第14話:淡々と続くふたりの
お買い物デートの、お買い物が終わった後は。
買った玩具を試そう、と。
勢いのまま、流れるように、早速。
宿泊ではなく、一時的なご休憩が可能な宿泊施設へ。
そして。
いやぁ、もぅ、ね。
こう、スイッチ? がオフになった後に、スイッチがオンの時の状況を思い出すのって。
えげつないくらいに恥ずかしいんですけどおおおおおおおおっ!?
スイッチ・オンの状態でも、恥ずかしいのは恥ずかしいんだけど。
それは、それで、それとして。
はい、勢いって怖いです、ね。
祥子さんと、ふたり。
お互いの『初めて』を、確かめあって。
痛いのは痛いんだけど。
なんか、こう。
うん。
幸せ。
身体を重ねるだけではなく。
触れ合うだけではなく。
繋がり合う、って。
なんか。
ものすごく。
うん。
幸せ。
その幸せを、確かめ合って。
与え合って。
スイッチがオフになって、祥子さんが。
「ね? いいお買い物、だったでしょ?」
と、申されましても、ですね。
「は、はい」
と、しか。
そんな、新しい生活……性活? の時を、深々と、過ごし。
季節も移り変わり。
移り変わる季節と共に変わりゆく鳥さんたちとも、戯れ。
祥子さんとの、ふたりだけの戯れも、たびたび。
文字通り『交え』て。
過ごす。
過ごす。
日々の、なか。
一戦、交え終えた後。
祥子さんが、耳元でぼそっと、ささやく。
「ねえ、永依夢、いっそ、一緒に暮らさない?」
ああ。
「ええ、そですね……でも……」
うん。
時が流れて、わたしに訪れる、転機。
転機と言うより、転勤。
「え? ウソ……どこ?」
「まだわかんないですけど、たぶん、ココじゃない、何処かだと」
「そんな…………いつ?」
悲しそうな表情を見せる、祥子さんを。
見ていられなくて。
その顔を見ないように。
そっと、頭を抱きしめて。
耳元に。
「……ごめんなさい」
まだ、少し先、では、あるけど、でも、確実に。
「ここに留まる、って選択肢は?」
それは……。
「ゼロではないですけど、かなり低い、ですね」
淡々と。
隠しても、仕方なく。
『遠距離恋愛』
そんな言葉が、脳裏を、よぎる。
今の時代。
ネットを通じたビデオ通話とかで、擬似的に顔を合わせて、お話する事も、不可能ではない。
とは、言え。
今、こうしているような、肌と肌を重ねて。
その温かみを、感じ合う事は、できず。
いくら、技術が発展したと、しても。
かなわぬ願いは、あって。
「うん、よし、わかった」
え?
「何がわかったんです?」
「わたし、着いて行くわ、永依夢に」
え?
「どゆこと、です??」
「わたし、今の仕事やめて、永依夢の転勤先に着いてく。そんでもって、一緒に暮らしましょ? わたし、永依夢のお世話、させてもらうわ」
え?
えぇええ!?
「それって…………」
「女同士、結婚はできなくても、ね?」
一緒の家で、一緒に暮らして。
共に。
「少しは蓄えもあるし、落ち着いたら、パートタイムでも何でも、するし」
なんとなく、って感じで。
ネットで、調べたコトも、無くは、無い。
いろいろと、困難、難儀なお話では、ありもするけれど。
それでも。
女ふたりで、生きている、暮らしている、女性たちが。
いらっしゃる、ってのは、知ってる。
でも、って。
実際にとなると。
「ちょっと、ちゃんと、いろいろ、調べないと、ですね」
ぼやん、と、した、想いしかなかったから。
真面目に。
大真面目に。
「永依夢……」
「祥子、さん……」
もういちど。
今度は、ちゃんと、顔を見て。
見つめ合って。
改めて。
唇と唇を。
肌と肌を。
重ね合わせて。
深く、深く。
繋がりあって。
まだまだ。
この恋は。
延長戦!?