表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
少年編  第一章 出会い
16/169

第15話 子竜の食事

 キュルルを抱っこしたまま空洞部分の穴へと入ってみる……中は暗くて見えない。

 外にある棒切れに、ラギ・アルデの力を使って火をつければ見えるかな。

 雨が降ってなくてよかった。

 もし降っていたら途方にくれるところだった。

 少し雨が降ったときに備えて、多めに枝を中に入れておいた方がいいよね。


「ガルンヘルア」


 ボッと音を立てて火を出すと、周囲に生えている草を利用して燃やし、充分に燃焼させる。

 布を巻いて油を練り込んだ松明のようにはいかないけれど、明かりとしては十分だ。

 穴の中を再度覗き込む。どうやら何も無い穴のようだ。

 虫なんかも見当たらないし、体を休めるにはよさそう。

 自然に出来た窪みっぽい。

 ただ、このままじゃまずいよね。


 幸いにも寒冷地にいたから、着ている服が暑いくらいだ。

 ここは少し暖かい地域なのかな。

 これを脱いで、中に砂浜にある砂を詰めれば良い寝床にはなるかも。

 この辺りにキュルルが食べれるものがあればいいんだけど……本当に竜が食べれるものについて勉強しておいてよかった。

 

「キュルル。ご飯探してこようと思ってるけど、ここで待ってられる?」

「キュルル?」

 

 うーん。難しそうだ。まだわからないよね。産まれたばかりだもの。

 しょうがない。抱っこして連れて行こう。

 本人が食べたいものを見つける可能性もあるし。

 産まれたての頃は、オリナシ草とか、ハギルリュウ草とかいうのを食べるって書いてあった。

 群生地も広いし、場合によっては雑草扱いらしいから、この辺りにも生えてるといいんだけど。

 ……と、探すまでもなく、オリナシ草は直ぐ近くに生えていた。

 凄く特徴的な葉っぱの形をしていて、見れば直ぐに分かるっていうのは本に書いてあった。

 これを摘み取って、細かく切って食べさせればいいんだ。

 キュルルを下に降ろして、草を摘み取る。試しに小さくちぎってみよう。

 

「これくらいかなぁ? キュルル。どう? 食べ……わぁ!」


 お腹が空いていたのか、細かく切っているそばで生えている草の方をそのまま食べてしまっていた。

 ごめんごめん。直ぐに切ったのあげるから待って。

 大きいまま食べるとお腹壊すって書いてあったから、落ち着かせないと。


「えっと……ポーラルの音色で竜は落ち着きを取り戻す場合があるんだよね。産まれたばかりでまだよく目が見えてないのかな。もしかして、ポーラルを吹いたからお母さん竜は来てくれたのかな……」


 少しポーラルを吹くと、心なしかキュルルの動きが落ち着いたような気がする。

 不思議だな……でもよかった。

 ――キュルルを担いで穴に連れて行き、小さく切った方をあげると、ゆっくり食べ始めてくれる。

 食事が済んだら眠くなってきたのか、目がトロンとしてきた。

 とっても可愛い。

 急いで服に砂浜の砂を詰めて、穴に戻る。

 穴の外に着いて来ようとしちゃうけど、上手く歩けていない。

 

「キュルル。直ぐ終わるから。そこで待っていて」

「キュルルー……」

「……よし。お前の寝床だよ。ゆっくりお休み」


 服の上に寝かせると、気に入ってもらえたのか直ぐ眠りについてくれた。

 今のうちにこの穴倉を見え辛くくしておかないと。

 枝も集めて穴に入れておこう。

 それと、入り口には火を焚いておこう。獣が寄って来なくなるはず。

 煙が穴に充満しちゃうといけないから、少し風向きとか位置には気を付けて……。


 周囲はもう真っ暗。火を灯してどうにか作業をし終えた頃には日が登り始めていた。


「疲れたー……キュルルの食事も用意したし、少し……寝よう。お腹……空いたけどもう動けないや……」


 キュルルの隣に行き、身を寄せ合って寝る。

 不安だし、この先どうしたらいいか分からない。

 でも、ひとまず……俺は助かって、キュルルと一緒。

 これからのことは起きてから考えよう。

 近くに頼れるような人がいてくれればいんだけど。


 ――「キュルルー」

「んっ。ぶはっ。くすぐったい」


 キュルルに顔を舐め回されて目が覚めた。

 どのくらい眠っていたんだろう? 切っておいた草が少し減ってるから、キュルルは草を食べたのかな。

 とてもきつい香りが近くでするので、キュルルのおしもの世話をし、地中深くに埋めておいた。

 餌の置いてある草あたりだったからまだ助かったよ……。

 昨日は疲れて寝たけど、急いで水場を探さないと。

 それに、俺の食糧もだ。

 この草、人は食べられない。

 

「キュルル。今日は周囲を散策しよう。このままじゃ僕が死んじゃう」

「キュルル!」


 お出かけするのは理解出来ているのかな。

 キュルルを担いで穴の外に出る。焚火の火も消えたところだ。

 昨晩は暗くてよく分からなかったけど、直ぐ近くは綺麗な海。

 砂浜と草。岩。そして木が沢山ある場所。

 木が沢山あるなら、あの周囲に池とかだってある可能性は高いはずだ。

 体力のあるうちに木が生い茂る場所を探すべきだけど、一番危険な場所でもあるよね。

 食糧よりも真っ先に水を確保しないと死ぬかもしれない。

 木の実や果物なんかもあるかもしれない。食べれるかどうか判別つくかな……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