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異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第二章 冒険者

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第54話 二年間のお礼を告げて

 依頼を受けてから三日目の朝。

 今日が待ち合わせの日だ。

 時間は早朝指定だけど、この時間が分からないのがいかんともし難い感じで、これが解決するというのは大きい。

 依頼の粗品に該当するその時計は、ちゃんと三つもらえるらしい。

 だからこその三人指定依頼なのだろう。


 しかし、なぜあえて金貨一枚にしているのだろう? 

 なるべく受けさせないためなのかな。

 粗品も三つとは書いてなかったし……。

 そんなことを考えつつ、出掛ける最終確認をする。

 夕べは早めに休んでいたので、キュルルも俺も気力、体力共に申し分ない。

 キュルルには俺とラディからの贈り物でポケット付きの皮細工鎧を頭からすっぽり被せてある。

 蒸れにくく暖かいし、頑丈。汚れても洗えるし、キュルルの体形にも合っている。

 とても気に入ってくれたようで、付けても嫌がる素振りは一切みせない。

 

「キュルル。久しぶりに遠出の冒険だよ。楽しみだね!」

「キュルルー!」

「あれから二年以上経つんだよね。日帰り出来ない仕事なんて初めてだ」

「キュー?」

「うん。準備はしっかりしたし大丈夫。食糧も五日はもつと思うよ。フェスタが小さいから出来たことだけどね」


 あれからしっかりと練習して、俺もラディもフェスタを広げられるようになった。

 二人で話し合った結果、クルンさんがフェスタを所持しているかによっては、一つを貸してもう一つで一緒に寝ることにする予定だ。

 今日分の食事には美味しいガレットを用意してある。

 それだけじゃなくて故郷の味、ガッシュを作ってみた。

 上手く出来たとは思うけど、とにかく固いのでスープに浸して食べてもらう予定だ。

 

「さて。後で迎えに来るからちょっと待っててね。アスランさんにも挨拶してくるから」

「キュー!」


 研究中のネビウス先生を少しだけみて部屋を出る。

 熱心な顔をしていたから話しかけるのは止めておいた。

 オオグニ族の住処は相変わらず朝から人が多い。

 オオグニの人たちは、もう俺にも慣れているみたいで、この二年の間に会釈してくれるようになった。

 ――アスランさんの家前に到着すると、少し声を大きめに出す。


「お早うございます、アスランさん。ご在宅ですか?」

「ああ、ファウ。そろそろ来てくれると思っていた」


 直ぐにアスランさんが出てきてくれて、中へと案内される。

 ここは無駄なものが本当に無い。

 大きな背のアスランさんは、更にたくましくなったようにも見える。

 お茶を出してくれて、座りながら少し話をした。


「合格おめでとう。といってもここまでは順当通りだろう。私も君たちが落ちるなどとは思っていない」

「ちょっとだけ危なかったですけどね……」

「それはラディから聞いた。落とされていたら私からアーティン卿に掛け合っていただろう」

「あはは……そうならなくて良かったです。既に聞いているかもしれませんが、本日から遠出で初依頼をこなしてきます。しばらく留守にするため訓練に参加できません。それを報告しに来ました」

「ああ、分かっている。それにもう、私が教えるよりも実践で慣れるべきだろう。ファウよ。お前は強くなるだろう。だが、今はまだまだ子供であることに変わりはない。どんな場面においても命を優先しろ。どのような挑発を受けても、お前だけは皆の命を優先出来るような男になってくれ。これを」

「えっ? これは、ナイフですか」

「伸尖剣がいざ使えないときには、こういった武器を一つは持つほうがいい」

「そうですね……確かにラギ・アルデの力が使えない場合は困ってしまうので。でも、これ高そうな……」

「選別だ。ラディにも渡した。短い間だったが、お前たちと特訓した日々は楽しかったぞ」

「アスランさん……有難うございます。この御恩に、いつか報いるようになりますから」

「俺に構う必要は無い。だが、同じオオグニの者としてラディを頼む」

「はい。もちろんです。それでは行って参ります!」


 大変な二年間だったけど、こみあげて来るものがあった。

 アスランさんは口数こそ少ないけど、見返りも無く俺やラディを指導してくれた。

 彼にとって大事なのは死ぬ誇りではなく生きる誇りであるという。

 だからどんな場面でも、部族を第一に考え、生き延びる選択をするのだと。

 受け取ったナイフを腰に差して、今度はラディの家に急いだ。


「お早うございます。ラディ、いる?」


 声を掛けるとドタバタガチャンと慌ただしい音が鳴り響いた。

 直ぐに食べ物を口に加え、大荷物を持ったラディが出て来る。


「ふぅ、ふぅ……どーにか間に合ったぜ……」

「ラディ、その大荷物で行くつもりなの……」

「ん? これくらいへーきだぜ。キュルルも連れてくんだろ?」

「うん。もしネビウス先生の家まで戻るのにきつかったら、少し置いていくんだよ……」


 どうみてもオーバーウエイトだ。

 ラディは自分より少し大きいくらいで、がっちりはしているけど荷物が背丈に対して大きすぎる。

 案の定、ネビウスさんの家に着くころには少しばてていた。


「たはー。やっぱ減らすわ。そーいやキュルルって荷物どのくらい持てるんだ?」

「どうだろう? 結構持てるのかな?」


 試しにラディの荷物を少し持ってもらってみた。

 歩かせてみると……「キュルル、どう? 重い?」

「キュ?」

「半分くらい持ってもらったけど、けろっとしてるな」

「うん……さすがは竜なんだね。凄いや。でも、これの半分くらいにしておこうよ」

「そーだな。いきなりそんな重い荷物持たせたら可哀そうだし」

「よし。これくらいなら僕が持てそうだから……そろそろ城門前へ行こう!」

「ああ。いよいよ冒険の始まりだな!」

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