エピローグ:【三流帝王】
~各帝王視点~
帝王が持つ能力は様々だ。
中には情報の獲得に長けた帝王もおり、そのような能力を持つ帝王は、大抵情報の売買でEPを獲得している。
そして各帝王は、情報屋と呼ばれる帝王から情報を購入することで、現在どのような帝王が存在しているのかを【帝王録】を通して見ることができる。
【円卓】を前にして販売された最新の情報に、多くの帝王たちは高笑いしていた。
「ギャハハ! なんだよ【芸帝】って! 芸能でもしてEP貰うってのか!? 何て情けねえ能力だ!」
彼は数十年前に誕生した帝王だった。
幾つかの都市を統べ、順調に力を伸ばしている彼にしてみれば、プルソンの【芸帝】という二つ名は余りに情けないものだった。
そして、それは他の帝王も同じ考えだった。
「警戒するまでもないですな。栄誉ある帝王に相応しくない力の持ち主であることは確実」
ある帝王は見下し。
「二流。いや二流以下か。声を掛ければすぐに軍門に下るだろう」
ある帝王は利用できぬか考え。
「【三流帝王】の爆誕だ! こりゃめでたい!!」
「【三流帝王】だな」
「期待外れの【三流帝王】ねぇ」
多くの帝王がプルソンを【三流】と嘲笑う。
二流以下、三流、三流帝王。
プルソンの知らぬ所で、彼の評価は失墜していく。
しかし、彼を取るに足らぬ存在だと決めつける行為が、自分の首を絞めるものであることに、その帝王たちは気が付かない。
プルソンの本当の力を知らぬ者達は、こうして知らず知らずの内に、破滅への道を歩み始めたのだった。
♢
~???視点~
世界最強と謡われる帝国、その玉座に一人の男が腰掛けていた。
人でありながら竜である彼は、やがて静かに呟く。
「【芸帝】か。ほう、ずいぶんと面白いことをやっているようではないか」
ある男は手に入れた情報を、獰猛な笑みで眺めていた。
「戦う力を持たず、ダンジョンでのレベリングも配下に行わせ、自分は後方で眺めているだけ。戦える配下は人間が一人と天使が二人だけ。余ったEPを使ってスケルトン、ゴブリン、リザードマンばかりを増やす【三流帝王】……か」
その情報だけを鵜呑みにするのであれば、プルソンは最弱の帝王に見える。
実際一部の帝王を除き、プルソンの本当の力に気が付いている者はいない。
男はその情報も手に入れいていた。
「ワシらの情報網に気が付き、それを利用する新米が現れよったわ! ははは! これは愉快愉快!」
男には、これがプルソンの罠であると即座に理解できた。
情報が明確過ぎる上に、明らかに演じている匂いがする。
プルソンは男達の監視網に気が付いた上で、監視されている間は愚かな帝王を演じて見せたのだ。本当に警戒すべき強大な帝王と、そうでない雑種を見分けるために。
「よいぞ。素晴らしい若者が生まれた」
男は、その事が堪らなく嬉しかった。
期待以上の新人が生まれて来たことに、胸が躍る。
上がってきた情報に目を通した男は、楽し気に嗤った。
「…これからどれだけの帝王が、奴に喰われることになるかのう」
帝王と呼ばれて良い気になり、断片的な情報で相手を見下す。
そんなものは二流以下、まさに三流だ。
「…本当の【三流帝王】がどちらか、明らかになる日は近い」
それぞれの思惑を秘めたまま、時間は進む。
そしていよいよ、数年ぶりの【円卓】が開催されるのだった。
第一章完結です! ここまで読んでくださったあなたに感謝を!




