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依頼失敗のペナルティ

 ルフさんが愚痴を吐き始めてから二時間後、すべての愚痴を吐き終わったのか、とても落ち着いた様子になっている。

 本当はもっとあるだろうが、ルフさんはこちらに配慮してか愚痴をやめて、謝罪してくる。


「長い時間、こちらの愚痴を聞いてもらって済まないな。そちらもいろいろと都合があるだろうに。」

「いえいえ、こちらこそ普段お世話になっているので。前は、三か月に一回のペースで聞いていたので二年間となれば、相当溜まっていたでしょう。むしろ、この程度で大丈夫かと心配するぐらいなので、気にして謝罪しなくても大丈夫ですよ。」

「そうか。………現状相談できる相手がお前しかいないからな。他の人に相談しようにも能力のことを教える

わけにはいかないしな。だから、お前には本当に助かっている。ありがとう。」


 普段からギルドの治安を守ったり、二年間もの間ギルドの雰囲気を悪くせずに維持しているのもルフさんの力が大きいと思っている。

 だからこそ、この程度の愚痴や相談などはむしろ乗らせてほしいぐらいには、僕はルフさんに感謝している。

 そして、尊敬する人からの感謝の言葉に思わず、嬉しくなって顔がにやけそうになるが、僕は必死に自分が得意だと思っているポーカーフェイスを保とうとする。


「そろそろ本題に入るが、依頼が失敗した経緯を話してくれるか。」


 ルフさんは、真剣な顔つきに変えてそう言った。

 口調は普段と変わらないが、能力である威圧感を使用しながらこちらを問いただしてきたため、僕は一瞬だけたじろいでしまうが、すぐに落ち着きを取り戻し事の経緯を説明した。

 風呂を能力を使ってまで覗いた罪を被せられて、パーティーメンバーの信頼を失って追放されたことや、勇者であるロックが冤罪を知っていたことなど、追放に関することすべてを話した。

 こちらの話が終わった後、ルフさんは少しの間下を向き考えるそぶりを見せた後、口を開いた。


「まぁ一つ言うとすれば、災難だったな。まず、覗きをしたことに関しては、絶対に無実だな。仮に実行したとしてもお前の能力を使用したとしたら、あの最強以外にばれるはずもない。」


 ルフさんは申し訳なさそうな顔をする。

 僕は、その言葉に少しだけ肩の力が抜けた。。仮に信じてもらえなかったら、牢屋に直行することになるため心の底から安堵した。しかし、問題はここからのペナルティの通達だということ思い出し覚悟を決める。

 いくら理不尽な理由で解雇されようとも、依頼を失敗したことには変わりがない。さらにそれは、ランクが高いほどきつくなってくるため、Sランクである僕は相当きつい処分であることを覚悟しなければならない。極めつけは、これは神聖帝国という国からの依頼なので、頭の中は除名された後、職どうしようという考えでいっぱいだった。


「アレフ・グラナート、お前をA級に降格させ、違約金の支払いそして、一週間の依頼受注を禁止とする。」

「…は?」


 想定外の軽さに思わず、僕は拍子抜けしてしまった。

 僕は、想定外の出来事に混乱していると、ルフさんがいたずらに成功した子供のような笑顔でこちらをみていた。


「いやー、お前からそんな表情が見れるなんてな。どうだ驚いたか?」

「いや、驚きましたから、少し落ち着かせてください」


 ルフさんはとても弾んだ声で言うが、僕の耳に全然入ってこない。

 とりあえず深呼吸とお茶を飲んで心を落ち着かせてから、改めて質問する。


「どうして、そんなに処分が軽くなったのですか?最悪、というか除名だと思っていたのですが。」

「このままお前を追放すると、勇者が調子に乗ってどんな要求をしてくるのかわからないのが一つ。そして、お前はS級、いや冒険者のなかでも貴重などんな依頼でも受けれるんだ。ほぼ全てのB級以上の冒険者は自分の専門を持つんだ。だからこそ、お前のような冒険者は貴重なんだ。」


 なるほど。僕は、お金に常に困っていたため、高い報酬の依頼を選り好みせずに受けていただけなのですが、思わぬ形で功を奏したようですね。

 だが、ここで一つの疑問が出てくる。仮に専門の冒険者だった場合、僕はどうなっていたかが気になりましたが、こちらを思考を読んだようにルフさんは口を開く。


「仮にお前が何かの専門だったとしても、違約金と、一週間の依頼受注の禁止、そしてB級降格程度で済んだから大丈夫だ。冒険者側に不手際があったならともかく、今回は依頼者側に不手際がある。だからこそ、除名はしないさ。あ、違約金は一か月以内に払わないと除名になるから気をつけろよ。」

「教えていただきありがとうございます。これから、一週間の間生きるすべを考えなければならないため、これにて失礼します。」

「おう、困ったらいつでもうちに来いよ。飯と寝床ぐらいは少しの間だけなら、提供するさ。」


 ルフさんが言うには今回は僕側ではなく、相手側に不手際があるから、除名ではなく降格という扱いになったそうなので、安心しました。仮に僕が特別扱いを受けていたら、ギルドとしてかなりまずいことになるため、聞いた瞬間に心から安心しました。

 違約金については、明日払うため何の問題もないんですけど、生活費どうしましょう。いざとなったら、ルフさんの家に転がり込みますが、できるだけルフさんに迷惑をかけたくないし、貸しを作りたくありません。

 こうなったら、諦めて飲みに行きましょうか。どうせ、解決案なんて浮かびませんし、久しぶりにお気に入りのあそこに行くとしましょうか。

 そうして、僕は二年前によく行っていた、酒場に向けて歩き始めた。




ここまで読んでいただきありがとうございます。


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