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アムール・コンフィット  作者: 鈴ノ音 光
3/8

03.

03.

翌日の同じ時間。

あの男は、またやって来た。


「いらっしゃいませ!」

「………」

眼鏡の奥──レンズ越しの瞳が、何故か俺を真っ直ぐ見つめている。

昨日は殆どショーケースの菓子を見ていたのに……やっぱり昨日、翼が彼の事を「鉄仮面の人」なんて呼んだから、怒ってるのか?


「……昨日の、試作品と言っていた菓子だが」

「はっ、はい!」

「苺の甘味と酸味が、とても良かった……タルト生地もサクサクで、良かった」

「え……?」

こ、これは……試作品の感想、なのか?


という事は──!


「食べてくれたんですね!佐藤さんのお菓子!!」

「?あ、はい……」

「こらっ、翼!買ってくれているって事は、そういう事だろうが!」

「えー?でも佐藤さん、家族や恋人へのお土産かもしれない、って……」

「ちょっ、余計な事を言うな!!」

本当に翼は、正直すぎて困る……。

これが彼女の長所であり、短所でもあるわけだが。


「……お二人は、仲が良いみたいで」

「あっ、私には夫と二人の可愛い子供が居るので!佐藤さんとは、師弟関係なだけです!」

「翼……もう、お前は黙っててくれ……」

全く、この馬鹿正直な弟子は……。




「……今日は、これと……それと、あれまで」

「あっ、はい!ありがとうございます!!」


あ、これって確か──。


「昨日も買ってくれましたよね、シュークリーム!もしかして、お好きなんですか?」

「……ああ」

「これ、定番商品として数を多く置いているので、よかったらこれからも宜しくお願いしますね!」

「そうか……では、また」

そう言って、相変わらず表情は全く変えず、男は菓子の入った箱を手に、店を出たのだった。




「……シュークリームの件。俺が聞いて、言いたかったのに……」

「え?」

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