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異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第二章 冒険者

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第63話 筏下り

 どうやら俺たちが逃げるのを確認してか、ついに姿を現した襲撃者たち。

 相手は三人。冒険者なのかどうかは分からない。


「ファウ、もう出すぜ!」

「うん、行こう!」

「ガルンウィド!」


 風を後方に送りつつ、棒で滑らせると、筏は直ぐに激流を走り出す。

 まだ氷の壁はあるが、流れは早いままだ。


 しばらくは一直線だけど、速度があまりにも出過ぎてる。 

 調整しないとまずい。


「早すぎる! このままじゃやばいけどこの棒じゃ操作なんて出来ない!」

「風で制御しよう。右に曲げるときは僕がやるよ」

「左に曲げるときは俺がやる」

「キュルルー!」

「じゃあ私は正面に岩場があったら土で固め回避できるようにしよう!」


 三人でうなずき合い、筏下りがスタートした。

 氷のサイズは十分にある。

 これも補強しないと、肝心の乗り物が崩れてしまうので、これはキュルルにお願いしよう。

 

「速度が上がり過ぎたら正面に風術を二人で送ってくれ」

『分かった!』


 定期的に正面へ風を送ってブレーキをかけて下っていくと、あっという間に森から離れていくのが分かる。

 しばらくして流れも落ち着いてきた。

 少し喋る余裕くらいは出てきた。


「もう少しゆっくりしたかったね」

「また来りゃいいさ。目的のものは手に入ったんだしな」

「ラディ。それはどこで見つけたんだい?」

「ファウに言われて見つけた一番でかい木があっただろ? あの木の上のほうにある、幹の中だよ」

「やっぱり……そうするとそれが化石である可能性は高いかも」

「地面じゃなく木の中から化石か……」

「それで、その子はどうしたの?」

「ピリィーー……」

「こいつはその幹の中にいたんだ。おっとそうだった。これ、食うかな?」


 メドロツノガイの干し肉を上げようとするラディ。

 さすがにそれは食べないんじゃないかな……まだ子供だし。

 そうだ、キュルルの……「もしかしたらこの草を食べるかも」

「えっ? でもそれキュルルの餌だろ? それじゃ……」

「ピリィ」

「あ、食べた……」

「ファウはその子がシンクゲイドルだと感じたんだね」

「はい。多分わずかに生き残ったものなんだと思います」

「絶滅危惧されているような生物か……」

「こいつ、俺が飼っちゃダメかなぁ?」

「難しいかもしれないね。わずかにしか残っていない生物は、きっと保護されるべき存在だろうし」


 そう話していると、突然ガクリと揺れ出す。

 おかしい、氷もまだまだあるし一体何が……? 

 と考えていると、更に揺れが強くなり始めた。


「何だ? 何が起こってる?」

「分からない。まだこの辺じゃ降りられない……っていうよりどうやって降りよう」

「氷を張れば降りられる可能性はあるが、随分中洲の方へ流れてしまったね」

「俺たちかなりラギ・アルデを行使したからヘトヘトだぁ……」

「ガルンウィド! ……あれ、おかしいよ。動かなくなってる」

「ええっ? どういうことだ?」

「分からない。曲がらなくなってる!」


 幸いなことに、水の流れは落ち着いて来た。

 このまま順当通り下れると思ったのに。

 ここはまだ、ゴーガルギン荒野付近だ。

 どうしよう……何か地面に固定されるようなものでもあるのだろうか。

 ダメだ、前世の知識じゃ想像もつかないことが起きてるに違いない。

 もう一つ造って乗り移る? いや、そんなことしたら多分俺とキュルル、クルンは身動きがとれなくなる。

 ひとまずこのまま流れに沿って進み、その先で考えよう。


「あれ、なんか流れ早くなってきてないか? ガルンウィド!」


 ラディがブレーキをかけてくれるが、水の流れが変わるわけじゃない。

 しかも早くなったのは流れだけじゃない。


「ゴーーーって音が……まさか!」

「滝か! いや、滝というほどのものがあれば先に記しているはず。段差程度だが、それなりの段差があるぞ!」

「流れがはえーからちょっとした段差でもこんな音がすんのか!」


 前方に水しぶきが多く跳ねる部分がある。

 下の氷が割れるかもしれない! 

 急ぎ全員で筏に捕まると、バシャーンと斜めに落下しようとしてしまう。

 

「ガルンサフェス!」


 土のラギ・アルデで重さを調節すると、再び水平になるようにしてくれるクルン。

 どうにか難を逃れて無事着地することには成功した……が、今度はどんどんとゴーガルギンの荒野側から

離れてしまう。

 反対側にも陸路はあるが、こちらは未開の地だ。

 しかし相変わらず左右への移動が操作出来ない状況のまま進んでいく。

 このままじゃまずい。

 

「道が二手に分かれてるぜ!」

「このままだと道を選択出来そうにないね」

「はぁ……はぁ……そろそろ体力が限界だよ」

「キュー……」

「くそ、荒野寄りのほうは流れが緩やかなのに。あっちに移ればぜってー直ぐ帰れるのに」


 俺たちは分かれた道を選ぶこと無く流れに身を任せて、ゴーガルギン荒野のある方から離れていく。


「近づいたら飛び移ろう! 土の道を造ればあっちに渡れるだろう」

「そっか、でも飛び移ると危なそうだぜ?」

「キューールルー!」

「キュルル、これ以上無理しちゃだめだよ!」


 キュルルは筏を止めるべく、前方に氷の塊を吐き出して進路を停止させてみせた。

 しかし、氷の息を多用したせいか、直ぐにヘトヘトになってしまう。


「荷物は俺が持つからキュルル担いで来い、ファウ!」

「うん、分かった」


 クルン、ラディが中洲に出来ていた分流地点に上がり終え、俺も上がろうとしたのだが、キュルルを持ち上げる力が出ない。

 ラディが心配して、荷物を置くと助けに来ようとしたが…… 「あっ」

 せき止めていた氷が不十分で、その氷部分と一緒に流されてしまった。


「ファウーーー!」

「いけない! ……ああ、何てことだ……」


 クルン、ラディを残して、俺とキュルルはどんどんと下流へ流されてしまった。

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