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第二十一話:規格外再び

 しばらくして、アルスとローゼが戻ってきた。

 二人は手に持っていたお菓子とお茶をテーブルに並べて、既定の位置に戻った。

 アルスは俺の隣に腰を下ろし、ローゼは上座に座っているノルンの背後に控える。


「さて、それじゃあ早速だけど二人のステータスを見せてもらうよ。みんなお菓子とお茶を楽しんでてくれ」


 俺がそう言うと、みんなが一斉に動き始めた。


「やったぁ! おいしそうなお菓子! はやく食べるの!」

「こちらの紅茶も良い香りが…。お淹れになった方の技量が伺えます」

「おや。これはお上手ですね」

「ルリ! それは自分が狙ってたヤツっす!」

「早い者勝ちなの」


 美少女たちの和気あいあいとした空気、大変素晴らしい。

 俺は尊い光景を堪能した後で、さっそく【帝王録】を呼び出した。


 すると、ふわっと花の良い香りがした。

 わずかに感じる体温を頼りに香りの主を見やると、そこにはノルンがいた。上座から隣に移動してきていたらしい。


「プルソン、ボクも見せてもらっていい?」

「もちろんだ。ノルンには一緒に見てもらおうと思ってたからな」


 俺はまだ数種のステータスしか見たことがない。

 先輩帝王の見識はぜひ活用させてもらいたいところだった。


 【帝王録】にある数多の項目から、【配下】ページに移動する。

 前回見た時はアルスしか表に記載されていなかったが、今はルリとシスという名前が刻まれていた。


 さっそく、二人のステータスを確認する。

 

 まずはルリからだ。

 銀髪灰眼、かわいらしい笑顔が特徴の天使。

 そのステータスやいかに……。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前:ルリ

種族名:半神

ランク:A

LV:1

統率60 知略75 耐久80 攻撃90 魔力40 機動70 幸運30 特殊80

特性:二連星 剣王 幻獣召喚 ??? ???

固有能力:天界の英雄


≪特性≫

二連星にれんせい……同特性を持つ存在が一定範囲中にいる場合のみ1ランク上の力を発揮できる。(範囲はレベルに応じて変化する。また該当者が死亡した場合は双方が命を落とす)

剣王けんおう……剣を手にした際、耐久、攻撃、機動に補正(大)。刃物に関する知識を有し、あらゆる剣術を習得可能。

幻獣召喚げんじゅうしょうかん……幻獣を眷属として召喚可能。また眷属に騎乗している場合は能力が上昇する。(眷属のランクに応じて召喚に必要なMPは増大し、召喚時間は使用者のレベルに依存する)


≪固有能力≫

天界の英雄……使用者と聖属性の配下の能力値に補正(大)。(再使用までに24時間を要する)


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 Aランクなのは意外だったが、能力値、特性共にかなり優秀だ。

 特に防御80、攻撃90は破格の数値である。まさかレベルアップしたアルスよりも高い能力値を持っているとは驚きだ。

 それに加えて彼女は、己を強化することに特化した能力を持っている。

 【剣王】と【幻獣召喚】そして固有能力の【天界の英雄】。

 どれも非常に強力な能力だ。

 

 これらから推察するに、ルリは≪近距離特化の剣士≫だろう。

 期待以上の力で生まれてくれて良かった。


 ただ、気になる特性がある。


「…なんだこれは?」


 俺は一番上にある≪特性≫に目を向けた。

 他とは明らかに違う異質な特性だ。


 【二連星にれんせい】……同特性を持つ存在が一定範囲中にいる場合のみ1ランク上の力を発揮できる。(範囲はレベルに応じて変化する。また該当者が死亡した場合は双方が命を落とす)


 俺が首を傾げていると、ノルンも同意を示した。


「気になるよね。その【二連星】っていう特性」

「一人じゃ全く意味がない特性だな。となると、もしかしたら……」


 俺は二人で完璧になって欲しいと願い、その可能性を手繰り寄せた。

 その末に双子として生まれ、一人がその特性を所持しているとなると、自ずと可能性は見えてくる。


「ボクもその可能性が高いと思う。とりあえずシスのステータスも確認してみよっか」

「ああ」


 俺は急いで画面をスクロールする。

 そして茶髪紅眼の天使、おしとやかそうなシスのステータスを見る。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前:シス

種族名:半神

ランク:A

LV:1

統率60 知略75 耐久80 攻撃60 魔力90 機動70 幸運60 特殊80

特性:二連星 魔道王 幻獣召喚 ??? ???

固有能力:魔界の英雄


≪特性≫

二連星にれんせい……同特性を持つ存在が一定範囲中にいる場合のみ1ランク上の力を発揮できる。(範囲はレベルに応じて変化する。また該当者が死亡した場合は双方が命を落とす)

魔導王まどうおう……魔術を発動した際、攻撃、魔力に補正(大)。使用に必要なMP半減。魔術に関する知識を有する。また、あらゆる魔術を習得可能。

幻獣召喚げんじゅうしょうかん……幻獣を眷属として召喚可能。また眷属に騎乗している場合は能力が上昇する。(眷属のランクに応じて召喚に必要なMPは増大し、召喚時間は使用者のレベルに依存する)


≪固有能力≫

魔界の英雄……使用者と悪属性の配下の能力値に補正(大)。(再使用までに24時間を要する)


