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冒険者ギルド

 勇者と別れた僕は、依頼を報告するために冒険者ギルドへと向かった。

 この依頼、S級クエストは本部でしか報告ができない。しかし、この町グレイスは別名、冒険者の街とも呼ばれており、冒険者ギルドの本部もこの町にあるため、手間がかからないの幸いだった。


「ここに来るのも久しぶりですね。二年ぶりでしょうか?」


 二年ぶりにギルドの扉の前に着くと、とても懐かしい感じがして、思わず独り言を呟いてしまう。

 僕は、懐かしすぎて少しの間、扉の前である種の感動を感じていた。

 

 感動の余韻がひいた頃に我に返ってみると、周りの邪魔になっているのではないかと思い、そそくさと扉を開けて、ギルドの中へと入っていった。


 中に広がっている光景は二年前と変わらずだった。

 昼間から酒を飲んで騒いでいる人、パーティーで依頼に対する作戦会議、そして、相変わらず空いているA級以上専用の受付など歩きながら見て回ると、二年前と何も変わらなかった。


 それは別として、空いているA級以上専用の受付に向かった。

 そこには、見た目が幼女にしか見えない人物が受付の席に座っていた。

 近くまで行くとこちらに気づいたようで、声をかけてくる。


「久しぶりだな、レフ坊。2年ぶりくらいか?」

「お久しぶりです、ハナさん。2年で合ってますよ。2年たっても、その見た目は変わらなくて安心しました。」


 僕が背の話題を出した瞬間、ハナさんの神速の拳が顔面に向けて飛んできたため、当たる寸前に僕は片手でその拳を受け止めることに成功する。

 今回は何とか受け止めれたものの、もしも当たっていたら、軽いけがでは済まなかっただろうな。最悪、打ち所が悪かったら死んでいるかもしれないな。

 

「危ないですよ、ハナさん。もしも当たったたら軽いけがでは済まなかったんじゃないんですか、これ。」

「人が気にしていることに踏み込んでくるお前が悪いのじゃ。しかもよく受け止めたのぉ。当てるつもりでやったんじゃが。」

「いや、煽った僕が言うのもなんですが、さらにペナルティの日数を増加させる気ですか。」

「ウッ……。それは言うな。」

 

 僕がペナルティという言葉を出すと、ハナさんは分かりやすく嫌そうな顔をした。

 目の前の受付嬢のハナさんは、本来は戦槌の2つ名を持つS級冒険者の一人である。

 しかし、その背の低さからよく相手になめられることが多く、本人の沸点もその背と同じぐらい低いため、ギルド内でよく争いを起こしていた。

 そのため、3年前に対策としてギルドがとった行動は、ギルド内で争いを起こした際は、ペナルティとして無償で受付嬢をやることになったはずだ。

 本人がこのペナルティが嫌だったのかはわからないがこのペナルティの効果は、彼女が関係する事件の件数を10分の一に減少するほどであった。


「ところでレフ坊。お前何の用でここに来たんじゃ?妾を揶揄う為にだけに来たのではあるまい。」

「揶揄う為だけに来たと言ったらどうします?」


 僕は、ハナさんの顔を見た瞬間に自分が失言してしまったのに気が付いた。久しぶりに会ったため、引き際を間違えてしまった。

 これ、完全に怒っていますね。だって殺気が駄々洩れですから。本当にどうしましょう。


「よく聞こえなかった。もう一度、ここに来た理由を話してみろ。もしも次、ふざけた回答するなら、闘技場で妾と一戦交えてもらうぞ。」


さすがにハナさんと一戦交えるのは、命がいくつあっても足りないため、ここに来た目的を話し、ギルドマスターに取り次いでもらうことにした。


「依頼のことについて話がありまして、ギルドマスターに会うことは可能ですかね。」

「はぁ~。最初っからそんな風に素直に話せばよいものをどうしてみんなして、妾のことを揶揄うのじゃ?」


 ハナさんは、困ったように溜息をついた。

 多分だが、揶揄った時の反応がいいからだと思う。まぁ、口に出したら多分半殺しにされるので誰も言わないと思うのだが。


「今からギルドマスターを呼んでくるのじゃから、少しの間ここで待っておれ。」


 そういうと、ハナさんはギルドの奥へと姿を消していった。


 待っている時間が暇なので、これからの計画について、考えることにした。

 まず、依頼を失敗した場合、一週間の間依頼を受けることが出来なくなり、さらには違約金を支払うとなると、俺の手元に乗るお金は銀貨1枚と銅貨50枚であり、このお金で宿を確保した上で食事を用意すると三日しか持たないため、絶賛ピンチである。

 

 などとこれから一週間どう生きようかと頭を悩ませていると、ハナさんがいつの間にか帰ってきており、声をかけられる。


「ほら、レフ坊。連れてきてやったからさっさと話してこい。」


 ハナさんは面倒くさそうにそう言うと、持ち場へと帰っていった。

 

 僕は、改めてハナさんが連れてきたとても貫禄がある男性、ギルドマスターに向き直る。

 

「お久しぶりです、ギルドマスター。突然連絡もよこさずに訪れてすみません。本日は、僕が受けていた依頼、勇者パーティーの護衛の依頼について、失敗したのをご報告しに来ました。」

「そうか……。詳しい話は奥のギルド長室でするとしようか。私の後ろをついてきたまえ。」


 ギルドマスターは、一切の表情を動かさずにそう言うと、振り向き歩き始めたため、言われた通りにギルドマスターの後を付いて行く。

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