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異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第二章 冒険者

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第74話 コボルトス鉱山

 コボルトス鉱山前に到着した俺たち。

 廃鉱山には見えないけど、採掘でどんな鉱石が得られるのかな? 

 それよりも気になるのは、ここからどうやって町に入るのかだ。

 町の人と亜人が取引をしているとか? 

 共存共栄関係なら、納得出来る話だけれど……。

 

「キュー……」

「キュルルが嫌がってるんだけど、この道から行かないといけないのかな」

「正面から入ってもし白装がいたらどうするつもりだ。その竜を差し出すのか?」

「それは嫌だ。分かったよ……キュルル、行こう?」

「キュー……」

「もしかして匂いが嫌なんじゃねーのか?」


 確かに鉱山からは少し嫌な匂いがする。そのせいなのかな。

 

「じゃあドリュードを鼻にちょっとつけて……これでどう?」

「キュ? キュー。キュ?」

「あはは。鼻についたの全部舐めちゃった」

「……おい。遊んでる暇はねえ。急ぐぞクソガキ共」


 一人先へ進むドラグ。仕方ない、キュルルは背負って行こう。

 キュルルを持ち上げると、前よりずっと重く感じた。

 順調に大きく育っているようだ。

 もうじき持てなくなってしまうかもしれないと思うと、少し寂しい気持ちになった。


「明かりがちゃんと灯されてるね」

「あたりめえだろ。奴らが住んでやがるんだからよ」

「へぇ。結構広いんだな。何が掘れるんだろ」

「鉄と、後は銀と銅くらいだろうが」

「その割には大掛かりな鉱山に見えるよ?」

「知らねえな。少なくともオンザールで売ってるのはそれくれえだ」

「ふーん……銀はちょっと欲しいかも」

「加工出来なきゃただの石ころだろう。さっさと進むぞ」


 天井も高く奥の方までちゃんと明かりが灯されているのを確認した。

 ランタンのようにも見えるけど、原料は何だろう? でも触ると危なそうだ。

 今のところまだコボルトスという亜人は見当たらない。

 入って直ぐは曲がりくねった一本道。

 道なりに進むと、山の中だけに大きなグロテスクの虫やらが壁にへばりついてて気持ち悪かった。

 そして何より匂いもきつくなる。ガスとか溜まって無ければいいけど。

 ……こういう場所なら変な生物がいてもおかしくないよね。

 まさかこれらを食べて生活してるわけじゃないと思うけど。


「……早速来たな」

「ギギーーーー!」

「えっ? 声しかしないよ?」

「ファウ、気を付けろ!」

「う、うん。キュルル。襲われるかもしれない。気を付けて」

「キュ?」

「そっか。この匂いでキュルルにも分からないんだ」

「仕方ねえ。少し待っててやるか」


 曲がりくねった道を進み広い場所に出てから聞こえ出した声。

 この声がコボルトス? でも先に進む道はまだ一本だけだ。

 周囲の壁から声がするといっても、襲って来るとしたら正面の道しかない。


「ギキーーー!」

「声が近い! ファウ、そっちの壁に火を撃て!」

「壁に? 分かった! ガルンヘルア」

「ギキーー!?」


 ラディが言う方向の壁にガルンヘルアを撃ちこむと、壁が燃え上がった!? 

 いや、一部壁に見えて壁じゃない。これ、布を壁と同じ色にして貼ってあったんだ。

 頭の悪い亜人って聞いてたけどそんなこと全然ない。

 ちゃんと考えて行動してるじゃないか。


「うへぇ。奥に一杯いる。俺たちやっぱ運悪いなぁ」


 燃やした一匹のコボルトスは奥へと避難してしまう。

 その奥には数十匹のコボルトスが見え隠れしていた。

 更に……「反対の壁からも来る!」

「ギキーーーー!」

「キューールルーー!」


 反対側の壁も一部が布になっており、横からナイフを振りかざして向かって来るコボル

トスが現れた! 

