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異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第二章 冒険者

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第52話 クルン・ウィスプさんの家へ

 今日、俺とラディ、キュルルは【スの二】に住んでいるというクルン・ウィスプさんの家を探していた。

 スの通りは一度も訪れたことがないが、綺麗な家ばかりだ。

 聞いた話によると、エとスの通りはエストマージ国民の居住区となっているらしい。

 

「ここじゃねーか? でっけー建物だな」

「うん……多分そうだね。ご免下さーい!」


 この世界に呼び出しインターホンなんてものは無い。

 ドアを叩く輪っかのようなものはあるが、あまり遠くまでは聞こえないのだ。

 少々待っていると、直ぐに扉が開いた。


「はい。あら? どちら様でしょうか?」


 出てきたのは綺麗な女性だった。もしかして、お母さん? 

 だとしたらとても若くみえるのだけれど。

 それか奥さんかな? 


「あの、冒険者試験でお知り合いになったクルン・ウィスプさんはご在宅でしょうか?」

「俺たちクルンの兄ちゃんに呼ばれて来たんだ」

「あら、坊っちゃまのお客様でしたか。直ぐ呼んで参りますね」

「坊っちゃま!?」

「すげーお金持ちだったのかよ。あんまりそうは見えなかったけどな」


 しばらく待つと、身だしなみを整えたクルンさんがやって来る。

 少々ため息をついた後、少し微笑んで挨拶してくれた。


「お待たせしてご免ね。ここではちょっと……そうだ。この先に公園がある。そこで話をしよう」

「公園があるんですか!? それは楽しみです」

「行ったことがないのかい?」

「はい。エの通りもスの通りも行き辛くて」

「そうか……いや立ち話もなんだ。あちらでゆっくりと座って話そう」


 案内された公園は、【スの六】付近だろうか? 綺麗に整備された公園だった。

 木のテーブルや椅子があり、そこへ腰を掛ける。

 なぜかランチボックスのようなものまで持っているクルンさんは、そこから飲み物を入れる水筒のようなものを出し、俺たちに飲み物と食事まで提供してくれた。

 それ、いいな……そろそろそういったサバイバルに使えそうな用品も取り揃えないと。

 千年王国祭からしばらくは露店も並んでいるから、そこで探してみようかな。


「私の下を訪れたということは、依頼を受けてくれる気になったんだね」

「はい。話し合いましたけど、そうするのが一番だと思って」

「有難う。そっちの動物はラギかな? 君はラギ使いでもあったのか!?」

「キュー?」

「えっと……そうなんです。この子は家族で。片時も離れたくはないんです」

「ラギを家族と思う者は多いからね。さて、それじゃ依頼内容だが……」


 俺とラディはネビウス先生の助言をもらい、この依頼を受けることにした。

 さすがに冒険者試験受講者が、いきなり悪さをして資格をはく奪されるという事態にはならないだろうということだったので、警戒しながらも受けてみることにしたのだ。

 依頼内容は、町の北西にずっと進んだ先の【灰様樹の森】という場所で探し物をするらしい。

 見つけることが出来れば依頼達成。見つからなければ依頼失敗となる。

 この依頼は失敗してもペナルティーは存在せず、成功させても依頼達成報酬は一見するととても少ない。

 なんとたったのレギオン金貨一枚らしい。

 つまり三人で割ると、一人銀貨三枚と一人だけ銀貨四枚。

 依頼にキュルルを連れて行っても問題はないらしい。

 

「話を聞く限りでも、受けようとする者が少ないのは分かるだろう?」

「そうですね……この灰様樹の森というのは遠いのですか?」

「徒歩で向かうことになる。大体二日は必要だろうね」

「うへぇ。そんな場所まで行って探し物して、レギオン金貨一枚しかもらえねーのか……」

「普通受けないだろう? この情報だけだとさ。それに森には危険な獣も多い」

「それでも行って探す価値があるってことですよね。やってみましょう。僕たち、もう冒険者なんだから」

「君はやっぱり凄いね。実は私は……三次試験で足がすくんでしまったんだ。でも、遠目にみていた君の行動、勇気。自分がとても小さく見えてしまった。あんな子供が頑張っているのに、自分はこのままでいいのか……ってね。私が合格出来たのは君のお陰だよ、ファウ君」

「何だ、兄ちゃんも俺と同じか……こいつ、怖がってたのに、ドラグに立ち向かって店の中でラギ・アルデの力をぶっ放したんだぜ。俺も自分に悔しくてさ、それで……」


 しばらく和やかに話すと、クルンさんもラディもすっきりしたような表情になる。

 俺は逆に恥ずかしかった。そして、悔しかったことを思い出していた。

 凄くなんてない。ただ……そのままじゃいけないってそう思った。

 もしかしたら殺されていてもおかしくなかったかもしれない。

 暴力にさらされることなんてほとんど無かったんだから。

 でも、きっと自分の前世の民族はとても勇敢だったはずだ。

 だからこそ、いざというとき苦難に立ち向かう勇気が沸いてくるのかもしれない。


「おーい行くぞ、ファウ」

「うん。依頼を受けて直ぐ出発ではないですよね?」

「そうだね。お互いやるべきことがあるだろうし、準備もある。出発は三日後でどうかな?」

「結構な急日程ですね。多分大丈夫だと思いますけど、マトフさんにも相談しておかないと。それとラディ。あれを使えるようにしておかないとね」

「そっか、そうだよな! ラーギルさんに聞いてみるのか?」

「そのつもりだよ。それに僕たち、遠出用の道具は持ってないから」

「それなら私のお下がりで良ければ上げるよ。使い古しのもので申し訳ないけれど」

「いいんですか?」

「ああ。ちゃんと二人分ある。無理を言ったのはこちらだしね。それじゃ依頼を受けにマージへ行こうか」


 スの通りを後にした俺たちは、【マージ】を訪れる。

 今日はとても賑やかで、中には溢れんほどの冒険者と思わしき人で埋め尽くされていた。

 この雰囲気……凄く良い! こんな活気ある場所なんて、学校の文化祭以来だ。

 

「あーーーーー! お二人とも、こっちこっち!」

「おい、クルン兄ちゃんとファウ、呼ばれてるぞ」

「いや、どうみてもラディ君とファウ君が呼ばれてるようだよ?」

「凄い勢いで走って来た! あの姉ちゃん、絶対何かするぞ」

「えっ? えっ? 何で僕を前に押し出すのラディ?」


 ドーンとぶつかってぎゅーっと握られ空高く持ち上げられる。

 物凄く恥ずかしいので止めて頂きたいです! 


「ララティーヌさんが探してましたよ! ファウはどーこーだー、なんてちょっと怖い感じで!」

「それでなぜ突撃して持ち上げるんですか!?」

「ええっとぉ。目立つように? それにしても軽いー! 私より断然軽いんじゃ……」

「この姉ちゃん。ちょっとあれだからな。あんまり考えて無いと思うぜ」

「うっ……誰が考え無しですかー!」

「とりあえず、降ろして下さい……」


 少々精神的に疲れたけど、改めてミルルさんに挨拶をする。

 初任務について聞いてみると、端っこの誰もいないところで受付を開始する。


「……本当にやるんですか? 遠い上に無駄に終わる可能性満載なんですけど?」

「はい。挑戦してみようと思います。どうしてもラギ刻限時計が欲しいんですよ」

「どこから漏れたんだろう。私は言ってない、私は言ってない……分かりました。ではクルンさん、ラディ君、ファウ君の三名で受講申請を出します。ええっと、依頼用紙は……これだ!」

 

 そう言って一枚の紙を取り出し、見せてくれた。

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