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異世界転生 竜と共にあらんことを  作者: 紫電のチュウニー
第三章 ウラドマージ大陸、序幕
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第96話 鈴の音の洞窟

 鈴の音の洞窟の前で小休止した後、それぞれの手に松明を持ち、洞窟に入る準備が完了した。

 先ほど襲われたシカリーウルフとの戦闘を見て、洞窟へ入る前にナギさんから提案があるという。


「洞窟内で少し陣形を変えたいと思いまふ。先頭をファウさん、キュルルさん。左翼をナギ、右翼をミルルさん。後方をラディさんで進みましょう」

「ん? 俺が先頭のほーが良いんじゃねーのか? 耳も目も良いからさ」

「いえ。ファウさんの術は、広範囲でかなりのものでありまふ。ですから、前方にラディさんがいると巻き込んでしまう恐れがあるのです」

「そっか。あの炎を後ろから当てられたらひとたまりもねーな」

「毎回慎重に撃ってるんだけどね。狭い洞窟内だと危ないかも」

「わりゃしはそのままで平気れすか?」

「はい。ミレンさんは護衛対象ですから中央に。何があってもお守りします」

「ナギは戦い辛くねーのか?」

「はい。壁を利用して戦いまふ。きっとお役に立てます!」

「怪我をしたら東寄りに集まって下さいね!」

「それなら、キュルルを左手側に配置して、僕は右手側に進みます」


 互いに邪魔し合わないよう段取りも決めて置いた。

 作戦も決まったし、これで何が出てもきっと対応出来るだろう。

 薄暗い洞窟内でも、俺、ラディ、ナギさん、ミルルさんの四人で松明を持っているから結構明るい。

 洞窟内はガスなども溜まってはおらず、時折ぴちゃっ、という水が落ちる音が反響しているだけだ。

 鈴の音の洞窟という割に、入り口辺りではその音以外何も聴こえることは無い。

 洞窟内の高さは自分の身長の三倍から四倍程、幅は人が十人は横並びで入れる程はあるだろうか。

 洞窟内に入ると、外とは違って暑さが和らぐのを感じる。


「この中涼しーな。外とは大違いだぜ」

「足下もそんなに危なくはないんですね。この場所の状況報告もマージにしないと」

「ミルルさん、調査報告は上がってないんですか?」

「お金にならない情報をわざわざ上げてくれる方なんていませんよ」


 それもそうだよね。前世にあった情報端末なんかがあるわけじゃないし。

 紙も貴重だからそういった詳細を無償で上げてくれる人なんていないか。

 ――入り口からしばらく進むと、少し幻想的な場所へと出た。

 松明に照らし出された壁が青く光っているのだ。

 いや、正確には照らさなくても青く光っているのだろう。


「これは、壁が光ってるんですか?」

「いえ。この壁の中に青く光るコケが混じっているのでありまふ。青シグラスゴケというもので、この地方独特のものなんですよ」

「水場にたまに生えているんれす。でも、毒があるからこれが生えたら食べものも食べれなくなるれすよ」

「へぇー。ミレン、お前詳しいんだな。すげーじゃねーか」

「そんなことないれす。昔食べようとして怒られたから……」

「あのかき氷っていう食べ物に乗ってたらちょっと美味しそうですね!」

「あはは。ブルーハワイっていう種類になりそうですが、毒はさすがに……」

「さぁ、先を進みましょう」


 点々と壁にある青シグラスゴケもまた、奥へ奥へと続いている。

 鈴の音の洞窟内は、単に平坦な道ではなく、途中細い道で下に水場があったり、天井が少し低くなっている場所もある。

 そういった場所を抜けていく中で、大きめのワニのようなものが下の水場から飛び出して来たり、壁際に見たくもないほど大きな昆虫がへばりついて女性陣が絶叫したりしていた。

 それらをナギさんやラディたちと協力して撃退していく。

 今のところ順調な旅路と言えるだろう。

 途中で短くなった松明を交換し、小休憩を挟んだ。


「ここまでは順調だね」

「ああ。シカリーウルフが一番やばかったんじゃねーか?」

「いえ。洞窟というのは浅い部分に生息する生物があまりいません」

「何でだ? そのほーが直ぐに外へ出られて良いだろ?」

「いいえ。外敵から襲われる可能性が高いからでありまふ。そのため縄張りを所定の場所で構築するのですよ。一番強い生物がいると思われるのが中心地です。下にあった水場も奥へと続いていましたから」

「そうすっと、奥に水が流れる、ため池のようなものがあるんでしょうか?」

「でも、清めのお水は一番奥って聞いたれすよ?」

「そうですね。マージで調べた限りでも、もっと奥のはずです」


 つまり、清めの水とは別の……生物が生活出来るだけの適した環境があるのかな。

 そこで生活している……もしかしたらラーダという種類の怪物がいるのかもしれない。

 

「さて、そろそろ出立しましょう。遅くなってしまいまふ。出来れば今日中に外の浅瀬付近まで戻りたいですから」

「あれ、何か聴こえねーか?」

「僕の耳には何も聴こえないけど……ラディ、聴こえるの?」

「ああ。チリンって音がする」

「それ、鈴の音だね。本当にあるんだ」


 鈴自体がこの世界にあるのかは疑問だった。

 そもそも鈴とは音を出す道具全般を示すものだけど。

 しかしラディの話を聞く限り、金属音のように思える。

 ゆっくりと先に進んでいくと、チリーン、チリーンと定期的に音が反響していることが分かった。


「これが鈴の音の洞窟と呼ばれる所以なんですね」

「そうでありまふ。でも、妙でありまふね。こんな鳴り響き方。まるで意図的に警戒を知らせているようでありまふ」

「わわ、わりゃしが聞いた話と全然違うれす」

「えっと、どんな風に聞いてたの?」

「時折風が吹き抜けて、その風の影響で鳴り響くだけって聞いたれす」

「風、吹いて無いのに鳴ってるな」

「うん……警戒した方が良いね」


 全員で慎重に道を進んでいく。

 ここからやや下った道となっており、前方の視界が悪くなる。

 急斜面というわけではないのだが、この場所で戦うのはやり辛い。

 右手側が段差でその下が水場であるのは変わらないのだが、その段差が無くなってきている。

 更に鈴の音が近づいて来るのが分かる。

 この先に果たして何か潜んでいるのだろうか……? 

はい、良いとこで終わりました……。

明日分も頑張って書きます!

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