第1話 お嬢様、ワタクシ達にお任せ下さい。
登場人物紹介
サミュエル・リンゼ メイド長兼執事
ガルハン・エリーヌ お嬢様
ヤルトス・ミリエ 料理人、リンゼの部下
シルベス・ウーリー 運転手、リンゼの部下
ニーブル・ナッシュ 庭師、リンゼの部下
テルシオ・ミーニャ 家庭教師、リンゼの部下
*登場する名称は全てフィクションです。
ガルハン邸、有名企業のとある社長が住む。
私サミュエル・リンゼはそこの当主に呼ばれていた。
「それで、私共にお願いと言うのは何でしょうか。」
「あなた方のチームで私の娘を守って頂きませんか。」
「何か差し迫った事がありそうですね。」
「私自身が何者かに狙われています。」
「では、あなたの護衛ですか。」
「私は殺されようとも構いません。しかし、娘だけは生きてもらいたいんです。」
「では、私共に娘さんを護衛するよう頼みたいと。」
「はい、よろしくお願いします。」
契約成立だ。
「それで、いつから開始しますか。」
「私に万一の事があればその時お願いします。」
あれから数ヶ月。
「リンゼさん、ニュース見ました?」
「ああ、あの当主と奥さんが事故で亡くなったみたいね。」
「では、契約開始ってことですね。」
「ミーニャ、皆を集めて。ガルハン邸に行くわよ。」
ガルハン邸に着く。インターホンを鳴らすと若い女性が出て来た。
「サミュエル・リンゼと申します。生前ガルハン様と家の家事等を任されました。」
「はい、お入り下さい。」
屋敷に入る。
どうやら当主夫婦が亡くなり娘一人になってしまったみたいだ。
「今、こちらでお住まいの家政婦等はどうしてますか。」
「両親がいる時はいましたが、亡くなると同時に皆辞めてしまい、私だけです。」
どういう事だ?相続とか考えれば辞める必要はないだろう。何かありそうだな。
「分かりました。今後は私共がお嬢様のお手伝いを致します。」
「よろしくお願いします。私はガルハン・エリーヌ。エリーヌで構いません。」
「エリーヌお嬢様、では私共のスタッフを紹介致します。私は先程お伝えしましたサミュエル・リンゼ。メイド長兼執事です。リンゼとお呼び下さい。」
「エリーヌお嬢さん、うちは料理人のヤルトス・ミリエ。ミリエって呼んでね。」
「エリーヌお嬢ちゃん、あたいは運転手のシルベス・ウーリーだ。ウーリーでいい。」
「エリーヌ様、私は庭師のニーブル・ナッシュです。ナッシュって呼んで下さいね。」
「エリーヌさん、私は家庭教師のテルシオ・ミーニャです。ミーニャ先生とお呼びなさい。」
「皆さんよろしくお願いします。」
「それでは、私共は全員こちらのお屋敷で住み込みで仕事をしますので、それぞれの部屋に向かいます。何かありましたら、私にお伝え下さい。」
「よろしくお願いします、リンゼさん。」
メイド部屋に全員集まる。
「この屋敷、何かおかしいな。」
「使用人全員いなくなるとか変やで。」
「庭とかも調べときましょうか。」
「屋敷に出入りした人物も確認しようか。」
「皆、気を付けて調査して下さい。亡き当主には殺される訳がありそうです。」
「ニュースでは事故だと…。」
「偽装ですね。」
「事故に見せかけた殺人です。そちらも調査しましょう。」
「あのお嬢さんはこのこと知ってるのかな。」
「あの様子では知らないでしょう。当主は自分より娘の護衛を頼んだのも気になりますね。」
「じゃあ、各自で調査開始って感じですかね。」
「皆、くれぐれも悟られないように行動して下さい。」
「了解。」
リンゼは屋敷内の各部屋を確認した。
大体は特に問題ないようだが、一部屋だけ開かずの間があった。
リンゼは4人に指示し、各自持ち場に向かった。
リンゼはエリーヌの部屋に向かった。
「エリーヌお嬢様、よろしいでしょうか。」
「リンゼさんですか、どうぞ。」
エリーヌの部屋は綺麗に片付いていた。
「旦那様と奥様は残念でした。」
「ねえ、リンゼ。お父様とお母様は本当に事故で亡くなったのかしら。」
「お嬢様は事故ではなく事件であるとお考えなのですか。」
「不可解な点が多いかなって思うんです。」
「不可解ですか。聞けば、反対車線の車が飛び出して当たったとか。」
「報道ではそう言っていますが、父母の死体には縛られた跡や殴られた跡がありました。」
「つまり、何らかの事件があり、事故に見せかけ殺したとおっしゃりたいのですね。」
「私は父母の無念を晴らしたいのです。」
「お気持ちは分かりますが、お嬢様はこの件についてこれ以上関わらない方がよろしいと思います。」
「リンゼ、何とか出来ないかしら...。」
「お嬢様のお役に立つのが私共の役目でございます。少し調べてみましょう。」
「ありがとう、リンゼ。」
「ウーリーはいる?」
「はっ、リンゼ様ここに。」
「ガルハン夫妻はどこかで監禁、暴行を受けているようよ。」
「では、調べて参ります。」
「よろしくね、ウーリー。」
そう言えば、このお屋敷に地下室があるみたいだけど入口が無いわね。どこかしら...。
ん?開かずの間が怪しいわね。
ならば鍵は当主の部屋のどこかにありそう。
書斎を調べる。本棚に本が並んでいるが不自然だ。ここの本順番が変だ。並び替えてみると、その中の一冊から鍵が落ちた。
「この鍵、開かずの間のものかしらね。」
部屋に行って使ってみるか。
開かずの間に来た。鍵を回してみる。
開いた!ビンゴ!
部屋は地下に続く階段になっている。
わざわざ鍵でロックしているのだから、何かありそうね。
第2話 予告
屋敷の地下室に隠された秘密。当主夫妻の不自然な死因。事件の裏に潜む謎。
次回 「お嬢様、お食事は如何ですか。」
新ストーリー開幕。
リンゼ率いる使用人チームはどうなる?
ではまた次回に。