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異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第二章 冒険者

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第43話 二次試験の問題

「二次試験は見ての通り筆記による試験だ。とはいっても難しい計算などを行うわけではない。標準語の読み書きが出来るか、それと……文章を読みそれに感じた答えを書いて欲しい」

「分かりました。刻限を示すものがありませんが、時間は?」

「時間は特に定めていない。何時間経っても出来ない者は出来ないだろうし、出来ないなら直ぐに止めてもらっても構わない。あまりにも長引く場合はこちらから指示する」


 これが必須試験なら、冒険者試験で十歳以下が受からない理由はこれかもしれない。

 何せ文字の読み書きはきちんと勉強しないと出来ない。

 この二年でラディも俺も必死に勉強をした。

 例え問題が計算だったとしても、ラディならもう十分大丈夫だ。

 それだけでも十歳のラディとしては凄いと思う。

 ……いけない、まずは集中して問題を解こう。

 

 試験官から、問題が記載されているラギ皮紙と、回答用のラギ皮紙をそれぞれ一枚渡され、問題を読みながら回答を記入し始めた。


【二次試験問題、番号五十二番、ファーヴィル・ブランザス】


 問一。ここは何という国か。国内の通れる大きな道はいくつ存在するか。

 回答。ここはエストマージ。国名から採用したと思われる、エ、ス、ト、マ、ア、ジで表す六つの道が存在し、区画分けされている。

 問二。冒険者となり、成してみたいことを示してみよ。

 回答。世界をめぐりたい。大切な家族を養えるようになりたい。

 問三。あなたが最も叶え、成してみたいことをあらゆる出来ない理由を排除して記しなさい。それは願望でも欲望でも構わない。


 ……ここで少し迷った。問二とは異なる内容のようだけど、願望や欲望? これは冒険者以外でもってことか。

 それなら俺の答えは決まっている。今も昔も変わらない。


 回答。空を飛ぶ生物の専門的な医師となりたい。その生態を深く知り、食用など、目的以外の無意味な殺傷を出来る限り防いで救える命を増やしたい。

 問四。もし専属的に冒険者として弟子入りするなら、どのような師が良いか。


 ……これも可笑しな問題だ。合格してから決めるような内容だと思うけど、三次試験に関わる問題なのかな。

 ラギ・アルデの力はネビウス先生が教えてくれているし、ここはやっぱりあれかな。


 回答。医学的なことや、獣を含む生命体に関する知識、経験が豊富であり、書物を多く読み、その知識を満遍なく提供出来るような師。


 ……ちょっと書きすぎたかな。でも、試験だからちゃんと書いた方がいいんだよね。


 問五。凶悪な獣や、強大な力と立ち向かうとき、あなたが必要とするものは何か。


 ……これは冒険者らしい質問だ。危険な獣と対峙したり、護衛対象を守ったりすることだってあるだろう。

 ただ単純に強ければそういったものと渡り合える……わけではないことを学んだ。

 俺にはキュルルがいる。それに、ラディやマシェリさん、ネビウス先生もいる。

 

 回答。互いに協力できる存在と、それらに対抗出来る準備や知識。それと、死なない工夫をこらし、生き延びるための手段。


 ……この回答の最後は、アスランさんに何度も言われた言葉だった。

 死地において何をなすか。闇雲に戦うのではない。逃げ道を確保することが大前提。

 そのために位置取りの練習を何度も何度も行わせたのだ……と。

 問題は六までみたいで、次が最後の質問だ。


 問六。この文章を読み、感じたことを好きなように記せ。

 巨大な竜、コーガ・ユーナ。その素材を手に入れるため、歴戦四人の集団が動き出す。

 彼らは武骨者で知られ、自信満々に竜を倒しに行くという。

 苦難な道を乗り越え、竜の下にたどり着いた彼ら。

 息をかい潜り激しい爪の攻撃や、振り回す尻尾をどうにか防ぎ切る四人。

 倒せぬと考えた彼らは、重傷を負いながらも運良く一つの角を得て、町へと逃げ戻った。

 しかし彼らはその後、深手を負った影響で帰らぬ者となった。

 残された一本の角は、使われることなく彼らを英雄と称える墓標となったのである。

 もしこの四人のうちあなたがその一人だった場合、あなたはどの様に行動したか。

 

 何だ、この問題は……どう答えても不利な気がする。

 死んで称えられて英雄……まるで勇者みたいな存在だけど、本当に正しいのだろうか。

 コーガ・ユーナって本でみたことがあるだけの存在だけど、立ち向かうって大人の竜にだよね。

 歴戦の四人……で敵う相手と考えられるのだろうか。

 自分が対峙した大人の竜はキュルルの母竜と思われるあの竜のみ。

 あんな速さで飛ぶ生物に、敵うはずなんてないと感じた。

 もし竜をどうにか出来るとするならば、その存在は竜だけだと思う。

 この問題の意図は、おごり高ぶる人を見定める問題……なのかな。

 あるいはその逆で、勇気を確かめる問題か。

 どちらにしても、今の自分が考える気持ちを素直に書こう。 

 三人をいさめて体制を立て直すとか、どうしても素材が欲しいなら戦い以外の方法で入手するとか……そうか。マシェリさんと初めて会ったときのことを思い出すな。

 あのとき言っていたこと……竜の素材を探し出すのも、冒険者の仕事なんだ。


 回答。竜と対峙するのではなく、竜と共存する道を。

 簡単には見つからないだろうが、素材が欲しいなら死せる竜からも手に入る。

 四人で強大な竜に挑むのはあまりにも無謀。

 どうしても倒さねばならない悪しき竜であるならば、皆で知恵を振り絞り、戦略を練るべきだ。


 最後はとても悩んでしまったが、無事書き終えることが出来た。


「書き終わりました」

「随分早いね。採点をしよう。結果は直ぐに出るが……内容によってはこの場で質問させて欲しい」

「分かりました」


 紙を試験官に渡すと、一通り読み終えるのをじっと待っていた。

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