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異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第二章 冒険者

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第53話 初めての依頼

 その紙にはこう書かれている。

【ミルルの特別素敵な鑑定眼】

 冒険者、兵士、騎士、素敵な男性順位暫、定、版! 

 一位、アルフィード・アーサー。

 二位、ウルフガング・シュナイダー。

 三位、オーレイス・ジョーカー。

 四位、ヴァルハドール・クルノス。

 五位、マハラジャスペペドピロンゴルード十二世。


「あのー……何ですか、これ。いい男順位って書いてありますけど」

「ひゃあ!?  まま、間違えたというか見ないでー!」

「えっ? ……ああっ!」


 急に引っ張ったので紙が破れてしまった。

 しかもこれ、ラギ皮紙じゃないよ! 

 大事な紙に一体何をつづってるんだろう、この人は。

 しかも最後の人は何!? 本当に実在する名前なの!? 


「……はう。私の紙が……依頼はこっちですぅ」

「あ、あははは。あの、弁償を……」

「間違えたのは私で奪おうとしたのも私だからいいんですぅ。これは隠れてチラチラ見ていた罰が当たったんですぅ……」

「コホン。それより二人とも、依頼書に目を通そう」


【初依頼限定三人一組専用依頼書】

 目的地、灰様樹の森

 依頼内容、シンクゲイドルの化石を持ち帰ること。

 この化石については町門兵士長のオーレイス・ジョーカーに尋ねること。

 報酬、レギオン金貨一枚相当、粗品。

 期限、受注より一年以内。

 報告場所、エストマージ国、マージの受付まで。


 金属でも木でもない、直接渡された紙だけだったから、依頼元がどこなのか分からない。

 依頼書を初めて見たけど、内容はそこまで細かく書かれていない。

 恐らくこれは紙に書く都合なのだろう。

 涼しい目でその紙を見るクルンさん。

 そしてそのクルンさんをじーっと見ているミルルさん。

 間違いなくこのランキングに入る美男子であるに違いない。

 しかしクルンさんは冒険者になったばかり。リストに乗らなくてもおかしくはない。

 なぜかカウンター越しに隠れて目を覗かせる姿勢となるミルルさん。

 その行動に一体何か意味があるの!? と思ったけど、あえて突っ込まずにスルーしておくことにした。

 今は構っている場合じゃない。依頼を確認しないと。


「森なのに採取物が化石……ですか」

「森でも化石って取れたりするのか?」

「恐らくだけど、森の一角にそういった化石を採取出来る場所があるんだろうね」

「そうすると掘るための道具も必要ですよね。スコップとかシャベルとか……」

「スコップにシャベルって何だぁ?」

「ええっと……土を掘る道具というか、そう、掘削道具!」

「私は土のラギ・アルデ術を使える。ファウ君は水のラギ・アルデ術を使えるんだよね?」

「はい。そちらも見てたんですか」

「私が君を勧誘した一番の理由はそれだ。水源の確保が可能というのはとても大きなことなんだ」

「確かに……下手に川の水を飲めば命を落としかねないですもんね」

「そうだ。ラギ・アルデで生成された水で命を落とすことはない。安心して飲める水というのはそれだけで極めて凄いものなんだよ」


 そう言われるとちょっと照れくさい。

 水の力よりむしろ……雷の力を持っている人の方が凄いと思うんだけど。

 ――依頼を受注した俺たちは、まだカウンター越しにじっと見ているミルルさんに別れを告げ、再びクルンさんの家へと戻る。

 クルンさんが持って来てくれた道具はお下がりとはいえ立派な道具ばかりだった。

 本当にもらってしまっても平気なのだろうか? 


「遠慮せず使ってくれて構わない。私にはもう小さいものばかりだからね。母にも処分するように言われていたんだけど、思い入れがあって中々捨てられなかったんだ。君たちが使ってくれるなら本望だよ」

「有難うございます。大事に使いますね」

「でも、ただもらうってだけじゃな。そーだ。当日何か美味いものでも持っていこーぜ!」

「うん! それはいいかも。楽しみにしててください、クルンさん」

「本当かい? それは嬉しいね。それと……私のことをクルンって呼んでくれないか。私も君たちのことをファウ、ラディと呼ぶから。どうにも敬称されると仲間としてみられていないようで……」

「いいんですか? 僕たちより随分年上なので、失礼かなと思ってたんですけど」

「いいんじゃねーか? 俺も敬語なんて苦手だからな。んじゃクルン、またな」

「……分かりました。では僕も……クルン。また」


 少し笑顔をみせるクルンと別れ――その後は大忙しだった。

 マトフさんのお店まで走って行って、休暇願いを告げる。

 こちらは問題なく受け入れてもらえたし、戻って来たらちゃんと寄るように言われた。

 奥さんがお店に出てくれるそうなのと、もう一名雇い入れを検討しているらしい。

 とはいえお店の計算は俺頼りなので、そちらは戻って来たらまとめてやって欲しいとのことだった。

 ラディも随分計算出来るようになったけど、まだ間違えたりもするのでサポートしながらでないと不安らしい。

 次に、ネビウス先生の補助をした後、キュルルを預けて王城下にてラーギルさんと対面。

 ここでフェスタの使い方を学び始める。

 途中すっぽかし続けていたティオンさんが来て、二人とも頭をぐりぐりされた後に風術を教わった。

 風術は俺もラディも使えるので、いい勉強になる。

 ネビウス先生は風術を使えないので、ティオンさんに教わるまではマシェリさんに教わっていた。

 マシェリさんは一ツメ金任証となってから忙しいらしく、ほとんど話が出来ていない。

 少しでもマシェリさんの役に立てるよう一生懸命特訓しているけど、どんどん離されてしまっているような気分になる。

 それほどマシェリさんは能力が高いのだと思う。

 計算も熱心に覚えて、今ではきちんと掛け算の九九が出来るようになったのだ! 

 ……まぁラディと比べてみてもまだまだ出来ていないんだけど。

 よっぽど苦手だったんだろうな。

 そんなマシェリさんは現在大陸の東にある町で仕事をこなしている最中だ。

 身元が証明出来るようになったということは、活動範囲が広くなったっていうことだ。

 たったの九歳だけど、これでようやく自由に動ける範囲が広がった。

 灰様樹の森へ向かうまでは後三日。

 この間にどこまで出来るようになるか。

 ラディと一緒に頑張ろう。

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