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異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第二章 冒険者

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第58話 アッシェンシアの木と異音

 ゴーガルギンの荒野で朝を迎えてから直ぐのこと。

 交代で休憩を取ったのだが、あまり眠れなかった。

 ラディは熟睡出来ていたようで、見張りの交代を告げようと思ったのだが止めておいた。

 明日はもう少しよく眠れるといいのだけれど。

 外で眠る練習は随分とやってみたのたが、周囲に獣がいるかもしれないと思うと中々寝付けないものだ。

 ……グラヒュトウルみたいな大型の化け物もいるかもしれない。

 しかも、それらがラギ・アルデの力を使うと考えるだけで尚更恐ろしい。

 クルンさんもあまりよく眠れなかったのか、少し眠そうな顔をしている。

 水を出すのは俺の役割なので、入れ物に水を張って顔を洗ってもらった。


「お早う。ファウは結局交代せず番をしてくれたんだね」

「お早うございます。ラディが気持ちよさそうに眠ってたので。まだまだ元気だから平気かな?」

「君は真面目過ぎるね。けれど、大分話言葉から敬称が取れて来て嬉しいよ。この依頼は三人でやるんだ。無理せず頑張っていこう」

「あはは……まだ慣れないですけど。はい。昨晩は獣とか出ませんでしたか?」

「ああ。この辺りはまだ大丈夫だ。問題はこの先だろうね。見ての通り荒野には食糧が無い。森を追われた動物なら、襲って来るかもしれない」

「そうですよね……昨日のメドロツノガイもそういった影響何でしょうか?」

「どうかな。ちなみに今回の依頼、他の冒険者も受けている可能性はある」

「その人たちに追い立てられたとか? あまり考えたくはないですね。朝食を済ませて先を急ぎましょう」


 寝惚けるラディを起こすと、朝なのに驚いて、ちゃんと起こせと怒られてしまった。

 ラディ、クルンと共に直ぐ朝食の準備を始める。

 恐らくこの先では、肉をゆっくり焼いて食べる余裕などないだろう。

 いい香りをする煙で獣を呼び寄せてしまう。

 昨日のお肉は焼いてしっかりと収納してある。

 軽く温める程度なら問題は無いし、氷は自前で用意出来るから保存も心配無い。

 

 朝食を終えフェスタを収納すると、再び北を目指して歩き始めた。

 見渡す限り一面の荒野。

 道中何度か土質を調べるものの、相変わらず良質そうな土に思える。

 毒物なども混入している気配はないので、道の心配は必要ない。

 ただ……やはり気になる。

 気候も良いし水場も近い。

 この条件で雑草が生えないはずがない。

 石や岩はあるけれど、その数も多くはない。

 どうしてこうなったんだろう? 

 荒野をうろつくネズミやハイエナってよく想像するけれど、この環境じゃまずいないだろう。

 食糧となるべきものが無いのだから。


「ファウも不思議に思うかい? この荒野について」

「はい。不思議です。マージでそういったことを調べる依頼はあるんですか?」

「いや、その手の依頼は見た覚えが無いよ。私は地図を描くのが好きだから、全てではないけれど、ここも描きに来たことがあってね」

「僕の想像なんですけど、ここはラギ・アルデの力を失った土地で、その力はどこか別の場所に流れているんじゃないかなって思うんです」

「んあ? 誰かが食い尽くしちまったんじゃねーのか?」

「驚いた。私はファウと同じ意見を父に告げたんだ。そうしたら、父の回答はラディと同じだった。ここは食い尽くされた土地、それを食い尽くしたのが……」

「まさか、ゴーガルギンという名前の生物ですか!?」


 なぜそのような名前なのか、確かに不思議だった。

 城の北側にある荒野で、西にエストの川が流れるならエストの荒野とか、エストマージ荒野と名付けそうだ。

 ゴーガルギン……どのような生物なのだろう。

 少し怖くなってしまった。

 その生物は今も存在しているのだろうか? 

 疑問に思うこともあるが、今はひたすら北に進路をとっている。

 しばらく進んでいくと、丘とまでは言い難いが、隆起した部分がある荒野地帯が見えて来た。

 そして――「うっへぇ。本当に灰色だぞ、ファウ」

「キュー?」

「驚いた……あれは木の種類なのかな。葉っぱまで灰色だとは思わなかった」

「アッシェンシアの木というんだ。エストマージ以外ではまず見ることの出来ない木でね。灰様樹の森以外にも生えている場所はあるが、ここ以上に群生している場所は無いよ」


 隆起した場所の更に先。かすかに見える灰色の景色。

 ここが異世界だと実感出来る、見たことも聞いたことも無い異様な風景。

 恐怖心はある。でもそれ以上に強い好奇心がある。

 一体どんな生物が暮らしているのか。

 どんな草花が存在しているのか。

 考えるだけでも興味が沸いて来る。


「なぁ、何か変な音しないか?」

「音? クルン、何か聴こえる?」

「いや……私には特に。ラディには聴こえるのか?」

「ああ。何かボリボリみたいな音が聴こえるけど」


 そうラディに言われて周囲を探るが、何も見当たらない。

 相変わらずの一面荒野だ。

 隆起部分を見ても特に何もいない。

 そういえば、追われてくるような獣も見当たらない。

 森にはそれなりに近い場所だと思うんだけど……西寄りに水場があるなら滝でもあるとか? 

 でも、ここからだと川までは遠い気がする。

 もしかして地中から? 

 急ぎ地面に耳を当ててみると……。

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