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 こちらもAランクだ。

 能力値は耐久80と魔力90が飛び抜けており、特性も【魔導王】や【幻獣召喚】と戦闘に特化したものなっている。固有能力も強力だ。

 恐らくシスは≪遠距離型の魔術師≫だろう。


 近接特化のルリと、遠距離のシス。極めてバランスの良い組み合わせだ。

 それに、二人とも耐久値が高い点が偉い。

 魔法使いは紙装甲が相場だが、シスの耐久はルリと同じく80ある。

 もし近接戦闘になってもある程度であれば戦えるだろう。


 それに何より、二人は互いを補い合う存在であると同時に、高め合う存在でもあるのだ。

 俺は≪特性≫欄を注視しながら、思わず手で口元を覆う。

 

「…やっぱりシスも【二連星】を持っているのか」 


【二連星】は、一定範囲内に同じ特性を持つ存在がいた場合、一ランク上の力を発揮できるというものだ。単体では意味が無いが、二人が同じ特性を持って生まれたとなれば話は変わる。


「うん。正直やばいかも。二人一緒の時っていう縛りはあるけど、逆にそれさえ達成できれば何も問題はないからね。条件次第ではあるけど、Sランク二体が生まれたと思っていい」

「…そりゃ召喚時にぶっ倒れるわけだ」


 規格外のSランクに匹敵する力を持つ二人を一気に生み出したのだ。

 倒れるのは当然の結果だっただろう。というか命があるのが不思議なくらいだ。

 アルスに続いてとんでもない規格外が生まれたことに感謝しながらも、俺は二人の弱点を即座に導き出していた。


「…でも良いことだけじゃないな。【二連星】には明らかなデメリットがある」


 それは片方が絶命すれば、もう片方も命を落とすということ。

 彼女達が命を落とす場面など想像もしたくないが、そういったデメリットがあることを把握しておくことは重要だ。二人の父として、なにより帝王として必要な認識である。


「そうだね~。でもそれを差し置いても、この二人は本当に強いよ」


 逆に言えば、デメリットらしいデメリットはそれくらいしか見当たらない。

 それに剣士であるルリも魔術師であるシスも、どちらも耐久80という高水準で生まれている。そう簡単にはやられないだろう。


「ああ。頼もしい子たちが生まれてくれて良かったよ」


 とにかく、ステータスから分かることはこのくらいだろう。

 あとは実際の戦闘を見て理解していくしかない。


「お父様、もういいの?」


 口の周りをお菓子でベトベトにしたルリが、灰色の目を瞬いて聞いてくる。

 俺は彼女の口周りを拭いてから、もう一度座り直して茶を啜った。


「ああ。ルリとシス、どちらもすごい力を持ってるな」

「パパの子ですからね」


 誇らしげにそう言って、シスが胸を張った。


「頼もしい限りだよ。俺が戦えない分、みんなには大変な思いをさせてしまうかもしれないが、ずっと一緒に居てくれたら嬉しい」


 もはやこの中で最弱なのは俺だろう。

 もし彼女達が敗れる存在が相手ならば、俺の運命はそこまでだ。

 これからずっと、苦労を掛けることになるが、それは許してほしい。


 今度はルリが胸をポンと叩いて、白い歯を覗かせて笑う。


「当然なの! お父様は私が守るの!」

「いやいや、ご主人を守るのは自分の仕事っす!」


 アルスの言葉に目を丸くしたルリに、隣でお茶を楽しんでいたシスが続ける。


「そうですよルリ。私達の仕事はパパの矛となること。攻撃力で相手を圧倒することです」


 その言葉を聞いたルリの目がキラキラと光った。そして興奮した様子で首を縦に振る。


「お父様の矛って表現、凄くかっこいいの! 分かった! 私たちで他の帝王の首をたっくさん取るの!」


 さらりととんでもないことを言うが、それが全くの妄言でないところが恐ろしい。

 

 彼女たちには魔王殺しならぬ≪帝王殺し≫を成せる力があるのだ。

 帝王の戦闘力は高い。Sランクのアルスであっても、勝率は半々といったところだろう。

 しかし、ルリとシスの二人はSランクの先にある力を発揮する。それに、俺の特性を使えば彼女達をさらに強化することができる。もし俺の強化を受けた状態で戦ったのなら、他の帝王の首も取れるかもしれない。


「そのためには、しっかりレベリングをしていかないとな」


 彼女達に才能と可能性はある。

 しかし、実際に帝王を倒せるのはまだまだ先の話だ。


「それなら今から行くの!」

「悪いな。ちょっと今日は厳しい。明日からにしよう」


 こうして日常生活を送る分には問題ない程度まで回復したが、まだ疲労が残っている。

 俺がそう提案するとルリは不満そうに唇を尖らせた。


「むー。つまんない」

「許してくれ。その代わりと言っては何だけど、俺の演奏を聞かせてあげるから」


 苦笑して、俺は部屋から持ってきたギターを取り出した。

 それが何か理解できない二人は首を傾げているが、その音色を知っているアルスは目を輝かせて喜んでいる。ノルンもローゼも、少しだけ嬉しそうに笑い合っていた。


 初めて聞くであろう世界最高峰のギターの音色に、二人がどんな反応をするのか楽しみだ。


 今日一日は、こうして親交を深めていこう。

 そして明日からは、気持ちを新たにレベリング開始だ。

 規格外のSランクが三体、その力を存分に発揮して貰おう。

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