第11話:春の渡りの鳥さんたち
転勤先で住む事になった部屋。
その近隣に、野鳥撮影のスポット的な場所が、あまり無く。
それでも、お部屋の候補の中では一番それっぽい場所を選んだつもりだったんだけど。
実際、スポット的な場所を散策してみるも、これが、なかなか。
転勤前に通っていた公園とは、毛色が異なっていて。
いやぁ、前の場所が、いかにすごく恵まれだ場所だったのか、と。
改めて思い知らされる今日この頃。
皆さま、いかがお過ごしでしょう。
春のこのゴールデンな週間は、まさに。
野鳥撮影、特に、小鳥さんは入れ食い状態!
いや、食べないけどね!
食べちゃだめだから、ね!
それが、今の場所じゃぁ……。
「キビタキ……オオルリ……サンコウチョウ……」
いずれも。
幻の、鳥さんたち。
いやぁ、前の公園では毎年、確実に撮れてた/観れてた、のにぃいいいいいい。
と、言う訳で。
確実に観れる場所へと。
「すみません、祥子さんにばかり運転させちゃって……」
そう、祥子さんの車で、遠征。
「帰りは代わってもらう、わよ?」
「は、はい、がんばります……」
ひぃい。
バイクの運転には慣れてるけど。
車の免許も、一応、持ってはいるけど。
車って、あんまり乗らない、運転しないから。
久しぶりだと、怖い……。
しかも、他人の車だと、ね。
連休中の道路は。
うん、結構な、混み具合になりそう、って予測で。
それを見越して、かなり早朝、と、言うより、深夜から出発したおかげもあって。
目的地の公園には、ほぼ予定通りに、到着。
少し手前では、恒例の? 二十四時間営業の飲食店で、朝食。
公園の駐車場が開くまでは。
近くのコインパーキングを探して、そこに車を停めて。
少々、がんばって歩いて。
公園内へ。
「やっぱり、ちらほら、カメラマンさん達、いらっしゃいますね」
「そうね、おじさん、と言うか、お爺さんばかり……」
「とりあえず、こっそり後を着いてってみましょうか」
「そうね」
などと。
はたから見ると、ちょっと不思議な女性二人の、ペア。
この公園でも、三脚のまま担いで歩きまわっているカメラマンさんがいらっしゃるので。
それに倣って。
周囲の樹々を散策する風を装いつつ。
他のカメラマンさん達が向かう方角へ、進む。
周囲からは、うん、聴こえる、聴こえる。
鳥さんたちの、声。
キビタキさんの声が、いちばんよく聞こえる。
オオルリさんの声も、混ざって。
さすがに。
サンコウチョウさん、サンコンさんは、いらっしゃらず?
少し進むと、人だかり。
十数名のカメラマンさん達が、各々、ご自慢のカメラ、レンズを三脚に乗せて。
樹々の方へ向けて。
わたしと祥子さんも、その後方に三脚を置いて。
レンズを向けて、鳥さんを、探す。
「あれかしら?」
早速。
照準器でおおまかなアタリを付けて、ファインダーで確認。
「あぁ、多分、そうみたいですね……キビタキさんのオス、ですね」
「うぅ、お久しぶりねー、キビタキ」
「はい、お久しぶり、です」
なんて感じで、久しぶりにちょっと珍しい鳥さんたちとの再会を、楽しみ。
公園の駐車場が開く時間に、車を、移動。
コインパーキングよりも、公園の駐車場の方が安いからねー。
ずっとコインパーキングに停めてらんない、って事で。
祥子さんにカメラとか荷物を見てもらっておいて。
わたしが、コインパーキングまで戻って、車を、移動。
わりと広いめの駐車場で、よかった。
狭いとこだったら、取り回しに四苦八苦してたろうな。
どうにかこうにか、公園の駐車場まで車を移動させて。
祥子さんと、再度、合流。
そこからまた、公園内を、鳥さんを探して散策して、何か所かで写真を撮ってたら。
天気もよくて、気温もかなり上がって来たので、日影のある水辺に移動して。
カワセミさんとか、水鳥さんを、撮影してから。
少し遅めの昼食は、公園の外、すぐ近くのファーストフード店で済ませる。
「あぁ、もうクーラー効かせてくれてるのねー涼しい~」
「まだ五月なのに、すごい暑いですよねぇ」
ほんと、わたしの子供の頃から考えると。
地球温暖化、しみじみ、痛感。
鳥さん、渡り鳥さんの様相も、ずいぶんと変わって来てるし、ね。
この公園の、地元の人に聞いたところによると。
キビタキさんとかも、来るのがかなり早くなっているらしい。
おまけに、去年はこの公園で営巣……子育てまでしてたんだって。
今年も、観れるかな? って、地元の人が。
「六月くらい、らしいわね」
「はい、そう言ってましたね、キビタキの子育て……」
うちの地元の公園でも、そんなのは観れなかったし。
通常なら、お山の、もっと涼しい場所の、はずが。
なんかもう、いろいろ、おかしくなって来てるのかなー。
とか。
軽い昼食を、終えて。
午後もしばらく、公園内をウロウロと、探してみたりはしてみるも。
ぴたりと鳥さんの動きも、止まり。
「そろそろ、行きましょうか」
「はい、そうですね」
撤収。
駐車場の車に戻って、そこで機材も収納。
「昔ねー」
「はい?」
なんだろう? 祥子さん。
「こんな感じで、駐車場でカメラをバッグに仕舞って、そのまま車の脇に置いて帰ったことがあってねー」
え?
「カメラ、置き去りに?」
「そうそう、途中で気付いて、あの時は泣きそうになったわー」
そりゃ、泣くだけでは済まない気も。
「幸い、すぐに戻って、事なき、だったけどね。すごく焦ったわー」
あはは。
わりと、ドジっ子? 祥子さん。
なんか、カワイイ!
そんな可愛い祥子さんと。
今日も、また。
「ココ、ですか……」
「んー、安いしねー」
はい、本日の、お宿。
またしても。
ラブな、ホテル。
ですねぇ……。
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<余談>
本作執筆中のヒトコマを、文字通り画面録画して、ようつべにアップしてみましたw
興味のある方は、ようつべで『んがしかし』で検索すると、多分、出てくると思うです。
【『なるるんの『んが、しかし』V】です。
BGMは大昔に作ったオリジナルのMIDI曲を添付。本作とは全く関係ない曲ですがw
老後にまた、本作系をイメージしたBGM曲とか、作ってみたいなー、とか、思ったり思わなかったり……。絵も、もっと描きてぇなぁ。