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異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第二章 冒険者

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第41話 宮廷風術師、ララティーヌ・リオン

お待たせしました! 本日より竜とともにあらんことを、第二章開始です。

楽しみに待っていただいた方、有難うございます! 

 ラディと一緒にドラグへの決闘を申し入れることを決意して二年が経った。

 今年で俺は九歳になる。

 この二年間は、仕事をしながら様々な経験を積むことができた。

 キュルルも相変わらず元気に育っている。

 体も大きくなり、今では背負って歩くのも大変な重さだ。

 それでもまだ幼竜だから、子供のラギとそこまで大きさは変わらない。

 翼はかなり開くようになり、食事もドリュードの果実を食べるようになった。

 そろそろ肉も欲しがると思うので、調達方法を考えているところだ。

 

 ラディはというと、あれから俺の働くロロアの装飾、道具店で一緒に仕事をするようになった。

 剣は高額なので、皮細工の仕事だけでは手に入れるのが大変らしい。

 仕事をしながら文字の読み書きも覚えられて一石二鳥なのだそうだ。

 真面目に働くのでマトフさんからも大歓迎され「うちにいい看板娘が増えた」なんて茶化されていた。

 そして今日、俺たち二人はついに冒険者試験を受けるべく、王城の前へ立っていた。


「王城って間近で見ると本当に大きいよね」

「ああ。時折水が打ち上ったりしてるよな。あれ、何だ?」

「噴水かな? うーん。目にしてみないと分からないや。それよりラディ。そろそろ行こう!」

「ああ。ぜってー合格するぜ!」


 自分の何百倍もの大きい門へ近づくと、直ぐに兵士が近づき取り調べを受ける。


「冒険者受験を行うものかな。随分若いが……登録証を拝見。ルークアシェンダリー……通ってよし。中に入ったら案内の者が試験場まで連れて行ってくれる。登録証番号五十二番。これを胸に着けて……頑張ってくれ」

「はい!」


 番号札を胸にくくり付け、開いている城門をくぐると……前世でも見たことが無いほどの、壮観な城が目に留まる。

 水圧を利用していると思われる、高く吹き上がる噴水。

 その水が周囲に散布するような形をとっており、噴水の周囲には花が咲き誇っている。

 どこで上手く調整しているのかは分からないけれど、実に見事だ。

 地面には色付けされた煉瓦がびっしりと詰められた道で、景観を更に良くしている。

 王城自体は門からずっと離れた場所にあり、噴水を起点にして、北、東、西へと道が分岐している。


「すっげーーーー! これが城の中か。初めて入った」

「見てよラディ。あの綺麗な鎧着てる人たち!」

「おお、あれは王国騎士だぞきっと! かっけぇ!」

「はっ!? 見とれてる場合じゃなかった。僕たち急いで試験場へ向かわないといけないのに。案内してくれる人ってどこだろう? 見当たらないね」

「そーいやそうだな。どこだ?」

「おおーーーい。お嬢さんたち、試験受けに来た人だよねーーー」


 呼び声が聞こえるけど、その人の姿が見えない。どこだろう? 


「ファウ、上、上だーー! 人が降ってきたーー!」

「ええっ!?」


 上空を見ると……白に緑のラインが入った服を着用した人が……城門の上から落ちてきた! 

 じ、自殺!? 


「ガルンウィガド!」


 上から降って来た人は、大きな風を巻き起こしながらそれをクッション替わりにして着地した! 

 凄い……なんて精度の高い力の行使なんだ。今の俺には到底真似出来ない。

 あんな高さから落ちて着地出来るなんて。

 骨折じゃ済まない高さだし、絶対的な自信と勇気、それに上手くコントロールして行わないと出来ない芸当だ。

 まさに魔法と呼ぶに相応しい。

 自分のなんてまだまだ魔法なんて呼ぶには相応しくない実力だ。

 とはいえこの世界で魔法なんて言っても、誰にも通じないのだけれど。

 ――その人は青色のショートヘアースタイルできりっとした鋭い目つきをしている。

 見た感じからして、お城に仕えている人かな? 


「ご免ね。他の係の者が全員案内に向かってしまって。私が案内するよ」

「あの……今のってラギ・アルデの風術ですよね?」

「うん? そうだよ。申し遅れたね。私は宮廷風術師のララティーヌ・リオン。皆からはティオンと呼ばれている」

「宮廷風術師!? すっげー! かっけぇ響きだ! 俺も目指したい!」

「ラディは剣術士になりたいんでしょ……」

「どっちもなればいいじゃねーか。な? ティオンの兄ちゃん」

「あーははは……私はこれでも女なんだけど……」

「ええ!? 俺たちと逆かぁ。俺たちは男だぞ」

「ええっ!? 君たち男の子? 女の子かと思った……おっといけない。試験場へ案内するね。ええっと、今の刻限は……」

「と、時計だ!」


 この世界に来て初めて目にした。本当にあったんだ、時計! 

 懐中時計なのかな。凄い高そうな細工がびっしり施されてるし、サイズも大きい。

 この人……お城でも偉い人なのかな。

 少し見てみたいけど、どうしよう。平気なのかな。


「なぁティオン姉ちゃん。それ何だ? すっげー高そうだな」

「これはラギ時刻限機。一日の移り変わりをラギの数で知る貴重なものなんだ」

「そんな便利なもの持ってるのか。ティオン姉ちゃんってすっげーんだな」

「ふふふ。これでも宮廷風術師の端くれだからね。王城の中には巨大な時刻塔があるんだよ」

「あの……少しだけ見せてもらっても構わないでしょうか?」

「少しなら構わないよ。町では見ることが出来ないと思うし」

「これは……どうやって動いているのかさっぱり分からないや。歯車じゃ無さそう。これもラギ・アルデの力なんですか?」

「正解! 持続式のものだけどね。そろそろ行こうか。登録証を……五十二番のファーヴィル・ブランザス君……九歳!? 君は……五十三番、ランド・ディアス君、十歳? どちらも最年少候補の受験者だったんだ。マールが見たら驚くねきっと」

「マシェリさんのお知り合いなんですか?」

「うん? ああ、私は彼女と同期。年齢は私が二つ上だけどね」

「僕、マシェリさんの下でお世話になってるんです」

「おや? もしかしてマシェリが拾って来たって言うのは君かな? そうかそうか、それは楽しみだね。私は彼女と違って城仕えを選んだから、滅多に会うことは無いけど元気にしてる?」

「相変わらず冒険者稼業で飛び回ってます。そういえば一次試験ってどんな内容なんですか?」

「それは……ついてからのお楽しみ」


 ――そう話すティオンさんに、噴水から西の方面へ伸びる道へと案内される。

 しばらく歩いていると、何人もの人が試験を受けに来ているようで、大きな声が徐々に聞こえ始める。


「登録証を見た限り、ファーヴィル君は二番と書かれた札のところで。ランド君は五番だ」

「ティオンさん、案内有難うございました」

「うん。私、二番の担当だからよろしくね。ファーヴィル君」

「ファウでいいです。試験官だったんですね」

「まぁ緊張せず、楽にしてくれていいよ。一次はそんなに難しく無いと思う。マールから少し聞いてたけど、君なら二次も問題無いだろうし」

「頑張ります!」

「そんじゃな、ファウ。お互い頑張ろーぜ!」

「うん。終わったら会おうね!」


 ラディと別れ、二番と書かれた札のあるところへと向かった。

 いよいよ一次試験。その内容は……。

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