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異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第二章 冒険者

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第67話 明日の決闘

本日はいつもと同じ時間くらいで投稿出来ました(汗)

 スミグニ族の青年は直ぐにドラグを呼んできた。

 あれから二年経ったが、ドラグは更に一回り筋力をつけたようで、さらに強くなったことが分かる。

 あの後アスランさんから聞いた話では、ドラグはマールさんと同じ年齢だったので、現在二十二歳だろうか。

 俺とラディには一瞬目を向けただけで、少し口角を吊り上げて笑われた。


「臆病者の大将が俺に挑むって聞いたが、本気かてめえ」

「私が戦う相手ではない。この戦士たちだ」

「……はぁ? ふざけてやがるのか。そのガキ二人に俺の相手が務まるはずねえだろうが」

「お前はこの戦士二人を愚弄(ぐろう)したままだ。謝罪がないなら決闘は当然のはず。忘れたか」

「こんなガキ二人ぶっ殺したところで何の意味がある」

「いや、決闘は国立ち合いの下で行う。逃げても構わんぞ、ドラグよ」

「ああ? 誰が逃げるかよ。いいだろう、二度と俺に歯向かわないよう痛めつけてやる。場所と日取りを言え」

「場所は門の外。東の広場で行う。立会人はララティーヌ・リオン。ラーギル・クリストフ。年齢差として戦う相手はランド・ディアス、ファーヴィル・ブランザスとそのお供一匹と二名との相手をしてもらう。異論はあるか」

「お供? お供ってのはてめえまさか……」

「気になるか?」

「ちっ……別に構わねえよ。どうせ相手にはなりゃしねえ」

「それはどうかな……使用していい武器は刃物以外。ラギ・アルデは好きに使って構わん」

「こいつらが死んだらどうする」

「そうならないよう止めに入る」

「つまりそれは止めに入ったてめえを叩きのめしてもいいってことか」

「出来るなら構わんが、国の者も当然止めに入る」

「……いいだろう、条件を飲んでやる。おい、白装のガキ」

「何? 僕は白装っていう種族じゃないよ」

「うるせえな! てめえをみてるといらつくんだよ! 俺ぁ他の誰より敏感だからな。覚悟しておけよ」

「ドラグこそうるせーよ! 絶対俺が今度こそ倒してやるからな」

「おいおい、相変わらず口だけは達者なお嬢ちゃんだなぁ? おい」

「くっそー! 明日参ったって言わせてやる!」

「開始は日が一番登った頃だ。準備をしておけ。帰るぞ二人とも」


 ……正直、あのドラグを見る限り勝てる要素はないと感じた。

 どんな特訓をしていたのかは分からないけど、この二年間ずっと修行していたのはドラグも同じなんだ……。

 あの人は何のために戦い、暮らしているのだろう。

 周りにいた青年の様子からしても、凄く信頼されてる感じだった。

 頼りになる兄貴みたいな存在なのかな? だとしたら何であんな酷いことをしたのだろう。


「二人とも。少し家に寄れ。話がある」

「ああ。やっと話してくれるのか、昔のこと」

「そうだ。これは話しておかねばならない」


 ――アスランさんの家まで戻ると茶をもらい、一息ついた。

 ここで茶を頂くのは何度目だろうか。

 見慣れた殺風景な光景を懐かしく思う。

 ゆっくり話始めるアスランさんの言葉に、俺とラディは耳を傾ける。


「かつて、オオグニ族とスミグニ族はこの大陸西方にあるアゼルマージの北方にある集落で共に暮らしていた。両部族は仲が良く、前族長同士も交流が非常に深かった。だがある日のこと。白装という種族が攻めてきたのだ……彼らは竜を巧みに操り、集落を燃やし、領土を荒らした。敵は数も多く屈強で、我々は逃げることを余儀なくされた。北へ向かっても厳しい生活環境のオードレート国しかない。税を収めるアゼルマージに庇護してもらおうとしたが……断絶されたのだ。北にも南にも逃れられないことを知った我々は、決死の覚悟で海を渡り……どうにかたどり着いた先がこのエストマージというわけだ」


 その話を聴いて、眩暈(めまい)がするような思いだった。

 竜に乗って人々を襲う種族……予想はしていたけれど、やっぱりいたんだ。

 でも今の話なら、どうしてオオグニ族とスミグニ族は仲たがいをしているのだろうか。


「なぁ。それなら何でスミグニの奴らと仲悪いんだ?」

「我々は落ち延びて生きる道を提案した。スミグニは……徹底抗戦して白装を全滅させろと進言した。二人の族長は悩み、一部の者たちを引き連れさせて逃がすことにした。血気盛んな多くのスミグニ族は全員で戦うべきだと主張し、族長二人はその首を捧げ、彼らを従わせた」

「自ら命を、絶ったんですか!?」

「そうだ。後継者に任命されたのは、スミグニの中でもまだ抑えが効く方だったが、それでも族長の死に納得していなかった。彼の……父親だからだろう。そして多くのスミグニはその場で戦い続け、全滅したと聞く。相手は無数の竜。無理もない話だ」

「それじゃ、オオグニ族はほとんどが逃げたのか?」

「そうだ。一部の者だけは残ったが……」

「アスランさん。それ以上は、もう……」

「ああ、そうだな。私は今でもあのときの情景が浮かんでくる。スミグニの者は竜を、異国の者を恨んでいる。共に戦う道を選ばなかった我々を恨んでいるのだ」

「ファウが言ってた。どんな生物だって愛着を持って育てれば、すげーいい奴になるんだって。だから俺は信じるぜ。竜だって人間と同じなんだってさ」

「スミグニの怒りは深い。しかしこのエストマージはアゼルマージと違い、良い国だ。私たちオオグニ族にしろスミグニ族にしろ、この国に大変感謝している。そのため鉄の掟がある。我々がどれほど争ったとしても、決してこの国に迷惑を掛けないこと。協力を要請されたら従うこと。国のしきたり、作法を覚えてそれに習うこと。族長同士で最後に交わした約束だ」


 アスランさんは真剣な顔で話してくれた。

 かなり昔の話なのだろう。

 ドラグがもっと小さい頃の話なのかもしれない。

 戦果に見舞われた種族なら、恨んでも当然だ。

 でも、なぜ俺を白装と呼ぶのかまでは分からない。

 出身はオードレートだ。見た目も全然違うというし。

 

「でもさ。どんな過去があったって、八つ当たりすんのは良くないよな」

「うん。僕もラディと同じ意見だよ」

「うむ。君たちの方がドラグより余程、大人なのかもしれない。さぁ明日に備えて休むといい」


 いよいよ明日、ドラグと戦う。

 既に自分の足は、武者震いが止まらないでいた。

部族間の関係などがようやく明らかに。

差し迫るドラグ戦……果たしてどうなるのか。


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