがフォローしてくれたおかげでパーフェクトゥにできました!!」



死神「よろしい。いいだろう、あれ」



ポニテ「ええ。さすが魔王ちゃん直属の配下、すばらしい魂魄でした!!」







ギャォォォォォ!!!!




ツインテ「魔王城上空に機影!!これは……死神龍?!」



上空に現れたのは邪悪に歪んだ朽ち果てる寸前の体を持つ死神龍。忌まわしい禁呪によって死神に無理やり動かされている哀れなもの。その背に乗る死神が勝ち誇ったように叫ぶ




死神龍騎兵「ひゃははぁぁぁ!!先駆け兵はこの死神龍騎兵がもらったぁぁ!!敵陣に一発どでかい花火を……」





ヒュパッ    グバッ!!




死神龍騎兵「ぇ はん!!」




死神の呪縛から解き放たれ、空中で脆くも崩れ落ちていく龍。朽ち果てた体はやっと眠りについたのだ。一方術者は無様に地面に落ち、気絶した




魔王「よくやった、スケルトン。いや、もうスケルトンではなかったな。なんという名だったか?」



?「わが名は雷骨! 死してなお魔王様に仕えるものなり。では…征くぞ!!」





~~~~



ムシ「やっぱこうなったか、騎兵のヤツ。戦いで一番最初にしゃしゃり出るようなヤツが一番最初にくたばるのが定石だろうが」



棟梁「お前本当に節足動物担当だよな? らしくなさすぎるぞ」



ムシ「うるせぇよ。第1~3小隊までは城の北側に、4~6小隊は南側へ分散、待機しろ。メールビーをありったけ出して連絡を怠るな、情報が途切れたらそこで死んだと思え。少し様子見だ。一同、散!!」



下級死神「ハッ!」



棟梁「あれ?わし何のためにここにいんの?」





~~~~



元勇者「やっぱり様子見になったね。さっきのやられキャラはさしずめ私たちの力を測るためによこしたんじゃないかな」



ツインテ「なるほど、見方一人を犠牲にして相手の出方を伺うか。効果的だが不快なやり口だな」



元勇者「そして分散したところを見るとあらゆる方向からからチクチク攻めて隙ができたところになだれ込むってのが目的だと思うよ」



ポニテ「大丈夫だよ! 外堀にはマゲちゃんがトラッププラントの城壁築いてるし、城壁の上には雷骨くん達配置してるし、そう簡単には突破できないと思う」



ツインテ「そうだといいんじゃがの……」







バリバリバリ!!  メキメキメキ……   ドズゥゥーーーン!!!!



3人「「「なんぞや?!」」」





~~~~~



ムシ「一点突破とか頭の悪いことはしたくないんだが、今はこれが最善策だ。動揺を誘うにも効果的だ」




ざわざわざわざわ……




ポニテ「うわぁなにこれ?! たくさんのムシが……」



ツインテ「植物食の虫か……!! やられたの、あちらに節操動物課の死神がおるようじゃ。あやつらの操る虫は厄介じゃからの、このままでは数分立たず城壁が食い荒らされてしまう。持って数十分程度か」



元勇者「ムシいやーーー!! 拠点制圧火炎術式・撃滅!!」



二人「バカ……!!」






ドゴォォォーーーーーーン!!





ツインテ「ええぃ!! 身内から関所やぶりが現れるとは!」



ポニテ「雷骨くん!! お願い!!」




雷骨「くっ……私の攻撃はムシ相手には相性が悪いぞ?!」




死神「植物の城壁が壊されたか。あっちにも切れ者がいるみたいだな……こりゃとっとと潰していかなきゃこっちがジリ貧だぞ」



魔王「仕方あるまい、何事も思い通りに進んでくれないのがこの世だ。予定よりは少し早いが、行くぞ」



死神「おう。いくぜ!! リン・ピョウ・トウ・シャ・以下・略!! ハイッ!! 土中転移呪!!」






~~~~~~



下級死神「こちら第一小隊。今のところ以上は見られません。魔力結晶の熟成も順調に進んでいます」



通信機越しの声「そのまま状況を進行しろ。熟成が終わり次第実験体に使え」



下級死神「了解し……」



?「超広域殲滅呪文・スルトの吐息!!」



?2「結界呪!! 敵陣全体を指定!! あらゆるものを遮断せよ!!」




巨大な結界の中に下級死神たちは突如として閉じ込められた。次の瞬間結界の中に巨大な火の玉が出現、下級死神たちを焼き払う



下級死神「ぎゃぁぁぁぁ?!」



下級死神「くそ?!どこから出てきやがった?!」



死神「ほう、あの爆発にも気絶せずに耐えたか。ならばこれでどうだ?」



結界の天井の一部に穴が開く。そこから燻りかけた炎に大量の酸素が供給される。炎は爆発的に蘇り、大爆発を起こす。




死神「バックドラフトってやつだ。燃えるオチだろ?」





ズガァァァーーーーーン!!






魔王「手加減したのか?」



死神「手加減なんざしなくても大丈夫だ。一応神だし」



魔王「そうか、なら手加減は必要なさそうだな」



死神「まぁ、そのあれだ。魔界の地形が変わるほどの術式は使うなよ?」



魔王「それくらいはわきまえてるよ」




棟梁「そうだ、わしまで死んだらどうする?」





死神・魔王「」


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