表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第二章 冒険者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/169

第72話 寄り道こそ近道

 どのくらい道を進んでいたのだろう。

 ドラグに挑んでから何日目になるんだ? 

 ラギ刻限時計だけではもうよく分からない。 

 既に方角もどちらに進んでいるのか分からなくなりつつある。

 ドラグはもしかしたら把握しているのかもしれない。

 ラギで進む三人と一匹の旅。

 大型のラギだけど、大人一人に子供二人、幼竜一匹を乗せてるからさすがに重いだろう。

 

「あれ? 森かな。少し食糧確保出来そうだね」

「あの木に実ってるのドリュードじゃねーのか?」

「本当だ。あれなら竜も僕たちも食べられるよ」

「おめえらは少しここで待ってろ」


 そう言うと、ドラグはラギから降りて森の奥へと歩いていった。

 俺たちもラギの縄を木に縛り、ドリュードの実を取る。

 ラギも食べるかと思ってあげてみると、喜んで食べてくれた。

 キュルルも俺たちもお腹が膨れるまで食べたが、ドラグは戻ってこない。


「なぁ。あいつ置いてって俺たちだけで行かねーか?」

「それは止めた方がいいかも。あんな奴だけど一応アスランさんに頼まれてるわけだし」

「そっか……なぁファウ。俺たち、もうエストマージには戻れねーのかな」

「どうかな。でもあの城にはティンボルトさんもいるんでしょ? だったら撃退してるかもしれないよ?」

「めでてーガキどもだな」


 と、叢から声がして、ドラグがで現れた。

 こっちへ来いと言わんばかりに首で合図しながら、ラギの縄をほどいている。

 近道なのかな。方角が分からないしついて行くしかないか。


「どーいう意味だよ。ティンボルトさんがやられるっていうのか?」

「その通りだ。一匹でも手を焼くってのに竜の大群だ。策を講じずに太刀打ちは出来ねえ」

「でもティンボルトさんなら策を講じている可能性もあるでしょ?」

「ねえな。おめえらも見て来ただろうが、あの国は平和ボケしてやがる。西の国はそんな世界じゃねえんだよ。常に軍を鍛え、武器を手に取り日々訓練してやがる。竜を手なずけ繁殖し、育てている。その部族の一つが白装だ。全員が白い装束を見にまとい、薄気味悪い仮面を身に着けてやがる。残忍で狡猾な奴らだ」

「竜を繁殖? そんなこと出来るの?」

「そういう竜種もいるってことだろ。俺は知らねえがな」

「じゃあよ、あいつらは何で攻めて来るんだよ。何がしてーんだよ」

「知るかよ! 大方世界征服でも考えてるんじゃねえのか。エストマージは巨大国の一つだ。軍事力は弱いが経済力がある国だ。そこを攻め落としたら他の巨大国が黙ってねえ。それを覚悟の上で攻めて来たか、あるいは……」

「……攻めて来たのは白装であって、アゼルマージじゃないってことかな。そして自分たちは関与せず裏から手を回す……」

「大方そんなこったろうよ……っと着いた。てめえらは外で待ってろ」


 森の中を進んでいくと、古い小屋が一軒あった。

 耳を澄ますと遠くの方からはさざ波の音が聞こえてくる。

 ここは……海の近く? 


「おいじじい。連れて来たぞ」

「突然来たと思うたら客人など連れてきおって。わしゃ人見知りなんじゃ」

「黙ってろ。ちゃんと礼はする」

「誰だ?」

「さぁ……」

「キュー?」

「中に入れ」


 案内された小屋の中はボロボロだった。

 中も広くはない。魚の干物のような匂いがプンプンする場所だ。


「こいつはジェライってじじいだ。こいつに船でオンザールまで運んでもらう」

「え? 街道を進むんじゃないの?」

「そいつは見つけてくれっていうようなもんだろうが。海沿いを東へ進む方が限りなく安全なんだよ」

「そうか! 僕らはずっと南下してたんだね。ドリュードがあった森ってことは……」


 位置的にいえば最初に流れ着いた海辺の浜のところの東にあった森のどこかだ。

 たどり着いた海岸よりはもっと東に位置する場所だろうけど。


「このじじいは昔仕事で知り合った信用出来る奴だ。じじいにはさっき説明した」

「わしゃ報酬次第じゃけどな」

「あのラギをくれてやる。それで十分だろ」

「ふうむ。まぁいいじゃろ」

「あいつ、置いていくのか?」

「安心せい。ここで仕事をしてもらうだけじゃわい」

「そっか……あの子には感謝しないとね」

「じいさんは平気なのか? 逃げなくても」

辺鄙(へんぴ)な森で暮らすじじいなんぞ目も向けねえよ。狙うのは若い労働力ばかりだ。恐らく本国に連れ帰り、奴隷にでもしてやがるんだろう」

「おいおい子供を怯えさせるようなことを言うんじゃないぞ、ドラグよ」

「うるせえな。おら、さっさと出発するぞ」

「まぁ待て。お主ら少々疲れておるようじゃ。船を用意してくる。その間に食事の準備を頼めんかのう。食事を取ったら休憩し、それから出発しても遅くなかろう」

「んじゃ俺、じいさんを手伝って来るよ」

「じゃあ僕が料理する。ドラグは薪を集めて来てよ」

「ちっ。なんで俺がんなことしなきゃいけねえんだよ」

「んじゃドラグの分は無しね」

「ああ? 拾ってくりゃいいんだろうが、クソガキが!」


 それぞれ役割分担だ。働かざる者食うべからず。

 あるものは何でも使っていいということだったので、調べてみると、塩や魚から取ったと思われるナンプラーのようなものもある。

 これは久々にいい食事が作れそうだ。

 ――それからしばらくして、全員で食事と仮眠を取る。

 再び夜になり、海辺まで進むと小型だがしっかりしてそうな船が一隻みえた。

 波は穏やかだし、浅い部分を進んでいくには問題なさそうだ。


「さぁ出発じゃ」

「うん。早く行こう」


 ゆっくりと船をこぎ出して、陸沿いに東へと出発する。

 風の調節にはラギ・アルデの風術が使えるので、それなりに速度も出る。

 潮風が少し寒い位だ。

 キュルルも船に乗るのは初めてのようで、船から顔を出して水面に出る魚をじっと見ている。


「昨日のお魚美味しそうに食べてたもんね。飛び込んじゃ駄目だよ?」

「キュー……キュ!」

「あはは、キュルルに海水が跳ねてびしょびしょじゃんか」

「……てめえらは呑気だな。状況分かってんのか」

「子供はこうでなくちゃいかん。お前さんも見習ったらどうじゃ?」

「俺はガキじゃねえしあいつらの恐ろしさを知ってるからな」

「お主が初めてうちを訪れた頃を思い出すのう」

「忘れたな、んな遠い話」


 ドラグとジェライさんはどういった関係なのだろう。

 いや、それ以前に俺もラディもドラグのことは詳しく知らない。

 突然の襲撃で混乱しているというのもあるけど、俺たちは安全に逃げ切ることが出来るのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