 そちらへキュルルが直ぐに氷の息を吐いて、コボルトスの通る道を氷のトゲと化し、行く手をふさいでみせる。

 コボルトスは、一番近くにいたキュルルへは向かわず、ぐるりと回って俺の方へ攻撃しようとしてくる。

 しかし、足が非常に短くて動きが遅い。

 おまけにキュルルの氷で足を滑らせすっ転んでしまった。


「……ガルンフロト」

「ギキーーー? ギキッ、ギキッ、ギキーー!」

「……ガルンヘルア!」

「ギキーー!」


 片手を氷で固めてナイフを使えないようにして、反対側の手をガルンヘルアで少しだけ火傷を負わせる。

 ラディの方は壁の奥に数十匹のコボルトスがいたが、その壁の正面に立つと一匹ずつしか入って来れないので、その部分をナイフでけん制していた。

 数本ナイフが落ちているので、コボルトスのナイフを弾き落していたようだ。

 俺の立っていた壁の方はどうやらこの一匹だけらしい。

 ……確かに、頭はあまりよくないようだ。

 これなら左右に均等に分けて待機させるか、更に進む方向にも待機させておいれば、奇襲しやすいに決まっている。

 

「終わったみてえだな。そいつらはもう襲ってこねえだろ」

「こいつら、言葉喋れねえのか?」

「多少の意思疎通が出来りゃ十分なんだよ。種族ってのはそれぞれ役割を持って生きてる。こいつらも元々は違う場所で生きて来た奴らだろう。穴倉で生活するしか出来ねえのさ」

「俺たちだって西から逃げた種族なんだろ。それでも楽しく生活してこれた。何で生活をおびやかされなきゃならねーんだよ」

「力無き弱者はどの時代でも虐げられる。だから徒党を組んで力を付ける。弱者の言葉に従い続けてりゃ、結末は死か、あるいはそれ以上苦しむだけに決まってるだろうが! だから死んでも戦った方がましなんだよ。クソガキが!」


 言ってることは正しいと思う。結局平和といってもその平和を勝ち取ったのは強者が従わせたからだ。初めから話し合いだけで守られた国なんて、知っている限りでも存在はしない。

 それが、人だ。平和を望んでも戦わなければ手に入らない。

 争うより従う方がマシといっても、それは違う。

 もっと酷い苦しみが待っているだけだ。


「でも……生活はまた立て直せる。逃げる場所があれば生きていける。そして力の支配は長続きしないんだよ。彼らだって仮にここを失っても、きっとまた生きていけるよ……ってあれ、何か差し出してきたよ?」

「けっ。詫びだろ。そいつらは侵入してきたものを撃退しようとする。だが敵わず服従した相手の反応をみて詫びを差し出すんだよ」

「もらっても、いいの? 本当に?」

「ギキー」

「うーん。でも何かもらったら何か返さないと。そうだ、ジェライさんに貰った干物なんだけど、これ食べてよ」

「ギキー?」

「そう。お返し。僕たち、ここを通っていいんだよね」

「ギキ! ギキー!」

「すげえ喜んでるな。それと同時に気が抜けたぜ……何もらったんだ? ファウ」

「鉱石かな。ここで取れたものだけど、銅でも鉄でも、銀でもなさそうだよ?」

「ふん。俺が知るかよ。町の加工屋にでも聞いてみな。さっさと行くぞ」

「うん」


 そこから先はドラグの言っていた通り、どのコボルトスも襲ってはこなかった。

 でも、巨大トカゲやら鼠やらはいて、ラディやキュルルと協力して進んでいった。

 ドラグはまるで相手にしようとせず、全部俺たちに面倒事を押し付けて来た。

 ――そして、 鉱山から出て直ぐの場所に人影が見え「わわっ。鉱山から人が!?」

「おい静かにしろ……何だバデルじゃねえか。こいつは都合がいい。少し町の状況を聞かせろ」

「げっ。ドラグの旦那? 何でこんな場所から……いや、ここで話すのは危ねえ。あっしについて来て下せえ」

「顔見知りが番兵してやがった。お前らも行くぞ」

「……なんか様子がおかしいよ、この町」

「ああ。外にほとんど人がいねーな」


 俺たちは言われた通り鉱山の裏手から草道を進み、小さな小屋へと案内された。

 中には人が数人いて、椅子に腰掛けている。

 そのうちの一人に見覚えがあった。


「ラーギル先生!?」

「……おお、ファウ。無事で何よりだよ」

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